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恋愛鬼ゴッカー!桃園右近!  作者: 河原ブーメラン


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サルとタレ

 受験戦争って嫌だよね?

 人間が人間を選別するみたいで嫌いだ。

 まだ人間として未熟な子供たちをランク付けするようなものだから。

 世の中の残酷な真実を幼少から意識してる子供なら日本って国の中で上位に行けるだろうさ。

 だからってお受験って道に人生の早い段階で路線が定まってる子供ってのはどうかと思う。

 だってそんな小さい頃から品行方正に生きなきゃいけないのってすごいストレスだよ。

 意義を見出せれば良いよ。志があれば良いよ。楽しければ良いよ。

 でも、人生ってのは自分が満足できるかじゃん。

 一生懸命勉強して高学歴で身分の高い職業に就く――果たしてそれで良いのか?

 納得できるのか?

いやいや、頑張っている人を非難してるわけじゃないんだ。頑張れてない自分を庇護してるんじゃないんだ。決して無い。

よくある話で『十五歳ぐらいで大病を患い、それを救ってくれた医師に憧れ、今までロクに勉強もしたことが無いのに猛勉強して超難関医大に入って立派な医師になった』といったようなものがある。

 満足できる生き方だと思う。

 しかしこれはよくありがちな話なのと同時にとても稀有なケースでもある。

 そもそも医師になりたいと考える人間は、自分の意志でもないのに幼い頃から親に英才教育を受けているケースをよく聞く――イメージしちゃう。

 そんな中に十五歳あたりになるまでロクに勉強したことが無いこの話の人物は、すごいハンデを背負って分け入って行く訳だ。

 確かに勉強を強制されている人間よりは自発的でモチベーションは高いと思う。その思いはキャパシティを超える力を与えるかもしれない。そりゃ夢が叶えば嬉しいし満足する。憧れの医師になれてきっと多くの患者を救っていくのだろうさ。その本質は『医師になって病人を救いたい』という強い思いがあってのものだ。満足する生き方の良い例だと思う。

 じゃあ、強制されて医師になった人間、彼らは親や家系から期待という言葉に縛られ『医師になる』という目標の基に頑張る。人生を捧げ努力する。でも、自分で決めた人生の形だと思い込んでいるだけではないのか? これで良いのか? これで良いんだ! っとそれを自分の満足いく生き方だと誤魔化しているんじゃないのか? 

 俺だって他人がどう考えて人生歩んでるかなんて知らないし,知れる気もしない。

 でも、考えちゃうんだよ。

 医師になることがゴールになってはいないのか? ゴールしたら次は?

 

 要するに自分の成りたいものに成れた時、その先の人生をどう思うかが重要ではないかってことさ。

 面白い人生とつまらない人生、どっちか自由に選べるのなら当然、どうする?


 この件のBGMはマイムマイムでお願いします。

『ところで、ハクビシンは狸の仲間でな、よく見ると偉くかわいいんよ。でもな、かわいい思うて抱っこしようと手を近づけると、ギャー言うて噛みつかれるで!』

 こんな感じのラジオを聴きながら、ミカン箱を机に勉強していたのを覚えている。

 ミカン箱は良い。軽いし置けば道路の真ん中でも勉強できるもん。(よい子は真似しないように)

 その有用性を色々研究して製品化してほしい。

 ――――――――MIKANBAKO――――――――って感じに。

 まだ夏が今みたいな猛暑が続く時代ではない頃で、まだゲームにポリゴンというのが豪華に感じた時代。

 俺は中学生だった。

 初めて習い事――学習塾に通いだした。

 格付け番組って今も時々放送されるだろ?

 この塾がその番組の基になったんじゃって思っちゃう時があるんだよ。

 何しろ厳しい塾でさ。テストの出来でクラスが変わったり、机がミカン箱に、椅子が薄っぺらいゴザに変わったりしたんだよね。八割点が取れないと深夜まで補修、それでも足りないときは休日返上で丸一日勉強漬け。ズボラな俺がよく三年間通えたか不思議でならない。

 世の中にはもっともーっと厳しい塾ってあると思うけど、中学生の頃は人生に勉強が大事だとはわかっていても、どうも机に向かえなかったんだわ。

 ゆとり教育が始まった頃で、学校の先生には手を上げられなかったけど、塾の先生はバシバシ殴ってくるんよ。それでも俺を含めた数人の生徒はサボったりしたんだよね。

 その数人ってのが、俺(桃園右近)に、勤勉なのにあまり結果が伴わないベッチ(越坂部梨央)、大体やれば何でもできるホンマモンのヤマスイ(野山水鏡※超必殺技『核融合』)に、日々の行いからは想像もできないぐらい優秀なタレ(まついくん※超必殺技『癒着』)としっかり者だが性格がかなりゲスいサル(まさるくん※超必殺技『四段変形による大気圏突入』)だった。

 野山水鏡がヤマスイなのは言わなくてもわかるだろうけど、まついくんのタレってあだ名は当時焼き肉のタレのCMを野球選手の松井選手がやってたからで、サルはまさるだからだ。

 ベッチがヤマスイのことを嫌いになった理由には、サルとタレが大きく関わってるんだよね。


 その日は夏休みの半ばに差し掛かった日だった。

 なんだかんだで小6の二学期から三年間通ってる俺とベッチとヤマスイ、サルに瓶底メガネのタレは五人揃って先日のテストの結果が芳しくなかったので、塾で追試を受けていた。

 サルとタレはおしゃべりで、テスト中でも先生が居ないと見るや何か話してた。居ても喋ってた。

 大体毎日、身長二メートルはありそうな塾長に見つかって、教科書の角で強めに頭を殴られる展開が当たり前だった。

 受験シーズンで先生たちも忙しく、丁度俺たちのクラスの先生も『お前らとは違って真面目な生徒を送迎に行ってくる』と一言多いセリフを吐いて不在。

 二階建ての塾の同じフロアには他の先生の気配はなく、例に漏れずサルとタレはこんなことを話し出す。

「ねー、タレ? フレミングの左手ってラッパーっぽくない? YOーYOーチェケラッ」

「手首にマッサージの電極貼ってONにしてみ? 正確なリズムでYOってできっから、プロのラッパーもやってんだぜ」

「嘘吐け、馬鹿! 適当なこと言うんじゃないよー、ってか二人とも真面目にテストに集中しろよ。怒られても知らねえぞ?」

 俺の忠告に二人は顔を見合わせると、

「「そんときゃー、だって桃園が・・・・・・って言うから」」

「なんで俺なんだよ!」

 ベッチはアハハハと素直に笑ってるがヤマスイは口を手で覆ってプルプル震えてた。

 この頃から俺っていじられキャラなんだよな。

「真面目にやれって言われても俺たちもうテスト出来てっから、見直ししたけどぜってー満点間違いなし!」

 タレもサルの隣で頷いてる。

 堂々と満点宣言。

 こういう態度の時は大体こいつらの予言は当たるんだよ。

「ああ、はいはい、どうせ俺はいつも君らに二、三点差で負けるんですよ。悔しい悔しい」

 悔しいけど学力は本当に良いんだよな、この二人。


 十五分後。

 サルとタレに続き俺にベッチとヤマスイもテストを解き終え、ざっと見直しもした。

 正直満点の自信は全くない。

「はーっ、まだ受験まで半年、それまでこんな日が続くのかよー」

「桃の字に同じー」

 俺とベッチは頭から煙を上げ背もたれに気怠くよりかかる。

 ヤマスイはクールに姿勢良く目を細めて本を読んでる――と思ったら、寝てた。

「「「「器用な奴だ」」」」

 俺たち四人がシンクロした。

「だ、大胆な。このメンツの中、堂々と寝ている・・・・・・」

 ベッチはあわあわと顔の前で指を震わす。

 まあ、俺たち(ヤマスイを含む)はこの塾の中でも指折りの問題児だ。

 そんな輩の中でグースーピーなんて、放っとかれるわけがない。

 先生が生徒の送迎から戻るまでの時間はあと約十分。

 それまで寝てるヤマスイを弄って遊ぼうってことになった。


「まず第一走者、ゲームは大体イージーモード主義のウコング!」

 シャーペンをマイク代わりに握ったサルの司会のもと、まず一番に手を上げたのが俺だった。

「やらせていただきます」

 三人が俺に向かってパチパチと拍手する。

「さあ、ウコングさん。今日はどのような弄りを?」

「ずばり、眠り水分補給、です!」

「おーっと、イージーモードプレイヤーなウコングさんにしてはややハードルが高い!」

「「オー!」」

 ベッチとタレが海外コメディードラマのような感嘆の声。

 二人に頷いて俺は続けた。

「ここに水の入った紙コップがあります。この水を鼻提灯状態のヤマスイに飲ませようと思います」

「わかってっから早くやりなさい」

「タレは桃の字にいつも厳しいね」

 タレとベッチが口々に言う。

「それでは、水道にいつの間に水を汲みに行ったのか? ウコングの挑戦! いってみましょーう!」

「ほいっ!」

 俺はヤマスイの口許に紙コップを当てゆっくり傾けた。

 ズズズズズッ!

 飲んでる飲んでる。

 なんで飲めるの?

 明らかに軽く白目むいて眠っているのだが、難なく鼻に逆流する様子もなしに一滴もこぼさず飲み干してしまった。

「マジか?」

「末恐ろしい強い子!」

「三年間、俺以上に弄られたのは伊達じゃないな」

 あっさり終わった俺の弄りだが、ベッチとタレには中々好印象な遊びだったようだ。

「不発でしたが結構良かったぞ! では第二番手は?」

「オレ! オレオレ!」

 ベッチが目をキラキラ輝かせ手を大きく振って立ち上がる。

「ブルジョア毒舌家こと越坂部梨央! 今日披露してくれるネタはー!」

 ベッチは教壇まで歩いて行くとチョークを手に取り黒板に勢いよく書き殴った。

「乙女系男子の告白、です!」

「なんとー! 字の意味は分かりやすいが、我々に乙女系男子と来ました!」

「ずーっと、いつかみんなでゆっくり話そうと思ってたんだ!」

「お喜びのところすいませんが、ゆっくり話す時間がありません。内容は気になりますが、趣旨から外れてます。それに先生が戻るまで五分強しかないので、そんな悠長な話を一人一人していたら私の順番が来ません」

 冷静なタレが冷たく言い放つ。

「そんな~、じゃあせめてヤマスイの好きな人訊きた~い!」

「訊くも何も寝ちゃってますから、それはまたの機会に是非」

「ちぇー」

 手を頭の後ろで組み、口を尖らせるベッチ。

「越坂部氏まさかの保留~! 残念なので一言、どうぞ」

 マイク代わりのシャーペンを向けられたベッチは、

「オレ、実は柚姫ちゃんが好きです! 今度告白します!」

「ここで大暴露~! 趣旨が違うけど中々楽しめる一分四十秒でした! それにしても学年で言わずと知れた、硬いと有名な柚姫ちゃんか~? 競争率高いですね~!」

 自分だけ勝手に告白してすっきりした様子のベッチが席に戻る。

 その恋叶うと良いね、俺は応援するぞ、ベッチ!

「では三番手はわたくし、まついが挑戦を」

「静かなる狂犬、タレ! ズバリ今日の弄りは?」

 瓶底メガネを中指でクイッと持ち上げタレが立ち上がる。

 ジョジョ立ちが瓶底メガネとミスマッチで奇妙な雰囲気を醸し出す。

「催眠術YMSIヤマスイ20✕✕年ver.夏です」

 サルとタレは親友だ。

 タレが面白いと感じるものには大体サルも賛成する。

 俺とベッチの時よりサルのテンションが高くなる。

「なんか作り込まれた企画ですね? 詳細を訊いても?」

 タレはポケットから一つのカセットテープを取出し、口の端から白煙を上げ、全員に見せつけるように顔の前でゆらゆらと揺らす。

「先日ある筋のサイトで実に面白い音源を入手しまして・・・・・・」

「ほう、ネットサーファーらしい試みだ」

「うさんくせー!」

 ちょっといじけたベッチを片手で制しタレは続ける。

「催眠術を科学すると有名な『ホムンクルス甲乙科学社』の研究段階の試作品です」

 それでそれで? と全員の視線がテープに集まる。

「どんな状態でもI love you.と言いたくなる曲が収録されています。本日はこれをクールでこの手のものに全く引っ掛からなそうなヤマスイ(しかも寝てる)に聞かせてみようと思います」

「なにそれ! どんな曲入ってんのそれ!」

「ウコング君、そう焦るな、好奇心旺盛なキミにもあとで一回三百円で聞かせてあげよう。馬鹿な君がI love you.と連呼する姿が目に浮かぶよ」

「微妙な価格設定だな、それに余計なこと言うな!」

 お前が時々テストで俺に僅差まで迫られて、心臓の具合が悪いの知ってんだぞ?

「まあまあ」

 シーシードードーと全員黙らすと、タレはリュックサックからラジカセを取出し徐に机に置き、イヤホンをジャックに差し込んで、優雅に座って爆睡中のヤマスイの耳へ・・・・・・。

「耳触られても起きないんだ~?」

 と、ベッチがのほほんとした口調で言う。

「俺の弄りも相当、目が覚めそうなもんだったとは思うけど、このままじゃこいつ災害とかあったら結構不自由しそうだよな」

 そんな俺とベッチをタレは指一本で黙らす。

「よし! 皆さん静粛に、それではスイッチオーン!」

 ポチョンヌッと、タレが勢いよく再生スイッチを押したと同時、

 ガラララッと教室の扉が開いた。

「I love you.」

「わたしも❤」

 即答だった

「「「「へ?」」」」

 声の主に全員の顔が向く。

 扉を開けたのは柚姫ちゃんだった。

「わたしも好きだったの野山君!」

「ん、んん、アイ ラブ ユー?」

 顔を一度くしゃっと顰めたヤマスイがジャストなタイミングで目を覚ました。

 何も知らない柚姫ちゃんは俺たちなんて眼中にない様子でヤマスイの手を取り、

「占いって当たらないね! 今日って最悪の日って雑誌の恋占いにはあったけど、人生で一番おかしな日ってあったけど・・・・・・」

 いやいや、なかなかおかしな日ですよ柚姫さん。

「・・・・・・? ・・・・・・?」

 事態が呑み込めずに珍しくキョロキョロと取り乱すヤマスイがちょっと気の毒に見えたが、その時俺は見た、歓喜に詰まり言葉にならない様子の柚姫ちゃんを、ベッチが絶望の眼差しで見ていたのを。

「野山君、今度遊園地行かない? そのあとちょっとお泊りに・・・・・・」

 攻める子だな~、キミら中学生でその段階いっちゃうの?

 ヤマスイはコクリと頭を縦に振る。

 そうそう柚姫ちゃん? そんながっついてるキミにいくら優しくてクールなヤマスイもOK出すわけな――って頷くんかい!

「Zzz Zzz」

 コクリコクリッてヤマスイまた寝てるだけだった。

「わたし三階建ての一軒家に憧れてるの! そんな愛の巣を築きましょう?」

 コクリ。

「うれしい!」

 偶然質問と、寝てるヤマスイの首の動きがタイミング合ってるけど、

 気付けよ柚姫ちゃん!

 ヤマスイは普段から細目で分かりづらいけど、こいつ目の前にいるキミじゃなくて睡魔に負けてるから! 多分こいつあんたに興味ないって!

「子供は何人が良い? え~百人? わたしそんなに耐えられないかも~」

 なんかこの女子怖い。

「ヤマスイ起きろ! 強制的に人生設計されてる――って、ヒイ!」

 柚姫ちゃんにものすごい顔で見られた。俺に――だけじゃなく全員をそんな顔して黙らせてた。

「新婚旅行はラスベガスね! スロットで大儲けして一生楽に暮らそう!」

 色々ダメな子だ!

 良いのかヤマスイ! この少女は高確率で残念な資質を持っている! 既成事実とか作って脅してくるタイプの子だ!

 ベッチは青ざめた顔で二人から目を逸らし、後ろを向いて俺の肩にポンと手を置いた。

 俺も習って後ろを向く。

 か細い声でベッチは、

「まさかこんなことになるなんて・・・・・・あの子、柚姫ちゃんの双子の妹とかじゃないよね?」 

 俺は一度柚姫ちゃんを振り返ってから、

「双子だったら学校でもっと目立ってるよ。あのレベルの娘はそう簡単に量産できないだろう」

 だだっ広いステージで歌って踊って、大歓声浴びてる姿とか想像しちゃうぐらいのルックスだからね。

 俺はあんまり興味ない子だけど、それでもカワイイと思っちゃうし。

 残念な子だと知っててもそのルックスは卑怯だ。

 こっちからは近付く気はないけど、向こうから言い寄ってくれば多分OK出しちゃうと思う。

「そもそもなんで柚姫ちゃん、ここにいるの?」

 目に涙をためてさらにベッチがしぼんでいく。

「受験シーズンだから色々な塾を見て回るとか三年生に上がるとき言ってたような」

 中三から塾を探すってのは結構受験を舐めてると思う。

「それが何で今日、この塾で、しかもこのタイミング?」

 そう言ってベッチは顔を両手で覆ってしくしくと泣きだした。

 そりゃそうだ、目の前で意中の子が自分以外の男子に(催眠術で)コクられて、しかもその子がかなり未来のガチなこと考えてるんだもん。

 だがな、ベッチも気の毒だけど、寝てる間に勝手に色々人生の分岐点を好きでもない子に進められてるヤマスイも相当カオスなことになってるからね。

「熱海行こう! 熱海! 秘宝館!」

「Zzz イェス」

 不思議と会話が成立してるんだけど・・・・・・。

 俺ちょっとベッチはこの娘と、うまくいかなくて良かったと思ったんだけど・・・・・・。

 てか、ヤマスイ一言もまともに喋ってねえ。

 それを横目にサルとタレは部外者オーラ全開でケロッとニヤニヤしながらこう言ってた。

「「やってみるもんだな」」

「Zzz うまいィ Zzz」


 そのあと全員(柚姫ちゃんも)塾長に『オメーラ、シッカリセーヨー! △✕%〇□L!』ってげん骨くらった。

 理由を探せばいくらでも出てきそうだけど、なんで俺とベッチとヤマスイが?

 容赦ねえ!

 暴力反対!

 マイムマイム終了。


 ってことがあったんだよ。

 あれからベッチは一方的にヤマスイに負の念を持っちゃってんだよね。

 何度か俺が間に入って仲直りさせようとしたけど失敗続きだ。

 意識を現在に戻す。

 混雑するショッピングモールの中央棟西側に俺はいる。

 東の様子をベッチに訊ねて返答を待つ。

『桃の字、俺たち友達だよね?』

「おうともさ、急にどうした?」

『だよね、あのサイン会ぶっ壊そう』

「はっ?」

 なんかベッチらしくない物騒な言葉が聞こえたんだけど。

『もはやこれは「愛の鞭」なんだよ・・・・・・』

 尋常じゃない雰囲気に俺は唾を飲む。

「ベッチなにがあった?」

 イヤホン型端末の向こうの空気が徐々に鼓膜を通して伝わってくる。

『桃の字は知らないだろうけど、ヤマスイと同じ高校に入ったオレが、どんな目にあったか・・・・・・』

 ベッチの声には本気で俺へ何か伝えようとしている語彙が、込められてる。

「ちょい待ち!」

 と、俺は周囲の様子を確認。うん、制服姿の女子は見当たらない。

 ホッとしてベッチに語りかける。

「ヤマスイと何があった?」

『高校でオレにも念願の彼女が出来たんだけど、奴にことごとく邪魔されたんだよ』

「と言いますと?」

『彼女と校内を手を繋いで歩いてたんだけどさ・・・・・・』

 ベッチの雰囲気がちょっとずつ悪い方へシフトしてってる気がする。

『ッち!』

 ドダン!

 イヤホンの向こうで、ベッチの舌打ちと、机を叩くような音が聞こえる。

「ちょっとベッチ? なにがどういう?」

 こんな怒りをあからさまに表に出してる様子のベッチは久しぶりだ。

 俺は周囲の状況に気を配りつつ、ベッチの話に耳を傾ける。

 こっちが協力してもらってて悪いんだけど、正直、今はそんな話は遠慮してもらいたいんだけど。

『ヤマスイの野郎、階段から転がり下りてきて、彼女の、比佐ちゃんのファーストキスを奪いやがった!』

 ダダンッとまた机を叩く音。

『その時の比佐ちゃんの満更でもない顔ときたら・・・・・・くっ』

 あーあー、ベッチ泣き始めちゃったよ。

 でも、その展開を聞いて俺も疑問が出来た。

「あのさ、ヤマスイ転がり下りてきたの?」

『ヴン』

「転がって?」

『ズン』

「下りてきたの?」

『ジュン』

「樽みたいに?」

『よぐわがるね』

「ヤマスイ怪我してた?」

『全治三週間』

「う~ん・・・・・・」

 それ多分ヤマスイ悪くないと思う。

 俺も弄られキャラだからなんとなくわかるんだよ。

 好きで階段を転がり下りてくる人はあんまりいないと思う。

 俺以上の弄られキャラのヤマスイだ。きっとまた変な遊びにに付き合わされて――そうなった可能性を否定できない。

 俺の推測だがヤマスイは多分誰かと何かあって階段から転がされて、偶然通りかかったベッチの彼女――比佐ちゃんとやらに偶然ぶつかって初接吻――ファーストキスを奪った。

 全治三週間の怪我した上に恨まれてるヤマスイ、ご愁傷様。

 ちーん。

「結構ひどい話だとは思うが・・・・・・」

 ベッチの嗚咽が聞こえるが・・・・・・。

 どっちの味方にもつけねえ、っていうのが本音なんだよ。

 ヤマスイだってご当地アイドルって仕事をやってるんだ、どんな私怨があっても邪魔しちゃだめだと思う。

『あのさ・・・・・・ぐうう』

「うん」

『あのね、ヤマスイ、桃の字のことこう言ってた。生涯ど――』

 そこで俺たちの会話が途切れる。

 ピンポンパンポーンと、お客様センターのお姉さんの館内放送が割り込んだのだ。

『館内放送です。書店でサイン会を行っている、野山水鏡さんが一言言いたいそうです。さあ、どうぞ野山さん、え? 野山さん? ちょっとボソボソ言っててわかんない、え? あ、はい、私が言うんでですか? ・・・・・・生・涯・童・貞・ウ・コ・ン・グ・だそうです。それにしてもカッコいいですね野山さん! ポッ』

「よし! 殺そう!」

 なんで俺がここにいること知ってんだ、お前!

 ランダムで言ってんだよね?

 なんでピンポイントに狙ってくるんだよ。

 あてずっぽうで言ってんならすごい確率だよ?

 エスパーか?

 日頃から色んなとこでそんなこと言ってんじゃないだろうな。

 お姉さんもポッじゃねえ!

 ヤマスイ、俺はお前の期待を裏切ったこと無いし、逆にお前は俺の期待を裏切ったことが無い、そういう関係だっただろう? 

 どういう意図で言ったか知らないが、俺のお前への信頼度はガタ落ちだ。

『やる気になってくれて、オレ、うれしいよ!』

「うん、やる気スイッチ入った!」

 同じ格好の女子高生がいっぱいいるからってなんだ! 怖いからってなんだ!

 やればできる子、桃園右近!

 進路を東に向け俺は走り出す。

 なんかドラマのある鬼ごっこになってきた。


         ◆隣の晩ごはん◆

 

 『チョコ』をいつも数個ポケットに忍ばせている。

 しかも十円より安い、硬貨の形をしたやつ。

 集中力って大事だよね。

 集中力を維持するのに甘い物って必要らしい。

 脳みそのエネルギーってブドウ糖だけなんだって。

 コンビニとか薬局に安価でブドウ糖の塊とか売ってるの時々見るでしょ?

 試したことは何度もあるけど、まあおいしいんだよ。疲れたとき食べると頭もはっきりするし。

 栄養補給にはとてもいいしね。

 でも、俺はどうもその明らかにブドウ糖なブドウ糖に抵抗があってさ。

 ちょっと風味がほしいんだよ、苦味とか・・・・・・。

 だから代わりにいつもチョコを持ち歩いてる。

 夏は解けてぐっちゃぐちゃになっちゃうけど、美味いから許してる。

 どっかの製菓会社が解けないチョコとか造ってくれたら、五体投地して拝むと思う。

 そんなチョコ大好きな俺でも買いづらい時期ってあるんだよ。

 そう、モテない男の天敵、バレンタインである。

 母親とか肉親以外からもらったことは一応ある。

 でもそれはまだ「✕✕ちゃん好き~」とか「〇〇くんと結婚するんだ~」とか平気で言っちゃえる、ピュアな時期限定なんだよね。

 今思うとそんな時代から関係を保ってるカップルってすごいと思う。

 学生時代を送ってると、意識し合ってる男女だって、どうしてもお互い嫌な部分って見えてくるものだ。

 それでもOKって言い合えちゃうんだから、なんかそれって良くない?

 見てると微笑ましくてなんか元気もらえるんだよね。

『まだこの世界に愛はある』って。

 人間こうでありたいもんだ。

 チョコ以外の料理なんて食った日にゃあ、もう幸せでいっぱいだと思う。

 なんか良いよね。

 でもきっと例え愛する人の料理だって、人間って必ず飽きるんだよ、そういうもんだ。

 結婚しててもしなくてても、ご近所付き合いで隣に住んでるばあちゃんの作った煮物とか貰うと、滅茶苦茶美味かったりするんだよね。

 味覚って不思議。

 一度そういうことあると気になってくるんだ。

 隣の晩ごはん。


「ねえ、ベッチ?」

 と、俺はテーブルの上のフライドチキンを手に取って、一度軽く振る。

『当モールの人気ワースト一位のチキンはいかが?』

 俺はモール東側のフライドチキン屋さんの、イットインの一席に座っていた。

 まだ一口も食べてないのに、そういうこと言われると、なんかテンション下がるんだけど。

「ワースト一位ね。匂いは悪くないと思うけど・・・・・・」

 野山水鏡のサイン会をぶっ壊そう、という使命を果たしに行く途中、腹ごしらえにってベッチが『すぐ食べれる』と勧めてきたのだが、

 本当に注文したら直ぐ出てきたのでびっくりした。

 作り置きじゃあないよね?

 湯気も出てるし、見た目で判断する限り、カリッとしてそうで美味そうだった。

 呑気に食事って事態じゃないと思うけど、生憎俺の腹は危険信号を発して止まないから困ったもんだ。

 石上清香の姿はまだ確認できない。

 どこにいるんだろう? と、常に思って警戒しながらここまでやって来たのに、まさか俺のこと諦めて帰っちゃったんじゃないよね?

 それはそれでちょっと複雑な気分になるよ。

 変な話、結構俺はここまで楽・し・か・っ・た・、のかもしれない。

 認めたくないものだ。

『さあさ食べて食べて!』

 ベッチが五月蠅いのでとりあえず一口齧る。

「ムシャッ・・・・・・~~っ!」

『如何だい?』

「美味い!」

 驚いた! いろんなフライドチキンを食べてきたが、その中でダントツ一位!

 フライドチキンというより唐揚げに近い味。

 スパイスじゃなくて醤油とみりんとかのタレに漬けてあった感じの味だった。

『ね~、モールが出来た時からある古株のフライドチキン屋でさ~、初日以降人気はあんまりないのに美味いんだよね。オヤジッチもお気に入りで、経営ヤバいのに辞めさせるには惜しい味って残っちゃてる店なんだ~』

「こんなに美味いのに・・・・・・」

 これで人気が無い・・・・・・っか。

 あまりにも味覚に合うのでがっつく俺もちょっと理由が気になって辺りを見回す。

 埃なんて見当たらないぐらい掃除も行き届いてる、居心地の良いゆる~い曲とか流れてて良い店だと思う。

 環境じゃないとしたらスタッフに問題――ぶふーー!

 ずいぶん長い時間動きまわってたから、ちゃんと売り子の顔見て無かった。

 よく見れば売り子の顔が、かの有名なスーパーロボット、黒金の城ことマジ〇ガーZのあ〇ゅら男爵!

 思いっきり吹き出しちゃったよ。あーもー、勿体ない。

 何を狙ってそのメイクなんだ? 紫色の頭巾に込められた意志は? と言いたい。

『ねえ、なんでだと思う?』

 何の疑問の無い声で言うベッチに、あ〇ゅら男爵には聞こえないように小声で、

「いや、俺に聞くまでもないだろ? 逆に訊くけど、あの売り子いつから?」 

『ああ、長田さん? 店は人気無いし、バイト雇う余裕もないからずっとその人だよ。良い人だけど長田さんメイクきついっしょ?』

 長田さんっていうのか・・・・・・。 

「次元が違うんだよ」

 なんかくらっと来て椅子の背もたれに身を預ける。

『次元って? 難しいこと言わないでよ』

「あの人は二次元の世界の人だ。二次元ってのは平面の世界っつーか」

『アニメってこと?』

「簡単に言うとそうなる」

「お客さん? 急に咳き込んでどうしましたグハハハ!」

「!」

 話に集中してたら目の前に来てた長田さん。

 近距離で見るとさらに奇怪だ。怖い。顔が引きつっちゃう。

「どうぞお冷です」

 ああ、心配して水持ってきてくれたのね。

「ぐはっ! なんでもないです、大丈夫、すいません、いただきます」

「グハハハハハ!」

 高らかに笑ってレジに戻る長田さん。

「確かに良い人そうだけど、せめてあの笑い方はやめた方が良い」

 本当は何から何まで忠告したい。

『あの笑い方は生まれた時からでどうしようもないんだってさ。あのメイクも美を追求して辿り着いた境地で、「このメイク無しにこの店は存在しえない」って、オレは大して気になんないし』

 気になれよ!

 そのメイクのせいで経営ヤバいんだよ?

 初日以降? つまり初日は少しは客来てたんだよね? このフライドチキンの味なら納得だが、俺にはその初日ってのが、冷や汗掻いて黙々と食べている客のど真ん中で『グハハハハ!』って笑ってる長田さんしか想像できない。

 客だってそりゃ味わう余裕なくて当然だ。

 徐々にベッチの感性に疑問が生まれてきたんだけど・・・・・・。

「まがいなりにも商店の息子だった俺の意見がある」

『何でも言って』

「まず、この店の看板を紫に塗れ、そしてその看板にでっかく長田さんの顔をそっくり忠実に描くんだ。そして『おのれマジ〇ガーめ! 覚えていろよ、兜〇児!』と大きめに書きなさい」

 俺はベッチに語り始めた。

 あのメイク無しにこの店は存在しえないのなら、もうそれを売りにしちゃえば良いんだよ。

 まず客がその看板を見て『なんだこりゃー!』ってなれば良い。

 そしてそのテンションのまま、店の中に入れば、看板通りの長田さんが待ち構えてる、客も『なるほどね! じゃあ一つ貰おうではないか! 美味いっちゃ! 病み付きだびゃー! 良いもん食わせてもらったべさ! また来るけんね!』って自然な流れが生まれる。

 ドカーン!

 人気店の誕生だ。

 要は先入観を逆手に取るんだ。

 味には何も文句が無いのだから、事案だった長田さんのメイクも、店に入る前からこういう人がいるってわかってりゃ、大した問題にはならない。収入が安定したら、バイトを雇って長田さんメイクを義務付けるんだ。そうなれば、もう本当にあのメイク無しにこの店は存在しえない。

『なるほどー、桃の字頭良~い! さっそく教えてあげて!』

 いや、明らかな問題に十年以上、何の対策も練らずにいた方が珍しいんだ。

「俺からあの人に言うのは、ちょっと勇気いるから、ベッチが伝えといて」 

 会話できる距離で見ると、良い人だって分かってても怖いんだよ、心臓に悪い。

 今はあのメイクに耐性がある人にお任せしたい。


「グハハハハハハハ!」

 レジで暇そうに突っ立ってる長田さんの笑いが、哀愁を誘う。


「さて、これからどうする? 確かに、ここからならヤマスイのサイン会を監視できるけど」

『・・・・・・』

 無言のベッチ。

「どうした? 黙って」

『・・・・・・ぅんだよ』

 呟くベッチ。

「なんだって?」

 音量が定まらないのかな?

 電波の調子が悪いのかと軽く端末をトントンする。雑な電子音とかしないから異常は無いと思う。

『歌うんだよね、多分』

 聞き取れる聞き取れる。

「うん?」

『多分ヤマスイは調子こいて歌いだすに決まってるって言ってんの!』

 

 まずはヤマスイのサイン会の会場である、書店の様子を観察することから始めた。

「ベッチさ、俺もだけどヤマスイに苛立ってるから気付かんかったけど、サイン会の邪魔する作戦はどうなってんの?」

 頭に来た勢いでここまで来ちゃったから、全然策を考えて無かった。

 それはベッチも同じ様子。

『どうすれば、あいつに一番ダメージを与えられるかを考えるんだよ』

 長田さんのフライドチキン屋はガラス張りで、向かいにある、ヤマスイがサイン会をしている書店が良く見える。

 それにしても大人気だなヤマスイ、女子高生に囲まれて。

 幸せそうだ。さぞ気分も良いんでしょうね!

 澄ました顔で次々とサインを書いて、握手までしてる。

「羨ましくてさらにムカつく・・・・・・」

『棺桶に封印とかしちゃいたいでしょ?』

「もう地球外にぶっ飛ばされて、跡形も無く消し飛んでほしい」

 耳に着けてるイヤホンには高性能カメラ機能も付いていて、俺の目に入ってる景色は逐一警備室にいる、ベッチにも見えてるらしい。

 ってことは、ベッチにもこの女子にキャーキャー言われてるヤマスイが、見えてるってわけだ。

『さわやかに胸糞悪い、畜生め』

 こんな野蛮なベッチがちょっと怖い。

「嫌がらせってのはな、俺たちがよーく知ってる、サルとタレを模範にすると良いんじゃないか?」

『エゲツねえで定評の、あの二人のまねを?』

「俺にもサルとタレに通じる、誰にも言ったことない趣味がある」

『どんなん?』

「例えばだ、悪質な電話がかかって来るとする、『おら、金払え』って感じの」

『うん、金に困ったこと無いからよくわかんないけど、うん』

「まずそいつの気分を高まらせるよう誘導するんだ。『知りません、何のことですか?』って感じにちょっと白を切るようにな。難しかったら『はっ?』って簡単なのでも良い」

『・・・・・・』

 黙って聞いているようなので続ける。

「こっちがとぼけてると大体相手はこう言ってくるんだ。『てめー! ふざけんな!』って具合に、そこまで行けばあとは簡単、訊いても無いのに向こうは・・・・・・」

 と、俺は少し間を開ける。

『怖いよ! それでどうすんの?』

「『お前俺が誰だかわかってんのか! 俺はなー!』ってなるから、向こうが名乗る前、テンションがMAXになったところで――そこで電話を切る」

『・・・・・・うわあ、よくできるね、そんなん』

「趣味だからな、楽しいんだよ、趣味は楽しくなきゃ意味ない」

『ちょっとおもしろいからスーパーさとしくん人形あげる』

「ありがとう、おまけに続きを言うならこうなる、もう一度そいつから電話かかってきて、『コラ! コラコラコラーー!』それを聞くのが気持ち良くてたまらない、最高の瞬間だ。それに向こうもちょっと楽しそうだったりするんだ。こっちもおちょくれて楽しいし、相手もおちょくられて楽しい。ウィンウィンだ」

『なんか、桃の字が悪い人に感じる』

「ううん、良い人間だ、エンターテイナーだ」

 そうだろ? 

 俺は世界を盛り上げる子だ。

 つまらないことはしないんだ。

『そういう解釈もあるんだね。ちょっとメモッとく』

 勉強になったようで何よりだ。

 それに収穫もあった。

「今のでヤマスイに一番ダメージを与える方法を思いついた」

『流石、ブレイン、桃の字! 今までに類を見ない気持ち悪さだ』

「褒め言葉と受取ろう。要はヤマスイがテンションMAXのところで、思いっきり撃ち落とす、奈落の底に沈める」

『オレ、桃の字の考えが解ってきちゃったんだけど』

「簡単だろ? 奴はアイドルで何をするとき絶頂を迎えるのか」

「『そう!』」

 やることは決まった。

 後は実行するのみだ。

本日中にここまで来たかった!是非お楽しみくださいませ!

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