表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛鬼ゴッカー!桃園右近!  作者: 河原ブーメラン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/9

鬼ごっこはみ・つ・の・あ・じ♡

これは以前書いた、不本意だが厨二病に理解のあるおっさんは鬼ごっこの達人?の編集版になります。個人的なアクシデントのため未完結でしたが、今回はラストまで書く所存でございます。というか話自体は出来上がってます。

「OK、ガール。お前の気持はわかった。おっさんと付き合いたいなら、おっさんに鬼ごっこで勝つがよろしい!」

 言い放った直後、指を鳴らすとおっさんは全速力で夕暮れの街を舞台に逃走を開始する。

 季節は夏の始まり、桃園右近、30歳、最終学歴高校中退、無職、独身。

 高校中退ってのは聞こえが悪いが、おっさんこと右近さんは学生の頃、なかなかの成績を誇っていたのである。

 高校――あんな楽しいとこ何の理由もなしに辞めるか、ボケが! 

 おっさんの持論である。理由は後々説明しよう。

「あたしは本気です~!」

 今はこの見てくれと鈴の音のような声だけは可愛い女子高生を振り切らねばならんのです。

 先日、そろそろ色っぽい話でもないかな~っと考えつつ、仕事を探しに街をぶらついていたところ、現在、後ろから猛烈な勢いで俺に迫る女子高生――石上清香ちゃんに突然告白されてしまったわけだが、彼女が本気で俺を思っているとは考えても見なかった。

 てっきり最初は冗談だと解釈してたんだよ。

 30代になって女子高生しかもかわいいに若干ときめいた俺は、迂闊なことについメールアドレスを教えてしまったのだ。

 最初はちょっと恋人チックなメールが送られてきていた。

 からかわれてるのかと思ってた。

 そう考えてても楽しかったんだよ・・・・・・。

 彼女は俺のことを大学生と思っていたらしい。

 中学生の頃も友人に『大学生みたいだから、エロ本買ってこい』とか、最近仕事の面接を受けたら『ホントに30超えてるの? 大学生と思った』などのご意見があった(もちろん面接は落とされた)。

 俺の絶対値は大学生のようだ。

 この数日、気分が高まり、色々妄想してしまって眠れなかった。

 だって、この歳になって仮にも女子高生にコクられたんだよ? すこし、いや、めちゃくちゃ邪まなことを考えたに決まってるだろう。

「お前の愛は本物だ、だけどいろいろ変な方向に偏ってる!」

 そう、この女子高生は何かおかしい。

 たぶん学校の中でも高ランクに属していると思われる可愛いさだけど、俺だって一応大人だ、節操ぐらいしっかり持って行動している。

 しかし、昨日届いたメールでかなり引いて揺らぐことになった。

 ただ白紙の文面に写真が添付されていた。

 ベッドの上に女の子座りした清香ちゃんが、斜め上からスマホで自撮りした写真だが、細かい説明をつけるとかなり印象が変わってくる。

 だって、やたらきつそうなワイシャツで上半身のラインが異常に出てる、ただでさえ大きい胸を左腕ですくって持ち上げて強調してる、へそが出てる、スカート短い、黒いニーハイソックス、極めつけに口を半開きにして上目遣い。ぎりぎり色々見えてない。

 実際に年端もいかぬ年齢だとは思うが、それでももっと若く見える童顔な上、肌もきめ細やかで妙に色っぽいし艶やかだ。

 最近のスマホの写真機能は目を見張るものがあるな、大丈夫か? デジカメ界? 

 デジカメ単体では一般人には需要がなくなる気がする。

 とりあえずこの写真は大事に保存しておこう。

 何にせよ可愛い、エロい、ヤバい、怖い。

 ときめいた。

 でも、ときめかない。

 年下の女性、しかも女子高生と交際するのは男なら誰でも憧れる。

 しかも俺は三十路だからより一層だ。

 妄想の世界でだけ実現可能なのだとばかり想っていた。

 でも、実際手の届くところにいきなり現れるのは、ちょっと反則だ。

 ドキドキするんだよ。

 人によって受け止め方は変わると思うが、俺的には『なんかやだ』なのだ。

 メールアドレスは交換したが、俺は彼女の好意に対しまだはっきりとOKを出したわけではない。

 つまり両想いではないのだ。

 まさか告白されて数日の間にここまで積極的なアピールをしてくるのは、想定外だ。

 最近の女子高生ってこんな積極的なの? って言葉で済ませられる感じじゃない。

 なんか狂気を感じる、ストーカー臭い。

 例を挙げるなら、メールをやり取りしてて感じたのだが、この子の言葉はやけに重たいのである。

 言葉選びが下手なだけなのかもしれないけど、「愛の絶えない家庭を築いて、最期は一緒に棺に入るの!」とか文章の端々でやたら束縛してくる。

 それさえ、無ければこの娘は優良物件かもしれないとは思う。

 女の子の好意を頭ごなしに否定するのは一人の男として気が引ける。

 俺が色々悩まない男だったら、今頃抱擁でもして甘い言葉を囁き合っていたかもしれない。

 それとも俺が手を出したら、彼女の後ろの存在が出て来てマッチポンプ的な展開もあるかもしれないだろう? と疑ってしまう。

 ほら、またこうやって疑っちゃう。純粋に気持ちを受け止められる器量がほしい。

 大通りを抜け、視界を遮りやすい団地地帯に突入する。

 息は切れていない。

 中学陸上界期待のホープと伊達に呼ばれていたわけではないのだ。

 100メートル走10秒台をなめるなよ。

 ぶっちゃけ俺と彼女が何をやっているかと言うと、街全体を使った『鬼ごっこ』だ。俺はもちろん追われる側で彼女は追う側。

 普通はっていうか理想は男が追う側で彼女が追われる側だと思う。

『アハハハ❤』

『キャハハハ❤』

 とか、正直言いたいよ。

 世界規模の大泥棒とその泥棒専門の警部の追い駆けっこみたいな構図が頭に浮かぶ。

 三時間以内に捕まったら付き合う、捕まえられなかったら身を退く、そういう勝負だ。

 この俺に何とかついて来ている彼女に少し驚いている。

 なんか顔が笑っているように見えるんだけど、気のせいだよな?

 なぜか出会った時より良い表情をしてるような・・・・・・ええい! 考えるな! 逆に怖い。

 追われる背中がゾクッとする。

 相手の状態を測るためここで牽制をいれる。

「おっさんはスケベだ! この事実に引くようなら俺を諦めるのだな」

「どんと来い!」

 何を言ってるんだこの娘は、本気で言ってるなら怖すぎるぞ。

 息は切れているように感じるが、会話の内容的にはまだ余裕な様子。

「何度も言っているだろう。おっさんにはお前はもったいないんだ! 遠くで幸せになりなさい! 異世界とか!」

「もちろんあ・な・た・とご一緒に!」

「!」

 俺のことをすでに旦那と思っているように、妙に『あ・な・た・』の言い方にすごく語意が込められてる気がする。

 満面の笑みを浮かべて迫るな。お前は俺にとってたぶん天敵と呼べる存在だ。

 一般論だと思うけど世間では女性より男性の方がフィジカル面では強いという。

 女性はメンタル面が強いんだったよな。

『精神が肉体を凌駕している』

 この娘にその言葉を当てはめると、生々しくて怖さが際立ってしまう。

 広大と地元で有名な団地地帯を数百メートル駆け抜ける。人間が全速力で走れる距離は二百メートルが限界だと何かの本で読んだことがある。

 俺は仕事を見つけるためにそれなりに努力している、今よりすこーしスピードダウンしてペースを崩さなければフルマラソンも完走出来る自信がある。

 見た目から察するにこの娘は体育会系ではない、さらに言えば運動成績下位だと思う。

 でも、なぜか女子特有の内股な走り方なのに、結構速い。

 正直キモい。

 関節の少ないマネキンが動いてるみたいだ。

「息が切れてるじゃないか、そろそろギブアップしたらいいじゃん!」

「ぜーぜー言うのは好き、あなたともぜーぜー言いたい! そう! 愛のリビドー!」

「若い女の子が人前でそんな恥ずかしいこと言うな! 道行く人が変な目で見てるから! こんな奇行で捕まったら、きっと警察に責められるのはお前じゃなくおっさんだ!」

「その時はあたしが慰めてあげます。全身を使って」

「恥ずいから! でも、それは・・・・・・ちょっといいなあ」

 こんなこと言ってくれる女の子なんてきっと、生涯でこの娘だけだ。

 そういうのちょっと嬉しかったりするんだよ。

 しかし、俺は―彼女も警察に捕まるわけにはいかないのだ。

 男に生まれたのが少しいやになってくる。

 さっき中学陸上界期待のホープと名乗ったが正確にいうと、俺が得意なのは陸上競技ではない、『鬼・ご・っ・こ・』だ。

 生まれてこの方、鬼ごっこでは捕まったことがない。

 経験論、長期戦を想定するならいきなり全力疾走してぶっちぎるのは愚策だ、少しずつ徐々に差を開いていくのが効率が良い、体力に余裕があるのなら、ちょっとしたトリックプレイを織り交ぜるのも一つの考えだ。ただし派手なのは体力を大いに削ぐのでおすすめはしない。

 経験と技術そして知識、それらからたどり着いた境地を昔一緒に遊んだ友人たちに聞くと、忍者と呼んで良い曲芸の域に達しているらしい。

 不本意だが『エイリアンみたいな動きだ』などと言われていたのも事実。

 ジャングルジムほど複雑ではないが何かしらの障害物があると無敵である。

 その技は最近『パルクール』というカテゴリーであると知った。

 細い電柱を掴み180度方向転換したり、並木道の樹木に少し登り葉っぱに身を隠しやり過ごしたり、団地の中心にある公園の鉄柵を体操選手のような軽業で倒立前転etc.を織り交ぜ、ちょっとずつ清香ちゃんとの距離を稼ぐ。

 我ながら大人のとる行動ではないと思う。

 なんで俺はこんなことしてんだ?

 目算、団地の一棟分の距離を確保したら、団地地帯を抜けファミレスや家電量販店、飲食店のビルが多く乱立する大通りに戻る。

 最初からなるべく信号機を避ける道を選んで逃げてきた。

 この辺で信号機を巧く使い、さらに距離を稼ぎたい。

 運良く、青が点滅している横断歩道を渡れた。

 信号機は赤にかわる。

 あいつもさすがに信号無視などしないだろう。

「~~っん!」

 もどかしそうに清香が足を止め、拳をぶんぶんする。

 賢いとはこういうことを言うのですよ。

 この街は俺のテリトリーだ。

 信号機の長さは熟知している。

 この赤信号は三分ぐらい続く。さらに言うと、俺がスピード調整して走ればこれから通る予定の信号機に彼女は全部引っかかるだろう。

 つまり俺には若干時間の余裕が出来たわけだ。ここで、道を挟んでも彼女に聞こえるように一言。

「愛があるならこれくらいの逆境は乗り越えないとな!」

「一緒に乗り越えましょう!」

 真面目に言ってるのが伝わってくるから怖いんだよ。

 やたら澄んだ目で言うな。

 それにやはり何かずれている。

「おっさんは更に向こうへ逃げさせてもらう、じゃな~」

 俺が彼女に背を向けようとすると。

「そうやっていつもあなたは、こんな焦らしてるかのようなプレ・・・・・・ゴホン、態度があたしの一人遊びをエスカレートさせるんです! ああっ! 迸る!」

「大声で一人遊びとか言うな! 気持ち良さそうに身をくねらすな! この淫乱娘が!」

「はいっ! いただきました!」

「何がいただきましただ!」

 気が付くと行き交う人々が俺のことを冷たい目で見ている。

 俺も今『淫乱』とか言っちまったな。

 傍にいた買い物帰りらしいマダムが俺の肩を叩き。

「あんな可愛い子にそんなこと言うの? お兄さんいくつ~?」

 そう言いながらバッグの中から携帯電話を取り出す。

「すいません! 通報してください!」

「言われなくてもするわよ~」

 おそらくマダムは俺を通報しようとしている。

 通報するならあの娘をしてくれ、と言いたい。

 その電話を奪って俺自身の声で通報したいぐらいだよ。

 世間の目は俺をどう捉えているんだ? 

 笑顔で追いかける少女から逃げているのは俺だというのに、きっと俺の言い分は通らない。

 理不尽だ!

 正確に現状を把握している人間がいてほしいのはこっちなんだ・・・・・・グスっ・・・・・・。

 マダムに眼で語りかけるも俺の意に反してマダムは携帯電話をプッシュし耳に当てる。

「敵は本能寺にあり!」

 咄嗟に意味の分からないことを口に出し、俺はまた走り出す。

「なんでこうなった? なんでこうなった⁉」


以前ご覧になった方はこの部分は飛ばして頂いて結構ですm(_ _)m

最高に笑えるラストまでなんとか書き切ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ