14話 誓い
スヴェインは自身の執務室で、静かに報告を聞いていた。
部屋にはスヴェインと、黒い服に身を包んだ男が一人。
スヴェインは男から何かしらの報告を受けているようだった。
「以上が報告で、ございます。詳細はこちらに」
「うん。ありがとう。この事は他言無用だ。いいね?」
「は」
「下がっていいよ」
男が部屋から出ていくと、スヴェインは静かに書類に目を通していく。
これはシャノンの行動報告書だ。
シャノンには密かに間諜を付けていた。それはどちらかといえばシャノンを探る理由ではなく、この大切な時期の彼女を護る為のものだった。
(シャノンがイアンと密かに会っていた)
じゅぐりと心をえぐられるような、それでいて胸が締め付けられるような苦しい感覚を味わう。きっと名前をつけるならそれは嫉妬と言うのだろう。
だがそれでもスヴェインは取り乱したりはしなかった。
ただ淡々と現実を理解し、受け入れる。
理解してしまえば納得の行く今までのシャノンの言動の数々にもスヴェインは動じなかった。
それは王となる者として育てられたが故か、それとも自分に動じる資格がないと思っていたが故か。
「大丈夫、それでも君を愛せるよ」
悪いのは全部自分なのだから。シャノンを丸ごと受け入れようとスヴェインは心に誓うのだった。