11話 すれ違う
スヴェインは疑問に思っていた、自分の心からの本心を伝えれば、彼女はそれはそれは喜んでくれると思っていたのだ。
自分のこれからの人生をシャノンに捧げると伝えれば、彼女は喜ぶでもなく、泣きそうになりながらライラのことを気にし続けていた。
そんな顔をさせたい訳では決してなかった。喜んで貰えなかったのは残念だが彼女は最後には納得してくれたようだった。
すっぽりと自分の腕の中に収まる小さなシャノンを想う。
女性らしい体つきのシャノンは柔らかく、石鹸のような爽やかな香りがした。
ライラとの別れ話は本当に穏やかに済んでいた。
スヴェインは彼女の想いも知っていながらも、シャノンに全てを捧げることを選んだのだ。
ライラも悲しい顔をしていたけれど、彼女も芯は強い女性だ。きちんと納得して、シャノンとの未来を祝福してくれた。
(シャノンはライラとも仲が良かったから……)
もしも当初の予定のまま、シャノンを王妃に、ライラを側室に据えていたとしても、2人は仲良くスヴェインを支えてくれていただろう。
シャノンはライラと自分の仲を心から願ってくれているようだった。
スヴェインは長く隠れ蓑として理不尽に使っていた弊害か、とため息をつく。そして、ゆっくりとでもシャノンの心を癒していこうと決意するのだった。
まだまだこれからふたりが歩む道のりは長かったが、スヴェインはシャノンとなら平和的に、穏やかに、そして逞しく国を治めていくことが出来るだろうと思っていた。




