表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

間話 ゴット(神)


ベッドに突っ伏してしばらく経ったかな?

アラームはなっていないけど起きよう。


デスクから顔を上げると…目の前に裸に白い衣と金色の飾り、そして緑色の冠をつけたいかにも神様らしい男(?)がいた。


「よく来たな、ターナカ•キョースケ。我は『ゴット』だ」

神様らしき男が『ゴット』を強調して言う。

「あー、えっと神様ですか?」

「神様ではない、『ゴット』だ。」

「えっとゴットは神様ですよね?」

「うむ、そうだが」

男が往々と頷く。

神様で間違いなさそうだ。

「ではなぜ神様ではなくゴットにこだわるのですか?」

「ゴットの方が響きがいいからだ。」

神様がはっきりとした感じでいう。

けど、これもありそうだけど、あからさまに他の理由もありそうだ。

なぜなら顔が赤いから。

「本当ですか?」

怪訝な顔にして聞いてみる。

神は顔から汗を数滴、そーっと垂らしながら答える。

「う、うむ。本当だ。」

絶対嘘だろう。

「正直に答えた方がいいですよ。」

さっきよりもさらに怪訝な顔で追及する。

「他の誰にも言わんか?」

神様が、耳元で小声で言う。

「はい、言いませんよ。」

断言する。神の秘密なんて知っても使い道がないからだ。

しかも多分、私死んだし。

いや、案外神様を脅すのには使えるかもしれないけどいっか。

「わかった、お主だけに特別に話そう」

神様がそう重々しくいう。

引き続き私の耳元で言うようだ。

続けて

「女神、女神マリアが我を「ゴットくん」と呼んでくれたからだ。」と言う。

言っている時は淡白だったが、言った途端顔を真っ赤にしてもじもじしだした。

ヒゲが生えた白髪の壮年の男に見える神様が年にもなくもじもじしているのは見ている私もいただけなくなる。

「えっと神様は女神様がお好きなので…」

「うむ、そうだ」

神がまた冷静になったのか、堂々とした声で答える。

「では女神様にそう呼ばれたので、ゴットと名乗るようにしているのですね。」

「ああ」

神様がまた往々と頷く。

「なるほど、わかりました。秘密にします。」

とりあえず、秘密にすると約束する。

特に使い道が無さそうな情報であるし。

「うむ、頼むぞ」

神がさっきよりもより堂々と答える。

さっきと何も違いがわからないが、約束するまでは一抹の不安はあったのかもしれない。

ことが終わるまでは安心しない、社会人の常識だ。

「ちなみになんでゴットと呼んでいるのですか?

ゴットよりはゴッドが正式な気がするのですが?」

「む、そうなのか?」

「はい、私の世界なら。」

「ならそうか、この世界はお主の世界と言語面では近しい。つまりゴットは間違いと言うことか?」

「おそらく」

「なるほど、ではなぜ我はゴットと呼ばれているのだろう?」

「はて、何故でしょうか?」

「…」

神様は考え込んでいる。

「…もしかしたらですが、神様はあなただけではないですか、女神も?」

「うむ、そうだ。我以外にもたくさん神がいる。

ちなみに我は創造神でマリアは大地母神だ。」

「創造神!もしかして神様は結構くらいの高い神様だったりしますか?」

「そうだな、総合神よりは低いが序列は高い方だな。」

神様が胸を張って偉そうにする。

見た目はギリシャの絶対神ゼウスようだが、さっきのを見るとどうしてもそうは感じられなくなる。

「なるほど、ちなみに神様のお名前は?」

「ない、強いて言うならお主らが呼ぶ神様だな。

固有名詞ではないが。」

「ではマリア様は?」

「彼女は人気が高くてな、自然に名付けされていた。」

「なるほど、では神様は…」

「あまり人気ではない」

神様が少し気落ちした感じで答える。

「わかりました、何故マリア様が神様をゴットと呼んだのか。」

「うむ、何故なんだ」

すぐ神様が食いつくように聞いてくる。

「…他の神様との区別でしょう。」

少し間をおき、答える。

「他の神様との区別…本当か」

神様が繰り返して、驚きながら聞いてくる。

「ええ、多分。

だからゴットなのでしょう。」

「つまり脈なしか」

神様が悲しそうに言う。

「いえいえ、分かりませんよ。

少なくとも他の神様との区別をしようとはしていますし。」

「今思えば、確かにこの前戦神と手を繋いで歩いていたような…」

神様は聞いていない。

「確かによく考えたらあの時のキスも騙しられたのでは…」

聞いていない、というか今キスと聞こえたが、キスしているのはなかなかに脈ありなのでは…。

「もしかしてマリア、お前はもともとそのつもりで…」

神様の恨みが籠った声が聞こえてくる。

すごい気になるが…まあ、神様の恋愛事情に私が介入するのはやめよう。

次元が違い過ぎる…と思いたい。

何か、私の存在で何か壊れた感じがしたが、気にしない。

全ては私に関係ないのだ。

そう、関係ないのだ。



「で、なぜ私がここにいるんですか?」

恋愛の話をやめて、本当に知りたいことを聞く。

神様の恋愛事情よりもこっちの方がよっぽど大切だ。

「うむ、お主が死んだからだ」

神様もうむで恨み言を呟くのはやめて、切り替えて答える。

すでに分かっていたが、死んだことが確定した。

「何故死んだのですか?」

何故死んだのだろうか?

病気か?

癌か?

それとも…

「過労と栄養失調だ。」

そっちから来たか~。

正直言って以外だ。

しっかり栄養は摂っていた筈だし、バランスも一汁三菜を徹底していたはずだから問題ないはずだけどな。

しかも睡眠もある程度は取っていたはず。

流石に死ぬってほどではないだろう。

「私ちゃんと栄養摂っていたはずですし、睡眠も死なない程度に摂っていたはずですが…」

「うむ、少し待ってろ。ふむふむ…」

聞いてみると神様が手元に光の板みたいなのを出して何やら見ている。

「…ふむ、それがどちらも1ヶ月前ほどから取れていなかったそうだぞ。」

「1ヶ月前…」

1ヶ月前といえばちょうど金沢の旅行から帰ってきた頃だ。

その頃…そういえば金沢の旅行でたくさん使ったからいつもより節約しようってことで、食べる量はいつもよりもさらに少なくしていたっけ。

けど、それほどか?

今までの旅行の後も同じようなことをやっていた気がするけどな。

仕事は常時たくさん受けていたけど、死ぬほどでは…いやこの季節は仕事が忙しくなるけどそれか?

いやでもそんなもので死ぬものか?

「どちらも昔から程度でそれほどではない気がしますが?」

聞いてみる。

「それが体に応えたのではないのか?

そなたの生活は様々な死者を見る我から見ても異常だぞ?」

「そうですか?」

「自覚できていないくらい体に染み付いてしまったようだな。どう表現したらいいだろう?

そうだ、お主が勤めていた企業はお主の世界の現代人が言うブラック企業だ。」

「何でしょうか?それは?

…でもなにか良くないことは分かります。」

現代人がよく言っていてもネットを使わないせいでわからない。けど名前からして良くないことは分かる。

「うむ、それに勤めていたせいでそなたは体を害した。

そなたも未だ若い方だが、昔のようにとはいかないこともある。」

「ふむふむ」

「うむ、とにかく、そなたは死んだのだ。

分かったか?」

「はい、わかりました」

未だよく分からないところはあるけど、一旦いいだろう。

結構長くなってしまったし、これから神様がこれよりも大切なことを言いそうだし。

「よし、ではお主のこれからを伝える」

私のこれからを伝えるようだ。

何だろう、異世界に転生か?それとも転移?

「神としてここで働いてもらう。」

「はい?」

「神として我らの下で働いてもらう。

そなたの生活が少し楽になったものだともらって構わない。」

「旅行は?」

「休みはあるが、神が下界に降りると迷惑だからな。

基本ないし出来ないぞ。」

「えっ。」

流石に旅行がないのはいただけない。

「どうしてもですか?」

「どうしてもだ。

だって我だって出来ないし。」

「それはいただけません」

あんまりじゃないだろうか、旅行がない生活なんて生きていけない。死んでるけど。

「いや、そんなこと言われてもなあ?

総合神の決定だし」

「なら、神になりません」

旅行に行けないなら、なる意味がないだろう。

「困ったなぁ、でもそう言われても」

「うぅん…」

どうにか説得しないといけないどうすれば…そうだマリア様のことを使おう!

「マリア様のことバラされたいのですか?」

あえてトーンを上げて言う。

「うぅむ、でも言わないって約束しただろう。」

神がまたあからさまに焦っている。

「そんなもの、しましたっけ?」

とぼける。

「いいや、でも…」

もう一押しだ。

「言いますよ」

「分かった、神にするのはやめよう。」

「その代わりどうしてくれますか?」

「いろいろあるだろう、転生とか転移とか。

今は…勇者になってくれると助かるが」

勇者か。

魅力的ではあるけど、辛いことも多そうだし、私には向いていなさそうだから辞退しておこう。

「勇者はいやです。」

「では転生か転移か?」

「それぞれのメリットとデメリットを教えてください。」

一応聞いておこう、あまり変わらない気がするが。

「うむ、転生は記憶が消えてしまうが、新しい肉体が手に入る。転移は新しい肉体が手に入らない代わりに記憶が残る。

と言う違いだ。」

全然違った。

そもそも転生したとしても記憶がなくなったら元も子もないだろう。

「転移で」

即決だ。

「分かった転移だな。ではそこら辺に立っていろ。」

「はい」

また神様が光の板を出して操作している。

しばらく操作すると…。

「では転移の用意が出来た。

まず転移したら初期の生活に必要なものは身につけているはずだ。

そして言語に関しては気にせずとも喋れるようになっている。

ステータスは一般人並みにはある。

これはレベルがあってモンスターと戦うことで上がる。

レベルが上がるとステータスも上がるので確認するように。

スキルもあるが、これは初期だと一般的なスキルが3つと、もしかしたら固有スキルが一つあるはずだ。

レベルが上がるとスキルも増える。」

ワンテンポ開けると

「では、転移してもらう今世を楽しむように」

「はい」

「では、さようならターナカ•キョースケ」

「さようならゼウス様、いや神様。」

間違えてゼウス様と言ってしまった。

いや最後に見せた神々しい雰囲気がゼウスにとても似ているように見えたからだ。


あとしまった、ターナカについて聞き忘れていた。

キョースケはいいとして何でターナカと呼ばれたのかは気になる。

まあいいか。


そんなことを考えていると目の前に広がっている光が晴れた。

「これは…。」

目の前には地平線まで広がる広大な草原が広がっていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ