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グレイシアシリーズ

君が去るとは思わなかった

作者: ひよこ1号

レクサス視点で、グレイシアに去られるまで。

一部電子書籍化に含まれる場面も入れたので、改稿によっては台詞が変わったり、齟齬が生まれる可能性もあります。

※ご指摘頂いた「いそいそ」は少し説明不足だったので文章を追加しましたが、王子には分からない部分なので、他者目線の際に内容はお伝えします!

春の盛りに、白薔薇の咲く庭で初めて目にしたグレイシアは輝くばかりに美しかった。

笑顔は可愛らしくもあり、アルテシア王国の王子、レクサスは一目でグレイシアが気に入ったのである。

他に何人もの同年代の令嬢はいたけれど、殆ど言葉を交わす事は無い。

いつでもレクサスは、グレイシアを見つけると真っ先に彼女を連れ去っていくからだ。

残された令嬢達は、落胆する者もいれば意に介する事のない者もいて。

だが、5年も経てば淡い恋心を王子に抱いていた者も、雪解けの季節の氷のように跡形もなくその気持ちを消していた。


グレイシアにべったりだったレクサスを案じたのか、12歳を迎えたある日、グレイシアは母のコンスタンツェが帝国へ里帰りする事になり、その旅に同行したのである。

その際、グレイシアが国王と王妃に進言したのは二つ。

一つ目は、他の王子妃候補ともきちんとお茶会をさせること。

二つ目は、王子に側近を迎えること。

今までは公爵令息が数人側に友人として仕えていたが、その数人に加えてグレイシアの推薦で10人程度の側近が召し上げられた。

同性の同年代が増えた事で、レクサスは益々王子妃候補とのお茶会を嫌がる様になり、側近に声をかけさせて、途中退席すらするようになってしまい、王妃は頭を悩ませた。

国王に相談してはみるが、彼は嬉しそうににこにこと笑みを浮かべながら言った。


「良いではないか。コンスタンツェの娘、グレイシア程の美しく優秀なご令嬢など何処を探してもいないのだから」


あまりにも無神経な言葉に、王妃は落胆した。

そして、王子妃候補達からも少しずつ辞退の申し出が出始めていた。


ある日、気が向いたレクサスが庭園のガゼボに向かっていると、小間使い達がいそいそと茶器や食器を持って城へと戻って行くのに出くわして、レクサスは問いかけた。


「今日はルルド侯爵の令嬢との茶会の筈だが、何処へ行くのだ?」

「……本日の茶会は中止と伺っております」


それだけを言って、小間使いは敬礼するとそのままいそいそと歩いて行く。

何処となく嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか?

レクサスは首を傾げつつ、ガゼボの方を見るが、今日は令嬢の姿も無い。

城の執事が片付けの指示を出しているので、レクサスは更に執事に尋ねた。


「何故、茶会が中止になった?ご令嬢が病気にでもなったのか?」

「いえ、ルルド侯爵令嬢により、いつも殿下はお見えにならないので中止で良いとお申し出があり、王妃様がそれを許可致しました。王子殿下にもアーバン伯爵令息が言伝を届けた筈ですが…」


聞いていなかった。

まるで自分が望んでいたのに断られたかのようで、レクサスは怒りながら王子専用の執務室へ向かう。


「レナト・アーバン。貴様は満足に言伝も出来ぬのか!」


部屋に入るなり怒り出したレクサスに、レナトは首を傾げる。


「殿下は何処へお出ましに?」

「偶には茶会に顔を出してやろうと思ったのだ、そうしたら中止だというではないか」


答えを聞いてレナトは、ははあ、と薄笑いを浮かべる。


「まさか殿下が茶会に出るなどと露とも思わず、お伝えいたしませんでした」

「母上に何度も言われていたので仕方なく、だ!」


かっと顔を赤くして言うレクサスに、レナトは姿勢を正して左胸に手を当てて挨拶をする。


「それはそれはご無礼を致しました。ではお伝えします。今後、殿下とのお茶会を望まれる王子妃候補の令嬢は居りません」

「………は?何を、言っている」


愕然と言い返したレクサスに、レナトは、あ、と声を上げる。


「お一人は居られましたね。まだ帝国からお戻りになられていませんが、グレイシア様からは特に断られておりません」

「シアはいい、分かっている。だが、他の令嬢はどうした」


ええとですねぇ、と言いながらレナトは、手帳を懐から出して言う。


「バダンテール公爵令嬢は王子妃候補をご辞退されました。エモニエ公爵令嬢も同じく。ファイエット侯爵令嬢……もですね、うん。ルルド侯爵令嬢は、まだ残っておられますが、時間の問題かと。残りの3家の打診はまだですが、もういい加減王子の方から解放して差し上げては?」


手帳を胸に仕舞い込むレナトを見ながら、レクサスも考える。

このままでは全員に断られるのも時間の問題に思えた。


「……シアが戻り次第、父上に許可を頂戴する」


レナトはやれやれ、と肩を竦めてから長椅子に寝転がって昼寝を始める。

そして、数か月後帝国から戻ったグレイシアの目の前で、レクサスは国王に嬉しそうに求めた。

「他の者の王子妃教育は終え、候補から外しましょう」

驚きに目を瞬いたグレイシアの目の前で国王がその申し出を認め、グレイシアを除いた全ての王子妃候補が辞退も含め、候補から外れたのであった。



数年が経ち、スターチス学園に入学して、レクサスはある少女と出会った。

男爵の庶子だという娘は、夕陽色の髪に夕陽色の瞳をした可愛らしい少女で、何より素直さと正直さ、優しさと溌溂さにレクサスは関心を寄せたのである。

彼女の成績は良くなかったが、大したことのない問題を解いて教えてあげただけで、カリンは手放しでレクサスを褒め称えた。


「すごい!レクサス殿下は賢いんですね!私、全然分からなかったんです」

「……そうか?この位ならいつでも教えてあげよう」

「嬉しいです!レクサス様は優しいのですね」


今まで支えてくれていたグレイシアは優秀だ。

見た目の美しさだけでなく、心根も優しく美しい。

けれど、レクサスの事を誉めてくれた事はないのだ。

褒めた事がないというより、出来ない事が出来るようになれば素晴らしいと評価はしてくれた。

けれど、カリンのように、純粋に凄いとキラキラした目で見られたことは、無かったのである。

だから、嬉しくてレクサスは舞い上がった。


慎ましやかなグレイシアは、決して自分の功績をひけらかしたりせず、全てレクサスの手柄にしていたし、レクサスを支える為にいるのだから当然、と優しく微笑んでいた。

けれど、勉強でも政務でも、レクサスに出来ない事を軽々と熟すのだ。

分からない事があれば、そっと横から助けの手を差し伸べてくれる。

レクサスがグレイシアにそれをする事は出来ない。

だって、グレイシアは何でも出来るから。


故に、何も出来ないカリンの世話を焼いて称賛される事に、いつの間にかレクサスは依存し始めていた。

何でこんな事が分からないんだ、と思う傍ら、いや、出来なくても自分が手を貸せばいい、と思う。

カリンが分からないという簡単な問題が、レクサスには取るに足らないものなのだから。

初めて明確に誰かより優れていると感じる事が出来たのである。


1年もすると、そんな可愛らしくて優しいカリンの周囲には、色々な身分の令息達が集まっていた。

カリンに紹介される事で、側近、とまではいかないものの、その補助として人員を追加して少しずつ増えていく。


「いつもお世話になってるから、私もレックのお手伝いがしたい」


可愛く上目づかいで強請られれば、生徒会への出入りも許した。

お茶を淹れて、カリンとレクサスを囲む側近達にも可愛がられ、幸せで充実した日々を送っていたのだ。

だが、暗雲が立ち込め始めていた。

カリンが嫌がらせを受けるようになっていたのだ。

愛らしいカリンに令息達が惹かれるのは仕方がないというのに、婚約者達がカリンを責め立てるのだと言う。


「私はただ、皆と仲良くしたいだけなのに」


涙を零すカリンは幼気で、レクサスは周囲の令息の婚約者達を、何て酷い女達だろうかと非難した。


「そのような心根だから、婚約者の心も離れるのだ」

「仰る通りです殿下!」

「女というものは嫉妬深くて……カリン嬢は色々慣れないから手助けをしてあげているだけなのに」


レクサスの言い分に、多くの者が賛同してくれることも、レクサスの愉悦になっていた。

カリンが文句を言われている場に呼ばれて、カリンを守った事もある。


「何故わたくしの婚約者がカリン嬢の同行エスコートをして、わたくしを一人になさるのですか」

「だから、何度も言っているが、カリン嬢はまだ夜会などに慣れていないのだから、手助けが必要だろう」


「何をしている」

「……レック……わ、私の所為で二人が喧嘩になってしまって」


ぽろぽろと泣き出したカリンの肩を抱き寄せると、令息も令嬢も言い争うのを一旦やめてレクサスに礼を執る。


「慣れている者が慣れていない者に手を貸すのは優しさだろう。君は今まで夜会に何度も参加しているのだし、一人で参加するのが許されない訳でもない。そう目くじらを立てなくても良いのではないか」


「お言葉ですが殿下。わたくしに贈る予定のドレスまで、婚約者でない女性に贈られるなんて、蔑ろにされているのも同じです」

「だから、それも言っただろう。毎回じゃない。今回だけの話だ。カリン嬢は今まで市井で暮らしてきたのだから、持っているドレスの数が君とは違うんだ!」


レクサスに言い縋る婚約者の言葉を、令息が遮って言い訳をした。


「そうやって他人の婚約者に高価な物を集るだなんて、恥を知らないのではなくて?」

「……あっ……、私、本当に……ごめんなさい。つい、皆さんの優しさに甘えてしまって……」


目を吊り上げて怒っている令嬢に、ただただ申し訳なさそうに身を竦めて謝罪する可憐なカリンが儚げで愛おしかった。

レクサスは、冷たい目を令嬢へと向ける。


「冷たい其方からはどんな男でも心が離れるだろうよ。此度のドレス、私が支払いをしてやるから、お前はその浅ましい婚約者に贈ってやるがいい」

「は……感謝いたします。ほら、お前も殿下に頭を下げろ」


何故、正当な要求をしたのに侮辱された上に、餌でも投げ与えられるようにドレスを与えられて、感謝しなければいけないのか。

令嬢は悔しさに涙を流して、その場を逃げるように立ち去った。



何度か酷い令嬢達に責め立てられた後、カリンはレクサスと二人きりの時に零した。


「グレイシア様って凄いんですね。嫉妬なさらないなんて。生徒会の皆が誉めてましたよ。美しいだけじゃなく、淑女の鑑だって……でも」

「……でも?」


カリンへの嫉妬による嫌がらせがあってからというもの、生徒会では度々グレイシアの美しさや賢さだけでなく、嫉妬をせずに男をたてる、淑女の嗜みについても称賛の的となっていた。

深い愛を捧げられている、と言われてレクサスも良い気分になっていたのだが、カリンの一言で胸がざわめいた。


「本当に好きだったら、嫉妬、しちゃうんじゃないかって。だって、私、レックとグレイシア様が昔から婚約してるって分かってても、やっぱり嫉妬しちゃうもの。剣も強くて頭も良くて、私なんかじゃ全然釣り合わない素敵な王子様だけど、独占したいって思っちゃうの……」


だが、グレイシアへの疑問も、カリンの熱烈な愛の言葉に霧散していく。


「可愛いな、カリンは」

礼儀作法マナーの授業も頑張るから、いつか、私を同行エスコートして下さい、レクサス様」

「ああ、喜んで」


抱き合いながら睦言を交わしているが、あ、とカリンは声を上げて悲しそうな顔をした。


「でも、グレイシア様も、私がレックに同行エスコートされたら、嫉妬して怒っちゃうかな?」

「いいや、シアは、そんな風に怒ったりしない。彼女は慎ましいからな」


言いながらレクサスは、グレイシアには怒られるのも嫉妬されるのも悪くないと心の何処かで思っていた。

だが、優秀な王子妃候補のグレイシアは、そのような失態は見せないだろう、とも。


「だから、高位貴族の夜会に参加出来るようになったら、私が同行エスコートする事を約束する」

「嬉しい!レック大好きよ!」



そんなある日、カリンが学校の噴水に落ちるという事件が起こって、レクサスは助け出した後に自分のサロンへとカリンを運び、グレイシアを呼びつけた。

当然ながらグレイシアには何の咎も無いのだが、学園でこんな問題が起きるというのは良くない。

令嬢達のまとめ役として、グレイシアにも責任の一端はある。

カリンは誰かを庇っているのか、しきりに大丈夫だと言っているけれど、これは暴力事件だ、とレクサスは憤った。

暫くすると侍従から声がかかり、グレイシアが現れる。


「お呼びとお聞きしましたが、何のご用件でしょうか?」

「……それが、カリン嬢が嫌がらせを受けているようなのだが、何か知らぬか?」


グレイシアなら把握しているだろう、と声をかけるが、グレイシアはきょとんと首を傾げる。


「お噂だけは耳にしておりますけれど……婚約者のいる殿方と不適切な距離でお付き合いされていて、婚約者の方々から不興を買っている、というお話ならば」

「君までそんな事を言うのか!」


まさか、カリンを批判する言葉を言われると思わず、レクサスはカッとなった。


「何か知らぬかと仰せになられたのでしょう?わたくしは別にレクサス殿下がカリン嬢と親しくする事について、何も申し上げておりませんけれど、噂を耳にしたとお伝えして何故、わたくしがお叱りを受けねばなりませんの?」


ハッとレクサスは自分のした事に動揺して、バツが悪そうに目を逸らす。


「カリンはただ、皆と仲良くしたいだけなのだ」

「でしたら、殿方だけでなく、ご令嬢達とも交流を図るべきではございませんの?」

「令嬢達は、カリンが男の歓心を得る事に嫉妬しているのだ」


グレイシアはちらりとカリンを見て、穏やかに言葉を紡ぐ。


「すべてのご令嬢がそうという訳ではありませんでしょう?現にわたくしは、彼女と挨拶を交わしたことはございますけれど、それ以上の交流はございませんが」


「それは、その……恐れ多くて……」

「王子殿下や公爵令息などの高位貴族の令息達とは交流なさっているのに、ですの?」

「それは、皆が優しくしてくれるから…だから……うっ」


正論では勝てないし、グレイシアの穏やかな言い分は尤もに思えてレクサスも頷いた。


「泣くなカリン。グレイシアは助言をしてくれているのだ。……シアもカリンに優しくしてやってくれないか?」

「冷たくした覚えはございません。優しくする、というのは、殿下から見てどのように振る舞うのがお望みなのでしょうか?」


「それは、その、だな。婚約者をとられたと思っている令嬢達に注意をしたり……」

「レクサス殿下……どのような注意を与えるおつもりですか?婚約者の浮気には目を瞑って、耐えるようにと仰せでしょうか?」

「いや違う。浮気では断じてないのだ」


レクサスから見れば、貴族として慣れていないカリンを皆で手助けをしているだけなのだ。

だが、グレイシアは困ったように問い返す。


「幾人もの殿方が、婚約者ではない女性に高価な贈り物をするのは、如何なものでしょう?レクサス殿下のように裕福でしたら別ですけれど、婚約者に充てる分の資金を、他の女性の為に使うのは殿下から見て、問題ないと?」


「……カリン?」


最近、そんな話になった時に庇った筈だった。

彼は今回限りと言っていたが?と問いかけるように覗き込むレクサスに、カリンはまた涙で瞳を潤ませた。


「だって、くれるというのだもの。要らない、なんて言えなくって、私……」


「そうか。それなら君は悪くない。グレイシア、悪いのは婚約者の男であって、カリンではない」


「そのようですね、安心いたしました。では、レクサス殿下がカリン嬢の周囲の殿方に注意を促せば問題ございませんわ。過度の接触を禁止し、高価な贈り物を禁じて下さいませ」


にっこりとグレイシアが微笑めば、レクサスも大きく頷いた。

カリンだけを責めたりせずに、物事に適切な対処をするグレイシアは流石だ、とレクサスは笑顔を向ける。


「早速対処しよう。これで安心だな」


心配なのか、カリンは浮かない顔をしていたが、レクサスは安心させるように微笑んだ。



「何だ、あれは」


生徒会の人員を連れて中庭を歩いていると、ガゼボに一人の青年を中心にして令嬢達が群がっている。

陽に焼けた肌に赤い髪に赤い目の中性的な美青年に見える人物は、辺境伯令嬢ルシャンテである。

騎士科に所属し、動きにくいからと男の制服を着て闊歩していた。

レクサスは幼い頃に剣で叩きのめされてから、ルシャンテを嫌っていた。


ユーグレアスがフン、と鼻を鳴らして答える。


「ああ、以前カリン嬢に嫌がらせをしたご令嬢達を宥める為に、グレイシア様があの者らに投げ与えた餌ですよ。お陰でカリン嬢への中傷もなくなったので、まあ、良い事ではありますが」


とはいえ、ユーグレアスも面白くはなさそうである。

美しい令嬢達が、常にルシャンテの周りに詰め掛け、寄り添って熱い視線を向けているのだから。

女性だという気安さもあろうし、見た目は女性が好みそうな美形である。

仲間の騎士科の男子生徒の方は、少し距離を開けてではあるがルシャンテや令嬢達と楽しそうに談笑をしていた。


「わ、華やかですね。騎士科の方ってあまりお見掛けしませんけど、背も高くて素敵だなぁ」


正直な感想を漏らすカリンに、余計にレクサスは腹が立った。


男女の癖に、あんな風に女達を侍らせて……!


レクサスも沢山の令嬢から求められたいという願望が無かったわけではない。

王子妃候補、という決められた箱庭ではなく、学園や夜会で羨望の眼差しを受けたかった。

だが、王族だからという敬意は得られても、愛は得られない。


甘えた様にルシャンテにしなだれかかる令嬢も、嬉しそうにルシャンテに撫でられる令嬢も幸せそうにしていて、レクサスが引き連れている婚約者である側近達には見向きもしない。


だから、ルシャンテが盲目的に仕えているグレイシアに抗議してみたものの、逆に言い負かされてしまったのである。

ルシャンテと令嬢達は同性だし、適切な付き合いなので風紀は乱れないが、カリンとレクサスや側近達は異性なので、風紀が乱れる、と。

そして、カリンが嫌がらせを受けるのはレクサスが、カリンの立場を明確にしない為だと突き付けられ、レクサスは決断を迫られていた。

カリンを守る事が出来るのはレクサスだけなのだと言われて。

レクサスは、カリンを守るために正妃に迎え、夫妻をグレイシアが、ずっと側妃として支えてくれるのだと、信じて疑っていなかったのである。


だが、結果は。

公爵令嬢であり、帝国の皇女を母に持ち、王国の姫を祖母に持つ美しきグレイシアは、側妃にしていい女性ではないと最初から分かっていた筈だったのに。

正妃でなければ受けられないと当たり前に婚約を解消するに至ったのである。


「ずっとお慕いしておりました。どうか、お幸せに」


その言葉を最後に、グレイシアは去って行った。

最初にどうして、側妃は嫌だと言ってくれなかったのか。

言ってくれれば、カリンを側妃にする事も出来たのに。

でも、慎ましやかな悲しい微笑みを見れば、責める言葉は口から出すことは出来なかった。

グレイシアはずっと、愛して支えてくれて、それに甘えたのは自分だという事は分かりきっていたのだ。

他の女達なら裏切りだと騒ぎ出す扱いをされても、ずっと。


ぽっかりと穴が空いて、レクサスは思い知る。

ずっと傍に居て愛し、支えてくれた女性が消えてしまった事を。

泣く事さえ出来ず、ただ茫然と、レクサスはその場に崩れ落ちた。

短編としての体裁があると、個人的な生い立ちも書いとくか…ってなって、グレイシアが去った後(レクサスvsユーグレアス、屑男頂上決戦)まで入りませんでした。てへぴよ。

一応予定としては、カリン目線と側近の婚約者目線と王妃目線が続きます。時系列は、大体グレイシアがいなくなるまで。

レクサスはいなくなった後、当然めちゃくちゃ大変になるのでそこは書きます。↑終わったら

グレイシアに求婚+争奪戦している帝国皇子達のお話も…サーシャとアイリーンも…書きたい。

あとちょっと読者様に質問したい事が・・・今後、連載をする際の指標にしたいので、教えて頂けたら嬉しいです。

①連載は完結してから載せて欲しい

②完結してなくても完結させてくれるならまあ載せてもいいよ

③ひよこの好きにしな

④他の長編何とかしろ

⑤茄子って美味しいよね

ご意見頂けると嬉しいです。秋茄子ちょう美味しい!

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― 新着の感想 ―
②と⑤ うん!茄子って美味しいよね!
① 基本完結してない物語は読まない様にしています。・・時間が経ってしまうと登場人物などの名前や係わりを忘れてしまうのと、話しのボルテージが継続出来なくなって興味が無くなるからです。 ⑤茄子 大好きです…
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