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23 三両目一駅七分間のキミ

「ブァッカみたい!!なぁーにが卒業アルバム見せてほしい、よ!!その気もないくせに紛らわしいこと言って!!だったらアルバム持って来てほしいって最初から言いなさいよねコミュ障がッ!!このオタク共がッ!!あーもう、胸糞悪い…………あ、パパぁ?あたし帰りたーい!迎えに来てぇ!!」


「あー俺も。バイトあるし先に帰るわ。櫻井、乗っけてって」


  

 翌日、赤ピアスは激昂しながらお迎えに来たやたらと立派な車に乗って瑠生くんと先に帰ってしまった。

 うーん………結果的に彼女には申し訳ないことをしたけれど、楓くんとキスなどと嘘は許し難し。

 

 帰り際に瑠生くんからは「何かあればすぐに言え。助けてやるよ、ヒーローがな」と、頭をぐしゃぐしゃっと撫で回された。

 すぐ楓くんに「必要ない!」と牽制されていたけれど、面倒見のいい彼らしい台詞だ。

 

「蓮水ィ、あんま不甲斐ねーと、次は選手交代だぜ?」

「生憎こっちも今後は遠慮なくやらせてもらう。

 ーーーーやらないよ誰にも、このポジションだけは」

 あの時わたしが走り去ったあと彼等は何かしらあったようで、不思議な友情が生まれたようだった。

 なんだけど。

 

 …………遠慮なく、とは。

 

 今朝から気が付けばさり気無く楓くんの手はわたしの肩へ。腰へ。

 さらには髪を………触られたり頭に彼の………く、くく唇がっ…………時折触れているような。い、いやまぁ、頭に触れるより昨夜はとんでもないキスを…………っっ!!

 しかもあれから、こっ…………こここ恋人繋ぎまでしてしまった………………っっ!!

 

 そんな楓くんからの刺激強めのボディタッチがやたらと多く、わたしは赤面しっぱなしなのだった。

 

 

 それから…………


「すっ転んで頭打った時、楓ったらキーホルダーだけは離さなかったのよ。最初は事情を知らなかったから自分で作ったのかと思ってたけど、星来ちゃんがうち来た時にピーンとね!で、河原で訊いたらやっぱりフェルトでマスコット作るってゆーじゃない?ほらもう、あらあらやっぱりこの子か、って。親達が両手あげて喜ぶわー、あの人達権力嫌いのガッツリ恋愛婚派だから!蓮水家安泰!あ、私は地位と恋愛派ね、マザコンだけは勘弁だけど!」


「星来ちゃんをずっと見守ってきた親友としては、星来ちゃんを好きだとかゆー人は見た瞬間わかるもんなの。そこゆーと蓮水くんは初対面から私のセンサーに反応したわけ。気付いてないみたいだけどコロ助の時みたいに星来ちゃんってショックを受けると『である、ですぞ』がなくなるから………蓮水くんに本気みたいだし?初恋を応援したい気持ちはあったけど、大事な親友を任せられるか否か………悪いけどしばらく蓮水くんを試させてもらったわ」


「楓はさぁ、恋愛童貞だからどーなることかと思ったけど、星来ちゃんも似たよーなもんだったし俺としてはちょうど良かったよ。見てて飽きなくて。

 ほら俺、ゆる〜く愉しむタイプだからさ!」


 佑月さんに、菜那ちゃんに、圭介くん。

 全てを知っていたとゆうその三人の言葉を聞いて、楓くんが絶句していたのは言うまでもない。


 

 ※

 

 

「あの…………か、楓くん………!こ、ここでキ、キス…………とか、頭だけどその、すごい見られてるような気が…………するから…………!」

「そうか、ごめんね」

「う、ううん……ここだとほら、やっぱり恥ずかし……」

「気がする程度じゃ足りなかったね。もっと確信するくらいじゃないと」

「え………あの…………」

「頭へのキスで駄目ならやっぱり………」

「か、楓くん………!?あ、あのね、そうじゃなくて……………楓く………んんっ!?」


  

 ーーーー余談だけれど、わたしは夏休み明けの文化祭でも、彼からの甘すぎる言葉と態度に終始溶かされてしまうのだ。


 その傍で三人の漫研部員が呪いの呪文を唱えていたけれど魔王様には効かなかったようで。

 わたしとしては漫画談義に花を咲かせる仲間が出来て嬉しい限りだ。

  


 

 何はともあれ。

 今日も駅構内のプラットフォーム。

 

 最後尾のわたしは、ノロノロと足を動かしいつもの特等席へ向かうのだ。

 三両目の扉の、すぐ窓際にいる彼の元へ。



 幸せな一駅七分間を、キミと一緒にーーーーーー



 END



最後までお付き合いくださり有り難うございました。

普段はファンタジー系を書き溜めてはそのままになっているので、きちんと完結させてみたいと現実世界のお話を書いてみました。

初めての投稿はとても新鮮で勉強になりました。

毎日一人でもチラ見してくださる方がいるだけで嬉しかったです。

お読みくださった方々、本当に有り難うございました。


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