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異世界に勇者召喚された俺、仕事って魔王を倒すことじゃないの??  作者: 菜寿
第1章 勇者、隣国との戦争に参加する
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勇者、戦略を練る

「し、失礼します!国王陛下、大変です!ゲノン国が攻め込んできました!」


 扉を勢い良く開けて部屋に飛び込んできたのは、騎士の格好をした人だった。


 …は?ゲノン国って隣国だよな?さっきカノル、攻め込んで来ないと思うって言ってたところじゃないか。


「わかった、今行く」


 すぐに反応したのは、第二騎士団副隊長をやっている、第二王子オルネースだった。


「他の隊長や戦略隊の方々は、すでに会議を始めています。お急ぎを」


 部屋に来た騎士に連れられて、オルは行ってしまった。


「俺も行ってきます。母上たちは、この部屋にいてください。護衛も増やしますので。フェル、皆を頼むぞ」


「お任せください、兄上」


 オルに続いてカノルも部屋を出ていこうとするので、俺も慌てて後を追った。


「カノル、俺も行く」


「だいぶ走るぞ。ちゃんとついて来い」


「了解」


 廊下を全力ダッシュするカノルとはぐれないよう、必死に走ってついて行く。


 しばらく走り、着いたところは、戦略隊の兵士が活動している部屋だった。


 コンコン。


「失礼する。今日も俺が陛下の代わりだ。それと…」


「シン・コグレです。よろしく」


「ああ、早く来てくれ」


 返事をしてくれた兵士以外にも、大きな机を囲って7人の兵士が集まっていた。


 机の上には、図書室の本よりも細かくトート国の地形が書かれた地図が広げられていた。


「ゲノン国軍は、現在ヌフィダン(東の山)を進行中とのことです」


「勇者様がいる我が国をなぜわざわざ…」


 カノルと同じく騎士の方々も、俺が来たことで戦いは無くなると思っていたようだった。


「軍の数と進行速度はどのくらいだ?」


「偵察隊からの情報では、軍の数がおよそ千。進行速度は速いようで、5日後には山を超えると思われます」


「…どうするんだ?カノル兄さん」


 おおよその決断は、国王代理のカノルに委ねられるらしい。


 ていうか、戦争で敵の数が千って少なくないか?弱小国にはそれで充分ってこと?


「…アングスタビアに到着される前には終わらせたいな」


 カノルが指差したところは、地図上で道が狭くなっている場所だった。


 トート国の地図を改めて見て、この国が鎌倉の地形に似ていることに気付いた。3方に山、1方に海。道が狭くなっている場所は、切通しのように見える。


「何でだ?」


「アングスタビアは、いつも多くの負傷兵を出している場所なんだ。道が狭くて戦いずらいんだよ」


「…普通逆じゃないか?迎え撃つ側が有利になるだろ」


 周りの騎士たちも、カノルに頷いていることに驚く。カノルも俺の言葉に驚いていて、詳しく説明を促された。


「切通し…アン、アングスタビアは、人が多く通れない狭い道。だから、相手は少人数でその道を抜けてくる。それを大人数で囲めば、こっちが勝つだろ」


「シン、先に抜けてくるのは魔法兵だ。遠距離攻撃も可能だから、こっちは攻撃を仕掛けるのが難しくなる」


 なるほど、魔法兵。日本、いや地球にはいなかったから、考えてなかったわ。


「なら、魔法兵を先に出させなければ良い」


「…どうやって?」


 俺は今考えついた戦略を、わかりやすいように皆に伝える。


「相手の魔法兵が、他に戦わざるを得ない状況を作ればいい。アングスタビア前の広い場所で、こっちの魔法兵が攻撃を仕掛ける。そして混乱しているところに、後ろから騎士たちが攻め込むんだ」


「後ろから?」


「ああ、そしたら逃げる兵士たちがアングスタビアを通るだろ?抜けた先には、もう1つの騎士の部隊が待機している。結果、戦いは騎士との1対1になる」


 顔は驚いたままだが、おそらく今、カノルは必死に理解しようとしている。


「なるほど」


 しかし、俺の考えを真っ先に理解してくれたのは、カノルでもオルでもなく、戦略兵のドルドーニュさんだった。


 ちなみに、庭師のガロンヌさんのお兄さんらしい。


「それは確かに良い考えだが、ゲノン軍は魔法兵の数も多い。うちの魔法兵はすぐにやられてしまうだろう」


「大丈夫です。魔法兵には、自分の身は自分で守ってもらいます」


「それは魔法兵には無理だ」


「可能です。結界魔法を使えば、ほとんどの攻撃を防ぐことが出来ます」

数多い作品の中から、お読みいただきありがとうございます!


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