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異世界に勇者召喚された俺、仕事って魔王を倒すことじゃないの??  作者: 菜寿
第1章 勇者、隣国との戦争に参加する
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勇者、異世界を知る

 あまりの広さと綺麗さに驚いていると、王女殿下が自信に満ちた顔で説明をしてくれた。


「ここはね、東のお庭!」


「へぇー」


 東の庭ってことは、東西南北あるのか?敷地広っ!


「あの花、光ってる…?綺麗だな」


 花壇の端で、金色の光を放って輝いているユリのような花を見つけた。


 国王の見舞いにちょうど良いかと、俺は花に手を伸ばした。


「だめー!」


「おわっ」


 すると、花に伸ばした手と反対の腕を、王女殿下が引っ張った。その勢いが結構強くて、俺は呆気なくも後ろに倒れてしまった。


「いてて…」


 俺が倒れた拍子に、引っ張っていた王女殿下までも道連れに倒れてしまった。


「大丈――」


「勇者様!そのお花に触ってはいけません!」


「え?」


 俺の心配をよそに、王女殿下は声を張り上げた。


「そのお花!触ったら灰になっちゃうわ!」


「は?」


 え?灰?灰になるって言った?


 王女殿下が、まだあわあわしながらも、この花について教えてくれた。


「そのお花はね、キラキラ光ってる間は、触ると灰になっちゃうの」


「何だよそれ…」


 触ると灰になる花なんて、見たことも聞いたこともない。


 改めて、自分が異世界にいることを深く理解した。


「あっ、見て」


 王女殿下につられて、先程触れそうになった花を見ると、蝶が花の周りを飛んでいた。


 すると、蝶が突然花に向かって急降下し始め、花に止まった。


「え、ちょっと、危な…」


 そして、止まった瞬間、蝶が瞬く間に灰となって消えた。


「…」


「勇者様も、さっきターナが止めてなければ、灰になっちゃってたのよ!炎耐性が無ければ、ウォータードラゴンだって死んでしまうのよ!気を付けてよね!」


「ご、ごめんなさい…」


「はは、君、ゴールドレインボーに触ろうとしたのかい?」


「え?」


 俺が再び王女殿下にお説教を受けていると、どこからか、男の人の声が聞こえた。


「ガロンヌ!」


 王女殿下の視線の先、そこには、エプロンに土をつけて麦わら帽子をかぶっている、庭師のような男性がいた。


「ごきげんよう、レイターナ王女殿下。そちらは…?」


「ガロンヌ、このお方は勇者様よ」


「あ、どうも。シン・コグレです」


 性を後に名乗るのも、だいぶ慣れてきたな。


「勇者様!失礼いたしました。東の庭の庭師をさせてもらっております、ガロンヌと申します」


 俺の正体がわかると、すぐさま腰を90度に曲げて、自己紹介をしてくれた。


 ガロンヌさんは平民のようで、名だけで性は無いそう。年は28歳で、とても優しそうな男性だった。


「ねぇガロンヌ、どうしてゴールドレインボーに触ると、みんな灰になってしまうの?」


 王女殿下は、このことを先程からずっと疑問に思っていたみたいだった。


「おそらく、ゴールドレインボーがもっている炎属性の魔法のせいだと思います。詳しくはわかりませんが…」


「魔法…」


 なるほどな、地球じゃ有り得ないけど、ここは魔法のある異世界なんだもんな。それならまあ、うん、うん…。


「ゴールドレインボー、フィネスの球根と混ざってて、そのまま気付かずに植えてしまったんですよね…」


「フィネス?」


「ゴールドレインボーにすごく似ている花なんです」


 そう言ってガロンヌさんに案内された場所には、ゴールドレインボーと同じ、ユリに似た花が植えてあった。


「ゴールドレインボーと、光っているか光っていないかの違いしかないんです」


「それだけなのかよ…」


「あ!ガロンヌ、このお花は何?」


 この王女殿下は好奇心旺盛のようで、興味の対象がすでに次に移っていた。


「その花はバラボですよ」


 バラボと呼ばれた花は、地球で言うバラと似ていた。


 確か、入院中の見舞いって、明るい色のバラとかが良いんだよな…?


「ガロンヌさん、この黄色とオレンジのバラボ、いくつか貰えますか?」


「別に大丈夫ですよ」


「王女殿下、国王陛下のお見舞いに、バラボを持って行きましょう」


「いいわね!」


 よく分からない植物や、魔物のいる世界。俺は、常に身の危険が迫っていることを深く胸に刻んだ。

数多い作品の中から、お読みいただきありがとうございます!


コメントやいいねなど、一言でも寄せてもらえると嬉しいです!私の執筆のスピードが上がります(笑)

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