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異世界に勇者召喚された俺、仕事って魔王を倒すことじゃないの??  作者: 菜寿
第1章 勇者、隣国との戦争に参加する
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勇者、王女に連れていかれる

「…どちら様?」


 俺が声を掛けると、少女は肩を跳ねさせて、扉の向こうへ隠れてしまった。


 年齢は…來乃よりも少し下くらいかな?


「あなたこそ…誰?ここはお城よ」


 おっと、確かに。見たことない服着た人が、図書室の本勝手に漁ってたら警戒するよな。


「俺は、ラーゲル神官長たちに召喚されて、異世界から来た勇者だよ」


 怖がらせないように、ラーゲル神官長の名前を出して説明する。


「ベイジール国王陛下にも、さっき会ってきたところなんだ」


 続いて、国王の名前も出してみる。ここまでくれば、流石に警戒心も解いてくれるだろう。


 名前を出した途端、少女の体が反応した。そして、驚きの言葉を口にする。


「お父様!?」


 …は?国王のこと、お父様って言った?てことは…


 俺はビクビクしながら、でも顔は今までの中で1番笑顔で、少女に話しかける。


「君の名前、聞いてもいいかな?」


「あ、うん!レイターナ・トートだよ!」


 やっぱりー!王女殿下ではないですか!ここで何やってるんですか!


 顔はあくまでも冷静に、何事にも動じない風を装って。


「ありがとう。俺はシン・コグレだ」


「お父様に会ったってことは、あなた、本当に勇者様なのね!」


「そうだよ」


 ま、まぶしい…!めっちゃ笑顔なんですけど。


 ていうか、王女殿下ここにいていいの?国王が倒れた時、殿下たちは付いて行ったけど。そして、俺は置いていかれたけど。


「王女殿下、国王陛下のとこに行かないでいいの?」


「え?」


 俺が問いかけると、王女殿下は首をコテンと横に傾げる。


 そう言えば、国王が紹介の時に、1番下の王女はまだ小さいから、王の間には連れて来てないって言ってたな。

 ならば、この王女殿下は単純に知らないのか。


「国王陛下、俺と話してる時に、吐血して倒れちゃったんだ」


 その瞬間、王女殿下の顔が、みるみると青くなっていく。どうやら、彼女には知らせが届かなかったらしい。


「た、大変!行かなくちゃ!あなたも!」


「おわっ」


 そして、俺の腕を掴むと、図書室を出て駆け足でどこかへ走り出した。


「お、お父様のお部屋に行かなくちゃ!」


 王女殿下は俺の腕を掴んだまま、右、左と迷うことなく廊下を駆けて行く。


 走り続けて数分後、ついに立ち止まってくれた。


 どうしたのかと、王女殿下の顔を覗くと、目に涙をいっぱい溜めて、半泣きの状態だった。


「え、ど、どうした!?」


「…わかんない、お父様のお部屋、どこ…」


 まじか。迷わず走ってたから、場所知ってるのかと思ってた。


「いつもはアンナが連れてってくれるの…」


 そう言って、ついに涙がポロポロ零れ出した。


 アンナとは、レイターナ王女殿下付きの侍女らしい。


「んー、じゃあ俺が連れてってあげるよ」


「え?」


 俺は自信満々の顔で、王女殿下に笑ってみせる。根拠なんてないけど。


「勇者様…お父様のお部屋、どこにあるか知ってるの?」


「おう!」


 嘘です!全く知りません!


 でも、流石に泣き崩れてる王女殿下の前でそんなことは言えない。心做しか、來乃に似てるんだよな。


 王女殿下の涙を拭うと、手を取って廊下を歩いた。


 まず右、その次は左、右、左、左…。


 歩き進めて数分。俺たちは、国王陛下の部屋ではなく、あるところに辿り着いた。


「おぉー…」


 俺の当初の目的、花を持って見舞いに行く。


 それが達成できそうな、色とりどりな花が咲いた広い綺麗な庭に出た。

数多い作品の中から、お読みいただきありがとうございました!


王女もだいぶ勝手!など、一言でも良いので、感想やいいねをくださると嬉しいです!

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