勇者、綺麗な令嬢に会う
遅れてごめんなさい!
ブックマーク&誤字報告ありがとうございます!!
その後もすれ違う人全員に2度見、3度見されながらも廊下を進む。
執務室の前に着くと、オルは上機嫌なまま扉を叩いた。
「兄さーん」
ガチャッ!
中からの返事を聞く前に扉を開け、入ろうとしたところでオルは固まった。
…バタン。
そしてすぐに扉を閉め、踵を返して早足で歩き始める。
「え?ちょ、オル?」
「すまない。ちょっと用事を思い出した」
「は?」
先程とは打って代わり、オルの顔は青白くなっていた。
それに加え冷や汗も止まらないようで、ダラダラと絶え間なく流れていた。
一体何を見たって言うんだよ!
ガチャリ。コツコツコツ…。
「オルネース?わたくしの顔を見て早々に逃げ出すのは、第2騎士団副団長として以前に、人としてよろしくないのではなくて?」
声のした方へ振り返ると、そこには氷の笑みを浮かべた女性が立っていた。
「…お久しぶりです。ルーチェ」
わーお、今にも死にそうな顔してるわこの子。
何とかぎこちない笑顔で返したが、体は逆方向に向いたままで、足も再び歩みを開始しようとしていた。
「カノルー!」
「はいはい」
すかさず女性が執務室に向かって声を掛けると、呆れ顔のカノルが出てきた。
そして、今すぐに立ち去ろうとしていたオルの腕を掴み、執務室へ引っ張って行った。
何か、動きが慣れてない?それに、オルを怖がらせてカノルを従えるって、この女性何者だよ。
カノルに連れられるオルに続き、俺も執務室に入ると、ようやく女性の正体を知ることが出来た。
「婚約者のメルーチェだ」
…は?カノルの…婚約者!?
俺の頭の中は大変なことになっていたが、カノルはそのまま言葉を続ける。
「公爵家の令嬢で、俺とオルの幼馴染でもある」
「メルーチェ・テヌートと申します。先程はお見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありません」
「い、いえ、大丈夫です。あっ、シン・コグレです。よろしくお願いします、メルーチェさん」
そう言って丁寧に自己紹介をしてくれたのは、金髪にカノルと同じ紫の瞳をもつ綺麗な女性だった。
メルーチェさんはカノルよりも2つ下で、オルよりは2つ上。 年の近い高位貴族のため、幼い頃から2人の遊び相手だったそうだ。
なるほど、これは幼少期に何かあったな。
オルは未だ、大型獣に捕まえられた子兎のように縮こまっていた。
この様子を面白いと思ってしまう俺は、性格が悪いのだろうか?
「さて、わたくしは失礼しますね」
これから政治の話が始まると察したのか、メルーチェさんはそそくさと執務室を出て行った。
「…はあーっ!今日ルーチェがいるなんて聞いてないぞ!」
「あれ?言ってなかったか?」
「聞いてねーよ!」
オルにしては珍しく、乱暴な言葉を使って声を荒らげていた。
確かにあの笑みは少し怖かったが、その後のメルーチェさんは俺には優しそうな人に見えた。
「それより、会議の報告に来たんだろう?オルは随分上機嫌だったが、どうしたんだ?」
「あ、そうだった!騎士――」
「うん、ちょっとオル、落ち着こうか。いつものオルに戻って」
カノルが話題を振った途端急に元気になり、早口で捲し立てるオルを宥め、ソファーに座らせる。
今日一日でだいぶオルに対する印象が変わったな。21歳とは思えない子どもっぷりだ。
ベイジールさんとの会議の内容を、1つずつ事細かにカノルに説明する。
その間も、尻尾が付いていたらブンブンに振っていただろうなと思える程、オルは上機嫌だった。
「なるほどな、内容は大体理解出来た。で、なぜオルはこんなにご機嫌なんだ?」
「えーっと、王子じゃなく騎士団として村に行けることが嬉しいみたいで…」
苦笑しながらカノルの問いに答える。目で、やんわりと現実を教えてあげてと訴えた。
それがカノルには伝わったようで、同じく苦笑いで返される。
「そうか、オル、今から残念なことを言うけどいいか?」
「残念なこと?」
「お前はそれに参加出来ないぞ」
ちょっと!?やんわりって言ったよな!?
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