勇者、緊急会議を開く
「食?」
俺の突発的な言葉に、カノルはまたも困惑していた。
「シン、詳しく」
聞き返してきたのはオルで、第2王子にも関係のある話だろうと、俺は2人に話すことにした。
「食事っていつもこれなのか?」
「そうだ。王族は立場を区別させるために、贅沢をさせてもらってる」
「贅沢?」
え、これが?俺が1番貧乏だった時の食事よりも質素で不味いけど。
「民は1日に1回しか食事をとれてない」
「は?」
これらの食事よりも質素なものを、1日に1回。
もしかすると、そこらの雑草を引き抜いて食べているかもしれない。今俺が食べてるのもそうかもしれないが。
国民たちの飢餓問題に悩まされていると言っていたが、悩まされているどころではないだろう。
即刻取り掛からなければならない問題である。
「カノル」
「お、おう」
「これがこの国1番の問題だよ!」
なので、第1王子で国王代理であるカノルの肩を掴んで揺さぶりながら、大声で叫んでやった。
「ちょ、シン落ち着け!」
「飯を食わねぇと、何もかも始まらないんだよ!」
「おい!シン!」
「人の原動力は、しっかりとした睡眠と食事!これが揃ってないと、人は動けねぇんだ!逆に効率が悪くなってんじゃねぇか!」
「落ち着けって!」
「落ち着けるかぁ!」
俺が日本で食に悩まされていた時、本当に勉強もバイトも上手くいかなかった。
授業中に他のことを考え、ファミレスのバイトでは皿を割る始末。
まだ10歳だった妹に、ものすごく怒られたことを覚えている。怖かった。
「カノル!」
「は、はい!」
「明日緊急会議だ!」
俺の切実な願いにより、後日、国王陛下も交えて話をすることに決まった。
ちなみに、カノルは仕事で忙しかったので、代わりにオルが参加してくれることになった。
「勇者よ、言葉崩してかまわん」
「ありがとうございます」
国王陛下の体調は回復傾向にあるが、まだ治りきってはないため、オルと一緒に国王陛下の寝室にお邪魔していた。
「では、緊急会議を始めようか。もう1日経ってるから緊急じゃないが」
「今回の議題は、この国の食について」
国王陛下には話があるとしか言っていなかったため、今回の議題を伝えると驚いていた。
「民の食についても考えてくれるのか?」
「いや、民だけじゃなくて貴族や王族もだ」
「我々も?」
カノルと同じく、国王陛下もポカンとしていた。
そもそも基準がおかしいため、2人とも気付いていないようだった。
「王族の食事も、俺の国とは比べ物にならないほど質素だ。それに!食事が1日に2回で間食はなし!?民にいたっては1日1回!ありえない!食事は3――」
「シン、ストップ。父上固まってる」
「あ、ごめん」
再びヒートアップしてしまったところを、またもオルに止められた。
食事は大事だからな、自分が苦い思いをした分も余計熱が入っちまう。
「俺の国では食事は1日3回。そして、肉か魚のどちらかが必ず出る」
「肉は貴重だから、昨日のような祝い事にしか出ない」
「じゃあ魚は?この国には海があるだろ」
「南に海はあるけど…魚というものは聞いたことはあるが、食べたことはない」
せっかく海があるというのに、魚を食べないというのは勿体ない。今度海に連れて行ってもらおうか。
「で?シン。この国でまず1番の問題は食べ物なんだろ?」
「そう!人は十分な食事と睡眠で、ある程度は生活ができる。逆にそれらが出来てない今、仕事の効率が悪くなって忙しくなり、食事を取らなくなる。悪循環だな」
それに食事が不味ければ、進んで食べたいとは思わなくなるだろう。
まずは、この悪循環を断つところから始めなければならない。
「でもこの国には――」
「そこで!俺はこれから農業を始めようと思う!」
☆ちなみに☆
宴の時、シンはティオーに無理やり飲まされて、ほろ酔い状態でした(笑)
※現実では20歳以下の飲酒は禁止されています。
《お知らせです》
来週テストなので、更新休ませてもらいます。
勉強頑張る…。
最後に!
数多い作品の中、お読みいただきありがとうございました!
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