表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

プロローグ

 キーンコーンカーンコーン

 キーンコーンカーンコーン


 終わりを告げるチャイムの音が、学校中に鳴り響く。何の終わりか。それは、


「「「テスト全部終わったー!」」」


 二学期の期末テストだった。


 テストが終わった瞬間から、教室は既にお祭り騒ぎ。放課後にどこへ行くかの話で盛り上がっていた。


 その中で1人、テストの終わりに喜んでいない人がいた。その人物とはこの俺、小暮(ごくれ)(しん)だ。なぜなら、


「今日からまたバイトだ…」


「やっぱりか。信も遊び誘おうかと思ったんだけどな」


 俺の呟きを拾って声を掛けてきたのは、仲の良い友達の悠斗(ゆうと)


「悠斗、残念ながら俺にはそんな暇も金もないんだよ…」


「そうだったな」


 俺がバイトに明け暮れる日々を送っている理由は、家に借金があり貧乏だからだ。


 俺はバイトを3つ掛け持ちしているが、母親の仕事量はもっと多い。それでも返せきれないほどに、亡くなった父親の借金があった。


「借金返せてるのか?」


「いや全く。來乃(らいの)が春から中学だから、ほとんどそっちに持ってかれる」


「なるほど」


 來乃とは、俺の6つ下の妹のこと。小学6年生で、来年からは近所の中学校に通うことになっている。


「なあそれより、悠斗テストできたのか?」


「全然できてなねーわ!でも、どうせ信は俺なんかと違って、今回も1位だろうな」


「1位じゃなくても、3位以内ならいい」


「3位に入るだけでもすげーよ」


 俺らの通う高校は、成績上位者数名を特待生として、学費が免除される制度がある。

 家のためにも、俺はテスト1週間前からバイトを休んで、勉強に専念していた。


「それじゃ、そろそろバイト行くわ」


「おー、今日はどこ?」


「ファミレス」


「なら後で昼行くから、またな」


「おう」


 悠斗と別れて、教室を出る。昼のラッシュに間に合うよう、急いでバイト先のファミレスに向かった。


「あ、先輩!お疲れ様です。今日からまた入ります」


「信くん!良かったぁ」


 背後から声を掛けると、振り返った先輩は何故か涙目になっていた。理由を聞くと、風邪で休みの人が2人もいるらしく、ホールが大変なのだそうだ。


「じゃあ、俺ホール入りますね」


「うん、お願いね」


 既に配置に入っているスタッフに声を掛け、自分もホールに出て接客を始める。


「よお、信。来てやったぞ」


 するとしばらくして、見慣れた顔のお客がやって来た。


「悠斗、ほんとに来たのかよ」


「当たり前だろ」


「…4名様ですね、お席ご案内します」


 悠斗の他にも、今日は多くの学生が来店していた。俺はラッシュが過ぎた14時頃にバイトを上がった。


「信くん、早めに来てくれてありがとね」


「いえ、混むだろうと思ってたので。お先失礼します」


 遅い昼食に賄いを食べてから、今日のバイトを上がって帰路についた。


 俺のもう1つのバイトは家庭教師の仕事で、家の近所の中高生に勉強を教えている。俺の成績が良いのを知って、時給1500円で近所のお母さんたちから頼まれたのだ。


「あら、信くん。今バイト帰りかしら?」


 帰り途中、俺に声を掛けてきたのは、国語と英語を教えている中野(なかの)稔梨(みのり)さんのお袋さんだった。


「中野さん、こんにちは」


「今日ね、稔梨のテストが返ってきたのよ。次来た時、見てもらえるかしら?」


「わかりました。では、稔梨さんに、分からない所は飛ばして良いので、もう一度解いておくよう伝えてもらってもいいですか?」


「ええ!わかったわ」


 道端で軽く次回の授業内容を相談してから、中野さんと別れて数軒先にある自分の家に入る。


「ただい…え?」


 家に入った瞬間、俺の足元に、漫画で見るような光った魔法陣が現れる。


「なんだこれ…うわっ」


 より一層強く光った時、俺は魔法陣の中に吸い込まれた。

数多い作品の中からお読みくださりありがとうございます!


続きが気になる!など、一言でも良いので、コメントやレビューをもらえると嬉しいです!お願いします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ