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バス停・オブ・ザ・デッド ~ボクはゾンビゲームにTS転生した!  作者: どくどく
二章 犬塚洋子(ボク)のバス停に集う者達
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ボクが適当に受け答えしたら、すごいことになった

「とりあえず、下水道狩りの準備だね!」


 と意気込んでは見たものの、実の所やることはそんなになかった。


 何せ戌岩村よりも推奨ハンターランクが低い狩場だ。出てくるゾンビもそれほど強くはない。今の洋子ボクや福子ちゃんやミッチーさんが後れを取る要素など全くないのだ。


「決めることと言えば、次のクランスキルを何にするかぐらいですけど‥…」

「ハンターランクあまり上がりませんデシタからね」


 戌岩村を襲ったナナホシのおかげで、ボスゾンビの狗岩は逃亡。倒した犬ゾンビからのドロップアイテムの実入りも大したことはなく、三人のハンターランクは上がらずじまいだ。


 それでも音子ちゃんがクランに入ってきた事で、クラン規模は39から50に到達した。


「音子のハンターランクは11です。こそこそ隠れながらドロップ品集めてました」

「まさか小学生に負けるトハ!?」


 音子ちゃんのハンターランクを聞いた時、ミッチーさんが崩れ落ちたと言う事実はさておき。


「一応クラン規模50になったから<目利き(ジャッジ)>が選択できるようになったけど……うーん」


目利き(ジャッジ)>……クランスキルの一つだ。効果は『レアドロップの確率が上がる』である。確率上昇係数はクラン規模に依るので、クラン規模1では雀の涙。


「下水道にはアレがあるヨ。『赤袋』」

「そう言えばあったね、そんなの」


 賭け事ミッチーさんが目をキラキラ光らせて訴えた『赤袋』。ランダムでアイテムが一つ入っていると言う、いわゆるランダムドロップ系アイテムだ。使用すると消えて、代わりに何かのアイテムになる。大抵はクズドロップなんだけど、稀に高レアアイテムになったりするとか。


 下水道のあまりの不人気さに運営が梃子を入れたのだろうか。下水道内のゾンビ全てが『赤袋』が出る確率があるのだ。言うまでもなく、ものすごい低確率だけど。


「じゃあ面白そうだし<目利き(ジャッジ)>かな。あ、<目利き(ジャッジ)>の場合は鑑定団みたいな人が来るのかな?」

「え? ゾンビを腑分けする専門の人が来るんですけど?」


AoD(ゲーム)』では単にドロップ率が上がっただけのスキルが、どうなったのか気になって聞いてみたけど、予想以上にグロイ話だった。まあゾンビゲームだしね!


「赤袋楽しみデス。でも一週間あるんデスから、もうすこし遊び要素が欲しいデス」

「遊び要素……。じゃあ勝負でもする? ゾンビを一番狩った人が、何か命令できるとか」


 ミッチーさんの言葉に、適当に言葉を返す洋子ボク


「――命令はなんでもいいんですね」

「――基準はドロップ品の価値でいきまショウ。レア引いたらそれだけポイント高めデ」


 そんな適当な言葉に、何故か福子ちゃんとミッチーさんは気合が入ったかのように頷いた。


「分かりました。それで行きましょう。一週間の総ドロップ勝負ですね」

「カウントは<目利き(ジャッジ)>の人にまかせまショウ。その方が公正デスから」

「……あの、なんでそんなにノリノリなの? 遊びだよね。これ?」

「ええ。真剣勝負です」

「言質とりマシタから、反故にはさせまセンよ」


 え、え、えええええええ!? なんかすごいことになってない!?


「(か、勝ってヨーコ先輩とデート……いえ! ヨーコ先輩の洋服を一緒に買いに行きます! そう、これはずぼらな先輩をどうにかしないといけないと言う使命感! あわよくばそのままその洋服で……いけないですわ、でも先輩が望むなら私は!)」


「(VR世界じゃなく、現実世界でバス停で貫かれたいデスネ! あの容赦ない一撃はクセになるヨ! 駄目なら、逆にバス停の君に色々貫かれるという楽しみを教えて……たまには思いっきり肉欲に爛れたいデス)」


 よくわからないけど、福子ちゃんもミッチーさんもよくわからない理由でやる気になったみたいだしいいのかな? ちょっと怖い気もするけど。

 

「皆さん、楽しそうですね。音子こういうの、初めてです……。えへ」


 ネコを撫でながら音子ちゃんが笑みを浮かべる。今までのような笑みではなく、どこか柔らかい笑みだ。うん、その笑い方は癒される。思わず撫でてあげたくなる。


「音子ちゃんは何かしてほしいこととかある?」

「十分です。ネコ飼うのも許してもらえましたし。あ、庭にネコの遊び場とかあると嬉しいです」


 音子ちゃんが連れてきたネコは、全部クランハウスで飼うことになった。飼う、と言っても放し飼い――いわゆる外飼い猫というヤツだ。ワクチン接種や首輪やマイクロチップ登録等をして、餌はクランハウスに食べに来ると言う形式のようだ。


 外飼いだと事故とか怖くナイ? 病気貰っちゃうかもヨ? というミッチーさんの意見もあったが、


「バステト様が守ってくれるから大丈夫です」


 という自信に満ちた音子ちゃんの意見が最終的に押し通った。


 実際のところゾンビを狩りに行くなどでハウスを空けることもあるので、今の環境ではあの数のネコを完全室内飼育するのは無理だろうと言う意見もある。メリットデメリットを考慮しての選択だ。


「バステト様。うん、いるよね」


 音子ちゃんを通じて話しかけてきたカミサマの事を思い出す。あれが本当にネコの神様なのかどうかは分からないが。


 なお、あれ以降悪夢で悩むことはなくなった。あれが僕の願望だと言われてすっっっっっっっっっっっっっっっっっっっごく納得いかないけどでも納得せざるを得ない部分があるのも事実だけど、それを指摘されたのでもう見たくない。でも絶対に見たくないかと言われるとそれも違って、やっぱり洋子ボクカワイイ――


「洋子おねーさん、どうしたんです? 急にぼけーっとして?」

「気にしないで上げてください。稀にああなるんです」


 我に返ると、音子ちゃんが首を傾げたようにして福子ちゃんに話しかけていた。何かを諦めたような溜息でそんな言葉を返した。


「えーと、ごめんごめん。何の話だっけ? クランスキル?」

「そうですね。クランスキルは<目利き(ジャッジ)>で。勝負はドロップ品勝負です。審判はやってきた<目利き(ジャッジ)>の人にお願いする形で」

「え? 勝負それは重要なの?」

「モチのロンヨ」

「重要です」

「そ、そうなんだー。……うん、やる気が出てうれしいかな」


 有無を言わさない断言に、洋子ボクはそう言い返すしかできなかった。負けたら何命令されるんだろう?


「二人とも頑張ってくれるんだし、ゲームとは別で少しぐらい奉仕してもいいけどね」


 肩叩きとかマッサージぐらいなら別にいつでもしてあげてもいいけど。


「(ヨーコ先輩の奉仕……! 優しく蕩ける様に私の身体を……そのまま包み込むように抱きしめて、いけませんいけません! でも、先輩は奉仕だからと言いながらゆっくり手を握って私を……きゃあきゃあきゃあ!)」


「(命令されるままにバス停の君がワタシに奉仕……。体中全てを使って、ワタシの身体を……。十分にシた後に攻守交替して、最後はお互い火照った体を――イイネ! 熱い夜になるヨ!)」


 なにやら顔を赤らめたり、にやりと笑み浮かべたりする二人を見ながら、洋子ボクはちょっと不安に思った。


「奉仕……いえいえいえいえ! その、そんなことは……!」

「オゥ、コウモリの君、滾ってマスネ。ワタシもヨ!」

「……あの、えーと……? とにかく明日は朝から下水道に向かうから、早く準備して寝ない?」

「はい。負けませんから」

「それはこちらも同じヨ」


 何やらとんでもないことになっている気がするんだけど、何がどうなってるんだろうか?


拙作を読んでいただき、ありがとうございます。

気にいっていただけたのなら、評価をいただければ幸いです。


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