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バス停・オブ・ザ・デッド ~ボクはゾンビゲームにTS転生した!  作者: どくどく
二章 犬塚洋子(ボク)のバス停に集う者達
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ボクは夢に振り回される

 あれから三日間ほど、似たような夢を見た。


 具体的な内容は避けるけど、ネコになって福子ちゃんやミッチーさんとにゃんにゃんされたり、ネコになってスライムっぽいものにドロドロされたり、ネコになって巨大なタコにうねうねされたり…………とにかく洋子ボクがネコになって内容はあーるじゅうはちな夢である。


 いやまー、目覚めはいいんだよね。凄いすっきりしてる。起きた瞬間はすごく恥ずかしかったり、夢なのにすごいリアリティがあってのた打ち回ったりしていたけど、それで寝不足になったわけではない、むしろ普段より目覚めがよく、健康的になってきている。


 問題はむしろ、僕の方なんだよな。あんな夢見た後に福子ちゃんとかミッチーさんとか見るといろいろ焦っちゃう。


 朝。洗面所で顔を洗おうと歩いていると、寝間着姿の福子ちゃんとすれ違う。


 彼女の寝巻は背中の羽根を解放させるために背中は布地がない服を着ており、細くて白い背中がそこから見える。振れれば壊れそうな小さな体。新雪を思わせる純白。やわらかそうな肌。それをいやおうなしに想像させる。クランハウスで慣れた状態なら何でもない事なのだけど……。


 夢の中では、あの肌とかがボクの身体に押し当てられて……! ふにゃんとしていて、それでいて張りがあって。妄想止まれぇぇぇぇぇぇ!


「ヨーコ先輩!? どうしたんですかいきなり洗面台に顔を突っ込んで!」

「き、緊急冷凍、かな?」


 蛇口で直接頭を水で濡らし、熱暴走に耐える。


 朝御飯。基本的に朝御飯は当番制だ。ゾンビウィルスによる食料培養技術発達により、新鮮な動植物はそれなりに手に入る。MIKADOで手に入れた食料品とも合わせ、食事はそれなりに豪勢だ。


「ヘーイ! 今日はアメリカンにホットドックネ! 熱くて太くて硬ーいうちにドゾ!」


 ミッチーさんが作ったパンにはさまれたソーセージ。後のいつもの下ネタジョーク。福子ちゃんももう慣れた者か、気軽にスルーしている。


 ボクもいつもなら『うんうん。ソーセージは熱い方が美味しいもんねー』とか言い返したのだが……。


 熱くて……太くて……硬い……。夢の中で、たくさんのコレに、ボクは……落ち着けええええええええ!


「ちょ!? バス停の君、そんなにマスタード付けたら辛すぎるヨ!?」

「だ、大丈夫……! 熱暴走を強制停止させただけだから!」


 激辛で悶えながら、何とか理性を取り戻す洋子ボク


 学校。


 福子ちゃんやミッチーさんがいないから……とか安堵してたら、夢の中でこの教室でアレコレあったなぁとか、制服を着たままもにょもにょされたなぁとか、男子生徒達になぜか弱みをつかまされてて色々恥ずかしい命令されたなぁとか。


 夢! そう、夢の事! なんだけど!


 二人とはクランハウスでほぼ顔を合わせるため、否応なしに夢の内容を想起させる。あれが夢だと分かっていても、あまりのリアリティの高さに色々思い起してしまうのだ。ナニコレ!?


 夢を見始めてから三日目の下校時に、これは大問題だと判断する。


「こ、このままではよくない。どうにかしなくては」


 このままではいつか理性が耐えきれなくなる。ゾンビ狩りに行けないと言う状況もあるのかもしれないが、とにかく色々大変になってきている。


 とにかく原因を考えよう。夢の内容を冷静になって整理する。


 まずは福子ちゃん可愛い! 御人形みたいな身体で白肌ゴスロリでけなげで真っすぐで時々中二病で! 最初はツンツンしてたけど色々態度が軟化してきて先輩呼びしてくれるし! 健気で一生懸命な後輩とかもおおおおおおおおおお!


 そしてミッチーさんはエロい! 悩殺ボディで開放的で遠慮なく距離を詰めてくるくせに最後の一線を超えてこない見事な距離感! 金髪っぱいなフレンドリーおねーさんはすきですか? 友達の距離から一気にエロく落とされるうううううううう!


 なによりも何よりも洋子ボク最高! そんな二人にハグされてにゃんにゃんされて! そのまま流されるようにいやんやんされて! でもいやじゃなくて、さいごはじぶんからもとめちゃって!

 あとは綺麗な洋子ボクが穢れたスライムや触手に弄ばれて汚されていくのも背徳感! ドロドロでウネウネで、抵抗を封じられて嫌がりながらも体は嫌がってなくてうにゃああああああああ!


「だあああああああああ! 冷静になれ、ボク!」


 なんて恐ろしい精神的トラップ。問題を直視すれば思考を乱し、そこに留まるように誘導するという迷宮仕様!


 だが糸口はどこかにあるはずだ。袋小路の中、どうにかこうにか脱出口を見出そうと思考をめぐらせピンクの妄想で七転八倒し……細い糸を見つける。


「そう、ネコ! なんでボクずっとネコミミなのさ!」


 夢の中では、洋子ボクはずっとネコミミネコ尻尾だった。そのせいもあって裸だったりすることに違和感を感じなかったのだが、冷静に考えてみればその共通点は意味がない。


「だってボクはネコミミじゃなくてもきゃわわなんだから! ずっとネコミミである必要はないはずだ!」

「あ、ネコミミじゃなくて、ネコそのものにした方がよかったですか? エヘ、すみません。では今夜からはそうしてもらうように、バステト様にお願いしておきます」


 ん? この声は?


「エヘ、エヘヘ……。お久しぶり、です。おねーさん。本、ありがとうございます。

 おかげで、ネコとお話が出来るようになりました」


 音子ちゃん。MIKADOで出会った櫻花学園の小学生だ。洋子ボクが上げた『偽典・バステト』を持っている。そして……。


「って、うわあああ!? すごいネコ……」

「えへ、えへへへへ。お友達、です。たくさんできました」


 彼女の足元には10を超える数のネコがいた。にゃーにゃー言いながらすり寄ったり、微妙に距離をあけて『構ってくれ』と視線を向けたり。全員が音子ちゃんを慕っているのは見て取れる。


「そっかぁ。良かったね、音子ちゃん」

「はい。なのでバステト様を通しておねーさんにお礼を渡したんですが、あまりお気に入りではなかったみたいですね。ごめんなさい」

「……お礼? えーと、気に入るもなにも、音子ちゃんからは何も貰ってない……かな。交換した缶詰ぐらい?」


 はて、何か貰ったかな? 彼女とは物々交換をした程度で、それ以外に何かを貰ったと言うのはないはずだけど……?


「そうなんですか? バステト様は確かにおねーさんの願いをかなえたと言ってます。夢の中で」

「……………………ゆめのなか」

「はい。バステト様は夢の中でおねーさんの心の願望を満たしてあげたと言っています。ネコの姿なのは、そうしないとバステト様が干渉できないからで――」

「ちょっとまって」


 僕は音子ちゃんが言った事を脳内で反芻する。


 とりあえず神様云々はさておこう。そういうのがいるかいないかの議論は今はいい。いると言う前提で話を進める。そしてあの夢を見せたのがその神様だとして……。


 あの夢が僕の願望……。


 いや、その、クランハウスに住むぐらいに気を許しているし、福子ちゃんカワイイしミッチーさんエロいし、そう言うのが気になっちゃうのがオトコなわけで、あと自キャラが酷い目に合う妄想とかMMOあるあるだよねとかだって洋子ボクきゃわいいしうわあああああああああああああああああ!


「質問だけど! 夢の内容って、音子ちゃん知ってるの!?」

「いいえ。音子はバステト様がどのような夢を見せているかはわかりません。ですがおねーさんが不満でしたのでバステト様に今から交信して――」

「いい! そんなことしなくていい! いや、もうそんな夢見せなくていいから!」


 必死に制止する僕。ついでに夢の配信停止もお願いする。


 自分の恥ずかしい願望とか、こんな小さな子に知られてなくて本当に良かった!

拙作を読んでいただき、ありがとうございます。

気にいっていただけたのなら、評価をいただければ幸いです。


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