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バス停・オブ・ザ・デッド ~ボクはゾンビゲームにTS転生した!  作者: どくどく
一章 犬塚洋子(ボク)はバス停使いのゾンビハンター!
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ボク+福子ちゃんVSチェンソーザメ+魚系ゾンビ!

 元々は船のカジノだったのだろうそのエリアは上下逆さになり、『天井』にあったルーレット台やスロットマシーンなどが落下の衝撃で落ちて破壊されている。それらが障害物となり、このエリアの移動範囲を狭くしていた。


 床に空いた穴から浸水しており、膝ぐらいまでは水に浸っている。そしてその水域から飛び出ているサメのひれ。ひれ部分はノコギリのようにギザギザになっており、何人かのハンターの命を奪った証と示すように赤黒い血がこびりついている。


「キシャアアアアアアアアアアアア!」


 チェンソーザメ。


 サメ、とは言ったがエイのように横に大きい、絨毯のようなタイプのサメだ。ジンベイザメが近いのだろうか。尾びれ背びれに鋭く細かい刃が付き、そしてその口も無数の歯が並んでいる。


 そしてザメのおこぼれにあやかろうと、十数匹の魚系ゾンビが泳いでいた。


「生徒のゾンビはいないみたいですわね」

「うん。ここまで来れた人はあまりいないみたい。その分、ゾンビはお腹空いて狂暴なんじゃないかな?」

「だとしても、私の敵ではありませんわ!」


 プレッシャーをかけるような僕の冗談を、軽く笑い飛ばす福子ちゃん。うん。気合バッチリだ。


「行きますわよ! 『待機セット』!」


 福子ちゃんが動き出すと同時に、洋子ボクも動き出す。チェンソーザメを大きく迂回するように走り抜けて、ラジカセを乞われたスロットマシーンの上に置く。スイッチを入れて、音楽を鳴らした。


「こっちのみーずはあーまいぞー!」


 音に反応した魚ゾンビがラジカセに向かって殺到する。洋子ボクはそのうちの一匹をバス停で粉砕し、通り抜け様にブレードマフラーで切り裂いた。


「お行きなさい! 我が眷属!」


 それと同時に福子ちゃんの号令と共に七匹のコウモリがチェンソーザメに襲い掛かる。『鬼角笛』で強化された眷属の野生が、チェンソーザメの肌を食い破っていく。


「ギシャアアアアアアアア!」


 たまらず床の穴に逃げ込むチェンソーザメ。水しぶきが上がり、それに伴って銃っ匹近くの魚系ゾンビが跳ねあがる。


「福子ちゃん!」

「分かっていますわ。()ですわね!」


 洋子ボクの言葉に頷く福子ちゃん。そして数秒、床は振動で揺れる。


 そして――床に泡が生まれる。潜ったチェンソーサメの出没する合図だ。それが洋子ボクのすぐ近くに発生した。


「シャアアアアアアアアアア!」


 叫び声と同時、床を切り裂いてチェンソーザメが現れる。今まで何の変哲もない床に穴を開け、飛びかかってきたのだ。


 何も知らなければ、対応する間もなく噛み殺されていただろう。そんな速度の襲撃だ。


「バレバレだよ!」


 だけど、僕は知っていた。だから対応できる。


 バス停を横なぎに振るい、その鼻っぱしらにバス停を叩き込む。さすがに重量の差もあってホームランとはいかないが、サメの勢いを止めることには成功する。


 洋子ボクはダッシュしてチェンソーザメから離れ、ブレードマフラーでサメの肌を傷つける。だけどそれはおまけの攻撃だ。


コウモリの(フレーダーマウス)戦争・クリーク二連撃ツヴァイ!」


 メインは福子ちゃん。『鬼角笛』を装備した福子ちゃんの眷属の攻撃は、ランク15で貰えるD級眷属を上回る。ましてや待機を用いた七匹同時攻撃により、水中に潜る前に大ダメージを与えることが出来るのだ。


 単純計算で、一度床に潜るまでに二倍分のダメージを与えることになる。それは討伐までの時間が半分になり、その分呼吸で吸うことになるゾンビウィルスが減ると言う事だ。


 それはどういうことかというと――


「ね! このやり方だと、ゾンビウィルス回復系アイテムは少なくて済むでしょ!」

「はい。その分『眷属の餌』をたくさん持ってきて正解ですわ!」


 狩りに持っていけるアイテムの重量は決まっている。重すぎて動けない、なんてことになれば意味がないのだ。


 そして福子ちゃんは眷属や眷属に命令するための餌もその重量に含まれる。ドレスや武器、マスクなどの重量も加味したうえで、ゾンビウィルス感染率を下げる為の『抗ゾンビウィルス』アイテムを持っていくのだ。


 だけど『抗ゾンビウィルス』アイテムは、ウィルス感染率がそれほど高くないなら要らない。邪魔、とまではいわなくとも若干負担にはなる。ゾンビを解体して得られるアイテムが減るからだ。


 被弾と戦闘時間が減れば回復アイテムは多くは要らない。その分攻撃用のアイテムを持っていけるのだ。


「ですが気を付けてください! 私のドレスは耐刃強化していますが、ヨーコ先輩はサメの攻撃を受ければ――」

「受けなければ、いいんだ――よっと!」


 最初に置いたラジカセは魚ゾンビにたかられて既に壊れている。なのでチェンソーザメから少し離れた場所に新たなラジカセを置いて、魚ゾンビをおびき寄せる洋子ボク


 チェンソーザメの行動パターンは、大きく二つ。ダメージを受けた後に視界から消えて、床から現れるか壁を食い破って現れるかだ。


 床はさっきも言ったけど泡で感知できる。壁から離れた位置にいる福子ちゃんは壁を食い破られても問題ない。


「完璧だね! このままやっちゃえ!」


 チェンソーザメの脅威は周囲の魚系ゾンビとのコンボ攻撃だ。


 チェンソーザメは魚ゾンビの親玉みたいなものなのか、連携だって行動してくる。魚ゾンビがこちらの逃げ道を塞ぐように展開し、チェンソーザメが襲い掛かる。あるいは、チェンソーザメが飛び出してこちらを追い込み、魚ゾンビが襲い掛かってくる。


 そうなれば、ジ・エンド。頭かお腹を失ったゾンビの出来上がりだ。


 だがその魚系ゾンビをはじめからラジカセで誘導してしまえば、囲まれることはない。魚ゾンビがいなければ、チェンソーザメ単体はダメージに応じて突撃と隠密を繰り返すに過ぎない。慣れてしまえばリズムゲームだ。


 ここまでパターンに嵌めれるのも、福子ちゃんのテイマーセンスの高さあってだけどね。


 チェンソーザメがどこから現れようとも、福子ちゃんはきっちり計算して『待機コウモリ+攻撃コウモリ』の七匹同時攻撃をそつなくこなしている。出てくる場所が一つのモグラ叩きとはいえ、それにきっちり反応して動いているのだ。


 ひらりとスカートをひるがえして動き、笛を鳴らしてコウモリを放つ。それはまさに舞うような狩りだった。その姿に思わず叫んでしまう。


「サイコーだよ福子ちゃん! 愛してるー!」

「なななななななにをいきなり言い出すんですかぁ!? そういうセリフはもう少しムードの在る場所d……ではなくて!

 ああ、もう。意味なんてないんでしょうね。このお調子者の先輩は!」


 ありゃ、調子崩しちゃったかな?


 ともあれ、洋子ボクと福子ちゃんは少しずつチェンソーザメを追い詰めていく。魚系ゾンビのコントロールも問題なく、福子ちゃんの動きもさらに勢いを増していく。


 全ての魚ゾンビをラジカセで集めることはできないけど、集め損ねた魚ゾンビは率先して攻撃している。福子ちゃんも防御用にコウモリを使っているので、攻撃が途切れる要素は何一つない。


 ラジカセをルーレット台の上に置いて、スイッチを入れる。これで最後だけど、これが壊れるより先にチェンソーザメは仕留められる。僕の計算だと、福子ちゃんがあと七回攻撃すれば終わる。


 福子ちゃんの合図と共にコウモリが飛ぶ。これであと六回――


「――え?」


 驚きの声は、福子ちゃんから上がった。


 コウモリが当たるより先に、衝撃でチェンソーザメが揺れたのだ。まるで銃で撃たれたかのように。そして床の穴に潜り、そこをコウモリが通過していく。


「ア、ハァ! ヒーローは遅れてやってくるモノだよ。待たせたね、レディ!

 この十条が来たからには、もう安心だよ!」


 そして響く男の声。王冠と金マスク。金刺繍の赤マント。浮遊砲台に浮遊ブーツのゴリゴリ課金装備野郎。その後ろの面々も、課金装備バリバリだ。


 ブッキョーの加護とかでゾンビウィルスを弾く袈裟服を着た坊さん。全身を包む化学服を着て背中にボンベ背負ったマッドガッサースタイル。MPK疑いの光学迷彩を着た軍人野郎。そしてチェンソーザメにライフルを撃った後藤もいる。


「ちょ!? いきなり現れて何を――いや壁から離れて! サメが出る!」

「あ?」


 扉近くにいる十条チームに向かって叫ぶ洋子ボク。時間がないとはいえ、言葉足らずだった洋子ボクの言葉は彼らには届かなかった。


「ギシャアアアアアアアアアアアア!」


 壁を食い破って現れたチェンソーザメの顎が、僧服を着た男に食らいついた――


拙作を読んでいただき、ありがとうございます。

気にいっていただけたのなら、評価をいただければ幸いです。


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