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新学期が始まった。

遠くで見かけたり、友人たちと一緒にすれ違って声をかけることはあっても郁美とゆっくり話をする機会はなかった。 

どうやら、選択科目が全く違っていたらしい。


そして、郁美は外資系の金融会社への就職を目指しているらしいと噂に聞いた。

それはいかにも郁美らしい選択に思われた。

英会話などの演習科目よりもシェークスピアを読む科目とか現代の英国文学や米国文学購読の講座ばかりを履修している遥とでは同じ授業を受けることの方が不思議というものかもしれない。


(そうか。郁美は外資系の金融機関を目指しているんだ。

所で、私は?

未だ、何も決まってはいない。 暗中模索だ。

一体どうしたら良いのだろう? 何を選んだらよいのだろう? 何が私の幸せなのだろう?

幸せって、何なのだ?

何処にあるのだ?

どちらへ進めばよいのか?)


様々な問いが遥の頭の中を駆け巡る。

しかし、答えは見つからない。

高校の時からそうだった。

何を選べばよいのか、悩み続けてきた。

そして、時ばかりがいたずらに過ぎ去っていった。

あの頃と少しも変ってはいない。

一歩も進んではいない。

今ならまだ間に合うかもしれないのに。

一体どうしたら良いというのだ?

遥のもがき続ける心とは無関係に、時だけが流れて行った。


六月の最初の週末を利用して遥は下関へ帰った。

数日前、母から「そろそろ蛍が出ているようよ」と言う話を聞いたからだ。


もう何年も蛍を見ていない。

遥は何故か急に蛍を見たくなった。

それで急に思い立って下関へ向かったのだった。


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