5人??にモテ始めた。
高校2年生、俺は急にモテ始めた。
なぜだ…!?1人とか2人ならまだ分かる、
いや、そんなに分からないけど、がまだ分かる!
でも、5人だ!!5人から急にモテ始めた!!
嫌な気はしないが、でも、少し怖い。
こんなにモテてしまうと、その内、嫉妬に狂った人に刺されてしまうんではないかと思ってしまう。例のあれみたいに。
そんなことを考えながら今日も高校まで歩きで向かっている。
家から高校まで歩いて約20分ぐらいだから、歩きで良いかなと思っている気持ちが半分。
もう半分は、、、
「じゅんや〜!!おはよー!!」
そう、こいつと登校できるからだ。
「おはよ〜、小森。朝から元気だね。」
「うん、潤也に会えたからね!!
今日も……かっこいいよ…」
と顔を真っ赤にして言ってきた。
急に言うなー!!てか、恥ずかしいなら言うなよ。なんで今言うんだよ!!
しかも、ここ最近ずっと朝会ってるだろ!!
小森が今日みたいに歩いていると来るから歩いて高校に向かう。
「……なんか、言ってよ…恥ずかしいじゃん…」
えっ、なにこれ、可愛いと少し思ってしまった。
「ごめんごめん、嬉しくて何も言えなかった。
でも、俺はかっこよくないよ?」
「私はかっこいいと思ってるからいいの!!」
とやり取りをしながら高校に向かう。
幸せだ。でも、あまりからの目は痛い。
特に男子からの目線は怖い。殺気のこもった目線だ。俺もよく出していたからよく分かる。
そんな目線を感じながら、高校に着いた。
小森とは教室が別だから小森の教室まで送ってあげる。
俺が送ってもらうと大変なことになるから、なるべく小森を送るようにしている。
教室の前に着くと、いつも少し駄々をこねる。だから、頭を撫でてあげる。
そうすると上機嫌になる。
「じゃあ、またね、潤也!!今日もここまでありがとう!!!!他の子にちょっかい出しちゃダメだからね!!」
「はいはーい、じゃあ、頑張れよ!」
と言い、自分の教室に向かう。
「ちょっかい出されてる方だからセーフだよな」と小言を言っていると教室に着いた。
教室からはいつものように言い争いが聞こえてくる。
「退きなさいよ、そこは滝党くんの席でしょ!!」
「良いじゃん、潤は私の上に座らせてあげるんだから!!」
「なっ!!!!何言ってるんですか!!
変態なんですか!?ど変態なんですか!?!?」
「どこが変態なのよ!!ただ座らせるだけじゃん!!」
「それが変態なんです!!」
「そうだよ、それは変態だよ。さあ退いて、夏目。」
「お、潤!!おはよう!おいで、私の上に!!」
一旦そのまま無視してみた。
「おはよう、西出さん。いつもごめんね、夏目が。今度お昼でも奢るよ!!」
「えっ、お昼ご飯ですか!?!?
えっと、あ、あの、、!!」
いつも焦らない西出さんがあたふたしていた。ご飯誘ったのはまずかったかな。
謝ろうかなと思って西出さんの方を見たら、目が合った。顔が真っ赤になった。
「あの、行く時は前もって言ってください。お弁当を持ってこないので…楽しみにしてます。
それと、おはようございます、滝党くん。
先程は取り乱して言えなかったので……」
「分かった、行く時は前もって連絡するね。」
「えっ、ずるい〜!!てか、無視したよね?
潤??キスするよ??」
えっ!?キスしてくれるの!?
してほしいけど。
「変なこと言うなよ!!無視したのはごめん、許してくれ。」
「ふーん、じゃあ、遊園地デートして!!」
「考えておくよ。」
「やった〜!!!!」
「じゃあ、そろそろ退いてね」
夏目の頭をぽんぽんしてみた。
「それはずるいよ……潤のバカ……」
と言って夏目は下を見ながら俺の席を離れて行った。
照れていて可愛かった。
それからは、普通に授業が始まる。
授業中は本当に何も起こらない。
ちょくちょく、西出さんと夏目と目が合うぐらいかな。
目が合うと西出さんは真っ赤になってそっぽを向く。
夏目はウィンクしたり投げキッスをしてきたりする。
昼休みになり、俺は屋上に行く。
屋上には基本的には入っちゃいけないので、バレないように行く。
外の風を感じながらご飯を食べるのは気持ちが良くて好きだ。
「今日も来ているのだな。潤也くん。
ここは、立ち入り禁止だぞ?」
「それは波風先輩も同じなのでは??」
「私は風紀委員だから良いんだよ!」
「そうでしたね、パン食べますか?」
「良いのか??いただくよ!!」
クリームパンを波風先輩に渡した。
波風先輩は俺の隣に座り、パンを食べ始めた。
食べて姿は見た目に反して、ちょびちょび食べている。風紀委員だから怖いイメージがあるけど、ご飯食べている時は小動物みたいだ。
「そんなに見てどうしたんだ??
何か付いてるか??それとも、見惚れていたのか??」
結構見ていたみたいだ。でも、確かに唇の上にクリームが付いている。
「両方ですよ!!唇の上に付いてますよ。」
と言いながら手を伸ばしてクリームを取ってあげる。
「あっ、ありがとう。ドキッとしてしまった…」
波風先輩が照れた顔で言ってきた。
抱きしめたいと思ってしまった。
いかんいかん、ダメだ。
「子供みたいですね、波風先輩!!」
と少しいじってみた。
そうだなと笑ったので、俺も笑った。
パンも食べ終わったし、時間も時間なので教室に戻ることにした。
波風先輩は、少し寄るところがあるらしいのですぐ別れた。
昼休み後は、眠くて仕方がない。
正直半分ぐらいは寝ていると思う。
良い子はちゃんと授業受けなきゃダメだからね!!
放課後、下駄箱で靴を履き替えていたら後ろからドンっと押された。
「お疲れ様です、潤也先輩!!
今日は帰るんですか!??私とデートしますか??」
「お疲れ!!今日は帰るよ。」
「えっ…!?デートは……??」
「今日は無理なんだ。少し予定があってね」
本当はデート行きたいけどね。
でも、今日は本当にダメなんだ。
「えー、潤也先輩と映画行こうと思っていたのに!!」
「じゃあ、明日行こうか?」
「明日は……いいですよ!!!!
絶対ですよ!!約束のハグして下さい!!」
「じゃあ、おいで!」
「えっ…!?本当に良いんですか?」
「うん、おいで?」
山都はそんな返しが来ると思ってなかったみたいで、もじもじしていた。
それに少し恥ずかしがっているようにも見えた。
覚悟を決めた顔で山都がこっち来た。
「潤也先輩、こういうのはずるいですよ…」
そして一瞬だけ、ぎゅっとして離れた。
「明日は、絶対ですよ〜!!約束破ったら、1週間恋人ですからね!!」
そう言うながら帰って行った。
うーん、恋人になれるなら明日の約束破ろうかな。まあそんな勇気ないけど。
今日は妹の誕生日だったから、帰りに前から予約をしていたネックレスを取りに行った。
帰宅後、妹にプレゼントを渡した。
妹とは1歳違いだけど、とても仲が良い。
凄く喜んでくれた。
「ありがとう!!!!お兄、、、大好きだよ!!」
と照れながら言ってきた。
「うん、俺もだよ!!美帆、本当におめでとうね!!」
美帆は頷いて、喜びながら部屋に戻って行った。
ご飯食べ終わった後に、俺は今日あったことを美帆に話した。
いつも美帆は話を聞いてくれる。
美帆は良い相談相手でもあると思っている。
今日の夜、美帆に刺された。
大事には至らなかった。
美帆は俺のことが好きだったらしい。
最近になってモテ始めて、色んな女の子に手を出そうとしているお兄。
それでもお兄が好きだけど、お兄は私を女の子として見てくれない。私とは全然出かけてくれないのに、デートの約束も何人ともして。
悲しかった、もう我慢の限界だったと言われた。
それは馬鹿だった。調子に乗っていた。
その時、俺は誓った。
真面目に生きようと。
モテるって怖い…