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41.フラノの地を豊かにしよう~最強生物と出会う1

 

 転移でどこでもお散歩できるとわかったので、いろんな場所に行ってみた。



 もしかしたら、伝説の剣とか、幻の生物とか、発見するかもしれない。



 屋敷で暇な4、5時間を利用して摩訶不思議な大冒険。



 そんな生活をして数日たった時、あれに出会った。



「まさか、これは‥‥‥!?」



 異世界生活も3か月が過ぎた。

 おれはついに、ファンタジー世界に欠かせない最強生物を見つけた。



 鋼のような紅い鱗

 空を覆いつくす翼。

 山のような巨体。

 蛇のようにしなやかな首としっぽ。




 究極生命体、キングオブモンスター。



 ドラゴンだ。



 遠見の水晶に映し出された姿に興奮した。


 彼女はシーア帝国の山岳地帯を飛び、山の麓に降り立った。

 おれは『転移』で直接見に行くことにした。


 手に入れた400万ルコンで買った双眼鏡で観察。



 干渉する気は無かった。


 カサドラルの最高のパンとチーズ、ハムに、シーアのソースで作った究極のサンドイッチを用意してこっそり眺めることにした。



 ちょっとしたピクニックだ。




 観察を始めてすぐに、彼女は人間の姿に変わった。



「お約束だなぁ」



 昨今ドラゴンが人間になるのは当たり前だ。



 紅い髪の褐色美女に変わった。

 あれでは只人と判別できないだろう。



 おれはサンドイッチを食べるのを止めて見入っていた。



 彼女は岩場の一画にできた囲いを眺め、ため息をついた。

 何かを栽培しているようだがうまく行っていないらしい。



 ドラゴンが植物を育てるとはおもしろい。



「おい。そこに誰か居るのか?」



 ドラゴンは鼻が利く。

 すぐにばれるのはわかっていた。


 心臓がバクバクしているのは別の理由だ。


 観察だけのつもりだったけど、美女に変身したから話してみたいと思っていた。



「ワシはこの山に住む仙人。お主、何者じゃ?」

「ここは妾の山じゃ。お主こそ何者じゃ。只人の小僧」

「その、ドラゴンが好きで」

「ほう、なるほど。確かに、鼻血を出す程興奮して居るな」



 そう、究極生命体であるドラゴンと話せた感激。

 決して全裸の美女を見ていたせいではないのだ。



「面白い。ここは妾が張った結界の中ゆえ、只人が入って来られるはずは無い。かと言って妾の正体を知って討伐に来たようでもないらしい」

「はぁはぁ」

「‥‥‥妾がドラゴンであるのは見ていたのだろう。さてはお主、変態じゃな?」

「違いますよ。気圧のせいです」



 彼女はなぜか警戒していたが、おれがマントを貸すと何をしているのか説明してくれた。


 どうやらここで薬草を育てているらしい。



「ここは魔力が溜まりやすい。結界で封じているからうまくいくと思い、魔獣の地肉や妾の地も肥しにしてみたのだが上手くいかなくてな」

「へぇ~、何を育ててるんですか」

「霊薬の源じゃ。伝説の代物とされる霊薬を作っている」

「へぇ~。霊薬って薬草からできるんですか?」

「それはそうじゃろう」



 おれが持っている霊薬は洞窟の水に魔力が溶けてできたようなものだ。

 もしかして、間違えているのではと思った。



「霊薬が必要なんですか?」

「うむ。実は娘がおってな」

「ほう」

「只人の薬が効かなくて困っておる」

「なるほど。じゃあ、これ使います?」

「ん?」



 美女は霊薬を受け取ってしばらく観察した。



「何じゃこれは? 水か?」

「霊薬です」

「そうか。妾は人間ができて居るから平気じゃが、他のドラゴンをからかうでないぞ。いや、ドラゴンだけではない。困っている者をあざ笑うことは最低じゃぞ」

「いや、本物ですって」



 何度か問答が繰り返されて、一触即発の事態だったけど、試してみてようやく信じた。



「お、お主、一体これをどこで? いや、こうもあっさり渡すとは。なぜじゃ?」

「困っている人を放っておけない性分なんでね」



 ずいぶん立派なものを見せてもらったお礼だ。

 もちろん、ドラゴンの姿のことだよ。



「これは大きな借りができた。ぜひ礼をさせて欲しい。妾の城に招かせてくれ」

「城?」



 胸が高鳴った。

 ドラゴンと城と言えばお宝だ。

 古城に住むドラゴンはこの世の黄金をかき集め、そこに暮らすのがお約束。


 レアアイテムもあるだろう。



「剣とか、古代の遺物とかもあるのかな」

「ああ、あるぞ」

「じゃあ行きます」

「よし」


 おれは美女に抱き着かれた。

 一瞬ドキッとしたけど、喜んではいられなかった。



「口を閉じろ。舌を噛むぞ」

「ええ?」



 そのまま猛スピードで飛んだ。



 おれは絶叫系のアトラクションが苦手だ。



「何じゃだらしない。ドラゴンの妾とまともに話していた度胸はどこに行った?」



 すぐに岩でできた尖塔に降り立った。

 到着してすぐおれは気持ち悪くてダウン。




 着いた先は確かに城だった。



「ようこそ、妾の城へ」



 古城などではない。


 立派な城だ。

 その下には忙しなく行き交う人々。


 果てしない文明の咲き誇る街。



 そこはシーア帝国の首都だった。


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