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18.『転移・天地逆転』

 

「あ、そうだ、着地が――」

「なんだ?」


 ちぃ、バルトめ、普通に着地しやがった。

 おれは慣れるのに猛特訓したのに。


 他人と同時転移に成功し、おれとバルトは森にやって来た。

『省エネ転移』の対極にような使い方だ。

 かなりの魔力を無駄に消費する。


 今まで転移は一回、一つという意識だったけど、一度に複数の対象をバラバラに転移できるだろうか?


「おい、何してんだ? 時間が限られているんだ。始めるぞ」

「ああ」


 手ごろな木がある。試そう。


『部分転移』×2!!


 木の幹の付け根を二つ破壊!!


「ば、何を!!」

「おっ‥‥‥?」


 巨木が支えを失いバキバキと音を立てた。



「できたぜ!!」

「できてないだろ!! 殺す気か!!」


 バルトが泥だらけになっていた。


「いや、効率を考えて‥‥‥」

「はぁ‥‥‥そうだったな。いいか、これは開拓じゃない。ただ木々をなぎ倒せばいいわけじゃないんだ。見ろ、お前が倒した木が倒す必要の無い木まで巻き込んでしまった」

「ラッキー?」

「断じて違う」


 木には木材に適した物とそうでないものがあり、伐採していい木とそうでないものがあり、伐採の際は倒す方向など予め周囲と示し合わせる。

 それが伐採だと怒られた。


「おっし、じゃあ……この木を」

「なぁ、幹の根本だけ消すより、使える幹の部分を移動できないのか?」

「は?」

「そうすれば余計な枝を剪定する手間が省けるだろ?」


 コイツぅ、簡単に言いやがって。

 木の幹がどれだけ重いか。

 魔力消費が激しいんだぞ。

 まぁ、転移筋トレだろ思えばいいか。


「せいやー!!」


 おれは家があった開けた場所に木の幹だけを『部分転移』させた。


「ほう、便利だな。だが‥‥‥」

「あ!」


 幹が倒れる。幹は着地しない。


 バルトが幹を受け止めた。


「おお~、すごい筋肉だな!!!」

「なんだ、武技を見るのも初めてか?」


 今のが武技。


 確か、魔法の一種で肉体を強化できるんだった。


「お前も覚えろよ。レベルアップの恩恵で上がるのは基礎能力だけだからな」

「いや、基礎能力が上がっただけでも十分だと思うけどな」

「ん? レベルアップしただけでは大した力は得られないはずだ。正確には基礎能力が上がるのではなく伸びしろが増える。レベルアップ時の力の上昇はそのおまけみたいなものだ」

「えぇ~? そうなの?」


 結構力付いた気がするが。

 でも確かに、魔力の上昇に対して肉体の変化は控え目。

 魔力はスキルをバンバン使ってるから上昇しているだけだったってことか。


「肉体を鍛えた分だけレベル差に比例した実力差が生まれる。その潜在能力を最大限にまで引き出す武技を修得すれば、より恩恵を得られるし効率的にレベルを上げられる」

「でも、おれはホラ、スキルがあるし」

「‥‥‥そうだな。ならそのスキルを使いこなせ。木を倒すなと言ったよな?」

「‥‥‥あい」


 難しいんだよな。

 おれは着地を練習したけど木を90度回転させて転移するとなるとコントロールの問題になる。

 転移した時、元の体勢のままを徹底してきたけど、狙って横倒しにすることができるのか?


 試すしかないか。


「そりゃ!」

「おい、さっきと変わらないぞ。横だ。横に倒せ」

「わかってる!」


 転移の向き、その影響の源が何かは何となくわかっている。

 フォースフィールドだ。


 それは転移の基本を理解すればわかる。


 転移の基本。


 まずポイントを設定。

 魔力を込める。

 フォースフィールドで自分を包む。

 自分の周囲にテレショック。

 転移先にテレショック。

 転移完了。

 着地。


 最初のポイントをイメージする時、おれは転移の扉をイメージする。

 ドアはその場に立ってる。

 これが転移した時の方向を決めているのだろう。

 次に向きだ。

 魔力を込めてから転移するまでの間で、おれが感覚的に操作することができるのはフォースフィールドだけだ。

 そしてフォースフィールドで覆う時、どこから始めるか、これが転移したものの向きを変える。


 普段は手の辺り、身体の全面から裏へフォースフィールドを覆う。


 そうすると普通にドアを通るように転移できる。

 だが脚からやると斜めだったり、横倒しになる。


「バルト、ナイフを貸してくれ」

「また実験か?」

「ああ実証実験だ」


 転移のドアを横にして、フォースフィールドはいつも通り、中央(刃の付け根)から全体へ。


 すると、ナイフは真横になった転移した。しかし少し地面より上だった。


「今度は高さか」


 ドアを地面スレスレでイメージ。

 今度は上手くいった。


 おれは転移の向きを自在にコントロールすることに成功した。


 これを応用すればこんなこともできる。


 バルトは今立っているが、転移ドアを横にして地面から高めに設定、頭からフォースフィールドを張れば。


「ん? なんだ? うぉ!!」

「できた!『転移・天地逆転』!!」

「おれで実験するな!!!」



 バルトは間一髪逆立ちする形で耐えていた。


 もっとドアの高さは低い方が奇襲になるな。


「勉強になります」

「少しは悪びれろ」


 伐採作業はそれからかなり効率的に進んだ。


 家の跡地の開けた場所にこれでもかというほどの真っ直ぐの木材が山と積まれた。




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