メモ1
私は時々夢を見る。
どこかの、だれかの、なにかのはなし。
舞台も、名前も、起きている事も、私にはよく分からない。
私に届くのは、切り取られた想いだけ。
あまりに断片的。あまりに抽象的。
ーそれでも。
かき集めれば、何かわかるかも。
そう思ったので、ここにメモとして置いておく。
頻度の高い順に。色濃く残っている順に。
"メモ1"
_人は誰しも、やるべき事を1つは宿していると思う。
なんて、借り物の身体に居座ってる、人でもない何かが言うのはおかしいけど、そう思う。
僕の場合は、それが世界を救うことだったから、今こんなことになってるだけだ。
夜の街並み、ビルの屋上。そこでついさっき最後の工程を終えた。瞬きにも満たない刹那の後、然るべき何かが僕を襲うだろう。
死に続けるのか、生き続けるのか。ここで終わりか、山のような仕事を投げられるか。
両方だろうなぁ、なんて思っていたら、僕は記憶を漁っていた。
ない。やっぱり。やっぱりない。
どこかに、大事にしまっておいたはずの記憶が抜け落ちていた。
あぁ、クソ。最悪だ。
失くしたのはいい。多分失くしたのは今じゃないし、あれ以外にもいっぱい失くしてると思うから。でもそれに気づいてしまうのは最悪だ。"無い”を意識するとすごく嫌な気分になる。
もうなくしたくないとおもった。そこで記憶をかき集めようとしたのがさらに間違いだった。
僕にはもう、なんの記憶も残っていなかった。
笑ったり、泣いたり、怒ったり、助けたり、殺したり。いっぱいしたはずなのに、もう何もない。ない。ない。
悟ってしまった。「これが続く」のだと。
奪われて、空っぽになって、空を埋めるために頑張って、奪われて。その繰り返しなのだと。
これが「生きる/死ぬ」という事なのだと。
いやだ。
いやだ。
「生き/死に」たくない!「生き/死に」たくない!
それならいっそ「生きて/死んで」いたい!
「生き/死に」たい!! ______
お疲れ様です。
週一投稿になると思われます。
初投稿なので勝手が分かりません。ご了承ください。