戦術的猛撃と戦略的作戦
一章:想像をはるかに超えてきた...。
その日は夏期講習前の学力テストだ。 出発が少し遅くなり、塾の教室には少し遅れて入った。 席を確認した後、俺は教室の扉を開けた。 ほぼ全員の視線が集まり、その中にはアオイちゃんも含まれていた。 まぁこれは遅れてはいる方がいけないが、幸か不幸か俺の席はアオイちゃんの二つとなりだった。 正直ラッキーだったが、すぐにそれも疑わしいことになる。 けしカスを捨てる場所は教室の角なんだが、それはアオイちゃん側の方が近い。 しかし、一教科目が終わった時、アオイちゃんが席を立ったと思ったら、なぜか俺の方から通ってった! 明らかに遠回りだ。 そして帰って来る時も俺の方から通ってった。 しかも帰ってくるときは俺をガン見していた! 焦点を合わせていなくても感じるアレがあった。 加えてアオイちゃんは目がすごいパッチリしてるから見られているときはマジでわかりやすい。 二教科目が終わった時、俺はけしカスを捨てに行ったが、その時はアオイちゃんの方からはいかなかった。 すると、アオイちゃんが俺がけしカスを捨てに行ったのを探知したのか、超高速で俺の方に来てけしカスを捨てていった! これについてはあからさますぎてからかわれているのかと思えるくらいだった。 なので席まで帰るときは、少しあからさまだが、俺からアオイちゃんの前を通ってみた。 (その時は、人生で一番自分の匂いを気にした時だった。) これがとどめを刺したのか、ここからさらにあからさまに見られたり、近くにいたりというのが増えていった。 一度、出会った頃のことを思い出してみた。 その時はただ単に美女というだけで、恋愛対象には入れるつもりはなかった。 むしろ観客である運命だと思ってた。 しかし今となってはこの状況。 少し頭が混乱気味になり、いつしかずーっとそのことを考えるようになってしまった。
二章:決意と妨害
さすがにあんなことがあったらどんな人か気になる。 俺は意を決して話しかけてみることにした。 少し緊張しながら待っていたら、そこに来たのはまさに招かれざる客だった。 なんと、U中学校の女子が二人新たに入ってきたのだ! (どおぉぉしてだよおぉぉーー!! ただでさえそんな美女に話しかけることなんて慣れてないのに他の人いるとなおさら話しかけずらくなんだろーーがっっ!!) 結局その日は何も話さなかった。 (あの二人さえ...と思うかもしれないがそれはほかの人がいると言えない俺が悪い。 とにかくアオイちゃんと話せるのはもう少し先になるかもしれない。) そんなことを思っていたら、ある可能性がひらめいた。
三章:現代風ナンパ
確かに直接話すのは難易度が上がってしまった。 しかし現代においては「ライン」という最強コミュニケーションツールがあったではないか! ラインの交換なら一回話すだけで済む。 そうして俺はずっと放置していたラインアカウントを再起動させ、QRコードをコピーし、それを塾用のカバンに丁寧に突っ込んだ。 勇者になって剣を背中に背負って旅に出る気分だった。 そして塾に行ったんだが、とてつもない凡ミスをしていることにそこで気が付いた。 俺はナンパは性に合わなかったのだ。 「Hey!君可愛いねー!ライン交換しなーい?」なんて聞こうとでもいうのか? おそらくそれはナイトクラブでやることであって、塾でやることではない。 何かしらの理由が必要だった。 こうして一日を無駄にしてしまった。 家に帰ってからというもの、紙とペンをとりだし、ひたすらアイデアを書きまくった。 しかしどれも好意がバレバレであり、とてもじゃないがまじめに勉強している人たちの前で言えることとは程遠かった。 そして俺は学校の頭がいい人たちに考えてもらった。 シンプルに頭の数を増やすことで効率を上げようとしたのだ。 結果は、かなりいいアイデアを頂いた。 別中学、塾、勉強、これらのワードから導き出した客観的かつ自然な戦略はこうだ。 「ねぇ、アオイちゃん! 俺ほかの中学校の出題傾向とか知りたいと思ってるんだけど、よかったらラインで送ってくれない?」 個人的にはほかの人がやっていても全然違和感ない! こうして準備は整ったのだ。 さぁ、アオイちゃん、今いくよおぉぉ~~!
続く