少女はTSした親友♀を分からせたい
企画用に書いてみたけど、続きかいたらセンシティブになる予感がしたので寸止めしました。
荻原園香は激怒していた。
彼女には男の親友が居た。
今では彼女より背丈は低く小柄。しかし出るところは出ており、制服の上からでも胸の膨らみが良く分かる小悪魔ボディー。女性から見てもかなりエロい。
軽くカールした茶色交じりの髪は艶やかで、顔つきも可愛らしく誰が見ても美少女と答える。
目の前で、園香に可愛いと言われてはにかむ少女は、そう――――――不治の病であり、奇病である性別転換病、通称TS病、に罹ってしまったのだ。
この奇病に罹ると治ることは不可能。罹った者は逆転した性別での生活を余儀なくされる為、戸籍の変更、精神治療、その性別での生き方、などなど国からの援助が受けれる。詳しい説明は省略。
「べっ別にお前が可愛いって褒めてくれたから嬉しいわけじゃないからな!」
などと早口に態度とは全く真逆のことを言う秋口霜。
態度でバレバレなのだが、この場でツッコむ者は誰一人としていない。
「ハイハイ。ほら、早く私の家に行くわよ」
「だからオレは男なんだからな!」
「そうだねー、霜ちゃんは男の子だねー」
園香は軽口を叩くが内心では激怒している。もちろん、霜に対してだ。
‟男だとか言いながら、何その可愛らしい仕草!男って言うなら、もっとそれらしくしなさいよ!”
霜がTS病に罹る前から親友同士だった二人。
男女ではあるが、高校入学から知り合い何故かウマが合い性別を感じないで過ごしてきて、多少は異性として意識することはあったが、これからもバカ笑いをし合える仲だと園香は思っていた。
しかし、その思いはいとも容易く崩れ去った。
親友がTS病を患い、精神状態が落ち着きようやく学校に現れた時、園香はどうしよもなく心臓が高鳴った。
‟なに、この美少女は!?”
自分好みドストライクになった親友に大興奮―――――園香はバイだったのだ。
霜が男だった時に何度かアプローチをしたことがあったが、まったく歯牙にかけなかった。むしろ、気づきすらしなかった。
そして、美少女になった霜との関係はあまり変わらなかった。
園香にとって霜は親友である事は変わらない。
「なぁ園香。そこのアイスクリーム屋でアイス買っていこうぜ」
男の時と変わらない喋り方、接し方をしてくることが嬉しくもあり怒りもしていた。
「アンタ、ほんとアイスが好きよねぇ」
「……なんだよ、おかしいかよ」
「いいえ、ぜーんぜん」
むしろ可愛すぎるわよ!という心の声を張り上げる園香。
ちょっと俯き加減で不貞腐れる顔は、園香の保護欲をそそるのだが、それは周囲の人間も同じ。
霜は元男だった所為で、女性としてとても無防備過ぎる行動が多い。
仕草だったり、服装だったりと、こいつ実は誘っているんじゃないか?と思うようなことを平然とやってのけるのだ。その多くは園香に向けられることが多い。
「ん~~~~ん!おいしーーー」
へにゃっと顔をだらしなく緩ませてアイスを食べる霜。
お前、本当に男だったのか?と問いかけたくなる園香であったが、口には出さずソッとアイスで汚れた霜の口周りをふき取る。彼女は、世話焼き系の姉御肌。日常的にこの様な世話を焼くことが多い。
「お、ありがとうなッ!」
「はいはい……」
男の時からこんな感じであったが、美少女になったせいで破壊力が高くなっていることを本人は知らない。
自分が美少女だという自覚がないのだ。
園香は、自分以外に振りまかれる霜の無防備な色香に苛立っている。
何度も注意はしたが、オレは男!の一点張り。
先ほども会計の店員の男性が、霜の胸を凝視していたが本人は気が付いてない。
「今日は久しぶりに園香の家に泊まるからな。何して遊ぼうか!」
アイスを食べ終えて無邪気に歩き出す霜。実は、好きな女の子の家に遊びに行く事が嬉しくて仕方がないのだが、園香が知る由もない。
同じように、霜もこれからのことを知る由もない。
だから、園香は怒りを募らせていた。
美少女あることを無自覚に周囲を、園香を誘惑する霜に。
八つ当たりも甚だしいのだが、男の時と変わらない霜は学校の男子にとっては良いオカズであった。色々な意味で。
気を抜くとスカートははだけるし、スケブラも普通だし、ボディータッチも男子と行ったりする。
園香は周囲の女子からの敵意が向かないように裏で手を回しているのだが、霜は気が付いていない。
男だと主張する割に、少しずつ女性っぽくなっていくのだから堪ったものではない。
先ほども園香が可愛いと言ったら、嬉しそうにしながらのツンデレセリフである。もう園香の理性は崩壊寸前だ。
今はまだ我慢の時、そう自分に言い聞かせる園香。
目の前を歩く親友は知らない。これから自分がどんな目に合うのかを。
今日は金曜日。
たっぷりと自分が女であることを分からせよう。
園香は薄っすらと微笑み、元男である親友の後を追うのであった。
供養