手がかり-2
下層への通路に逃げ込んだ人々は、全員が怯えながらも、回復や怪我の処置をし合って生き延びていた。
「皆様方!もう安全です!帰りましょう!」
セレナの元気な声を聞いて、皆一様に表情を明るくする。
*
ギルドと、そこに集まった人々は全員、俺達の帰還を待ちわびていたようで、満身創痍の有様の俺達は、手厚い対応で出迎えられた。
それから一時間ほど経つが、緊急会議の結果の公開を待機し、多くの冒険者がギルドに残っている。
メアも道中で目を覚まし、もともとのステータスの高さもあってポーションで体力は回復している。まだ体の節々の痛みは消えていないようで、冷やしたりもんだりしているが、本人は平気だと言っていた。
問題は重傷者達だ。ギルドで待機していた回復術士達が懸命な努力を尽くしているが、まだ全員の意識は戻っていない。
……そして。
「……ギルドの冒険者登録情報との照合の結果です」
セレナが、報告要旨を持ってきた。いつも明るい彼女の、そのやりきれない表情で結果のだいたいを察してしまったが、確認する。
「……証言による死亡確認二名……行方不明者一名……か」
……三人、欠けたか。
「あの状況で行方不明つったら、残念だが……」
ウズルも項垂れる。
「……俺が、立ち止まったりしなければ」
逃げてきた冒険者と出会う直前、諦めかけて立ち止まったことを思い出す。あそこであんな時間を過ごしていなければ、この三人も助けられたかもしれない、そう思うと後悔ばかりが募ってくる。
「……いえ、ハヤトさんは最善を尽くしたと、ボクは思います!」
「……メアと三人の命を比べちまうみたいで悪ぃが、そうじゃなかったら俺たちが間に合ってなかったかもしれねぇ。そうだろ?」
「ウズル、それは俺たち以外の人がいるところで言うなよ……」
わかってら、と彼は答える。
だが、二人の言葉で少しだけ楽になった気がする。……被害がこれだけで済んだ、そう言えるのだろうか?
複数の巨大ゴブリンがいると分かった時の怯え、棍棒を投げられた時の混乱。スキルを使いこなせなかった時の情けなさ。……そして、そのせいでメアに重傷を負わせてしまった罪悪感。
乗り越えなければ、いけない。
……無理やり転生させられて、いきなりこんな死地を経験させられて、それでもまだ、問題は解決していない。これも、しかたなく眷族やるってことについて回っているんだろうなぁと、そう思う。
しかたなく、なんて言って眷族になってこんな目にあっているんだ。
しかたなく、強くなるしかないか。
ひどいな、俺は。俺たちで何とかするんだ!なんて言っておきながら、こんなことになったらなったで、これは眷族になったせいだなんて、少しでも思ってしまっているのだから。
──はは。アイラに合わせる顔、あるか?
女神の眷族として、役目は果たせただろうか?多分アイラのことだから、俺が本気で迫れば、契約の解除はしてくれただろう。それをわかっておきながら俺は、心のどこかで女神のそれになったことを快く思っていたのだろう。
それなのに。このザマだ。
「──緊急会議の決議報告をする!」