モンスターケイブー1
「助かる。メア!街の近くの洞窟だ!」
「ならこっちよ!」
角を曲がる、まっすぐ行ったところの門よりも、洞窟に近い街の出口があるに違いない。
「あの洞窟、モンスターケイブって、言われてるのよ!」
「モンスターの巣か!」
「そう!しかも、上層なら、C級レベルのモンスターしか、
でないから、下級冒険者も、結構行くの!」
走りながら話すせいで、言葉が途切れ途切れになる。しかも、大きな声になるので、街の人々から目線が集まっているが、気にしている暇はない。
「なら、急がないと、まずいな!」
「えぇ、被害を出す訳には、いかないわ!」
メア長いロングテールが風になびくほどのスピードで走り続けているが、ステータスのお陰か、休憩の必要は全くなさそうだ。
街の門を抜けて、まだ走る。
「メア!後どのくらいだ?」
「このスピードなら、あと5分はかかる!」
「……上げるか!」
「えぇ!」
地面を蹴る力を強くする。一歩一歩飛ぶように走る。
今までにないスピードで平原を駆ける。視界の横を流れる景色では、平原とはいえ、ポツポツと生える木々が、そのスピードを表すように後ろに飛んでいく。
「──この魔気、一体じゃない!」
突然、ネックレスから慌てた声。
「どういうことだ!?」
「さっきより、魔気が濃くなってる……!増えてるわ」
──まずいな
「メア、俺たち二人じゃ、無理かもしれない」
先を行くメアに伝える。
「アイラ、光を強くできるか?」
メアは顔だけこちらに向けて俺のネックレスを見る。
ネックレスはアイラによってより強い光を放つ。
「……増えたのね」
「あぁ、それに今回の相手はスライムじゃないだろう」
メアの表情が険しくなる。俺もメアも「二人では無理」という言葉の意味を、それだけではないと分かっている。
つまりは「無理だからここで立ち止まろう」ということだ。……誰かが洞窟に残っているという確証もない。身を危険に晒すだけになるかもしれないといった可能性もある。
──では、まだ低ランクの冒険者が残っていたら?
「どうしようもないって言うの!?でも、でもそれじゃあ!」
──見捨てる、事になる。
いい感じに切れなさそうだったので短いですが切りました