桃太郎と三匹の結論
「ふぅ。旅に出るとは言ったけど、どうしよう?まず旅の仲間探しからかな?……お爺さんとお婆さんには仲間を探して行くって言ったけど、私は家族を探して一緒に鬼退治に行きたいの」
つまり、ネコとカラスとヘビのことである。一年前に行方不明になった桃太郎の家族のことだ。
自由奔放なネコ。
光り物好きなカラス。
岩場好きなヘビ。
このヒントだけを頼りに探していけばどうにか見つかるんじゃないかと桃太郎は踏んでいた。
「って言っても、ネコちゃんはどこにいるのか一番わからないし、他の子達から……。あ。目の前にいた」
そう。目の前にネコがいました。出発して数分の出来事です。どう考えても桃太郎の知る模様と一致しているネコです。
「ネコちゃんだよね?私達と住んでたよね」
果敢にも桃太郎はネコに話しかけます。
「いや、そんなわけないよ。ワタシは人間と一緒に暮らしてなんかいなかった。だからネコ違いだと思うよモモ姐」
桃太郎は思いました。どう見てもあのネコちゃんだし、私の愛称まで知ってる時点で他人……他猫の空似とは思えないんだ。と。
「……とりあえず、聞きたいんだけど一緒に鬼退治に行ってくれないかな?"きびだんご"一つ挙げるからさ」
風呂敷を出して、そこから一つだけ好きなのをどうぞと告げると、ネコはピンクのだんごめがけてまっしぐらです。
桃太郎は、そのだんご以外を即座に袋に仕舞いました。ネコが踏みそうだったからです。一番近くのだんごに食いついてくれて安心です。
「それがいいの?あげるよ?鬼退治してくれよね?食べるんだもんね?」
キラキラした目をネコに向けながら桃太郎は言いました。
「え。もう少しかじっちゃった……。仕方ない!でも、少し待ってて。子供達にも食べさせてくるから」
「え?!ネコちゃんママになったの!?」
「そうね。一年もあればママにもなるわよ。人間よりネコの方が生命の誕生は早いのよ」
そう言うと、少し離れたところへだんごのかけらを運んで行って戻ってきました。
「さて、約束は約束だもの。モモ姐の指示に従うわ」
[ネコが帰ってきた][ネコが仲間になった]
「何よ。それ」
「なんかね。お爺さんの本棚にそんなことが書かれた本があったから。つい」
「ま。いいわよ。で?どうせ他のみんなも探すのよね」
ネコは桃太郎の肩に飛び乗りながら問います。
明らかに楽しているだけで、探すのには言葉では協力的だが、見たまんまだとやる気無しである。
「えーっと、次はカラス君なんだけど、ネコちゃん良い案ある?」
ネコは欠伸を一つ返す。知らないからとりあえず眠るということらしい。ネコの自由さにはある意味尊敬する桃太郎だった。
「カラス君はっと。確か光り物が好きだったから、これを空にかざしてみよう」
桃太郎は空に向かって小さなガラス玉をかざす。
小さなガラス玉は太陽の光を受けてキラキラと輝いている。
「んー?これじゃ来ないかなー?それに、これ、近くにいないと見えないよね?意味ないよね!?」
桃太郎はガラス玉を太陽光にかざしながら歩くことにした。
森を抜け、岩場を抜け……ようとした手前で桃太郎は、ふと休憩をした場所に隙間を見つける。
「まさかねー?ヘビさーん?こんなところに偶然居たりしないよねー?」
桃太郎は隙間に向かって声をかける。岩場であって、枯れ葉とかも少しある場所だ。ヘビには良い感じの寝床になるだろう。
「やっぱりいないよね。うん。こんな近くに……」
「いや、いるよ。ボクはここ住処にしてたんだよ。動きたくなかったからね」
「わっ!本当にいるなんて!驚いたよぉ。ネコちゃんネコちゃん!ヘビさんですよ!」
桃太郎は慌ててネコを起こします。ネコは欠伸を一つすると、ヘビに話しかけます。
「あなたまだこんなところにいたの?一度私の子を狙いに来たって旦那が言ってたわよ」
「いやいや、ネコ。ボクはネコの家族を見に行っただけで……。ボクヘビだからよく見た目で判断されるからね……」
桃太郎は思いました。私達は家族だから良いのだけど、自然界では普通に敵同士なんだなと。
「ま、いいわよ。結果何もなかったわけだから。ところであんたも鬼退治について来なさいよ。ほらモモ姐は"きびだんご"用意して」
「わかったから。はい。風呂敷を広げてっと。好きなだんご一つだけ食べていいよ」
「一つだけ?このだんごだけ二個同じものかあるんだけど、両方貰ったらダメかな?お願い!モモ姫」
桃太郎はモモ姫と呼ばれて満更でもなかったのか、二つ一気に挙げることにしました。
ヘビは二つ同時に丸呑みです。それを肩の上から見ていたネコが言います。
「ワタシは一つだったのに、あんたは二つなんてずるいわ!……と思ったけど、他のだんごはワタシには合わなかったからやっぱいいわ」
「ネコちゃんオニギリだったら食べれる?半分ならあげるよ?」
桃太郎が半分に割ったオニギリをネコに渡すと、喜んで食べました。ネコが乗ってる肩の部分はご飯粒がついてしまいますが冷静に取って対処します。
「さてと。ネコちゃんとヘビさんが仲間に加わったわけだけどさ。カラス君どうしよっか?一応ガラス玉かざしながら進むけど、最悪いないまま退治しにいくけど」
「異議無いわ」
「ボクも特に反対しないかな」
なんとも白状な一人と二匹である。
ともかく、桃太郎一行は歩く。
正しくは桃太郎一行は桃太郎に乗って進む
左肩ネコ。お腹にヘビ。そんな感じである。
「あれかな。鬼ヶ島って。鬼の形の島というよりか、キツネのほうが似てるよね」
「異議無いわ」
「ボクもそう思うな」
なんだかんだ言いながらも一行は鬼ヶ島が見える位置までたどり着くことに成功する。
目の前の海は荒れていて、船なんて出せる天気ではなかったが、桃太郎は止まらず歩きます。
もう一度言います。海は荒れていて船は出航不可能でも桃太郎は止まりません。
言い方を変えてもこの事実は覆りませんが、あくまでも"船"なのです。
「まさか、鬼ヶ島と繋がってる道が地上にあるなんてね。風も遮ってくれるんだから鬼の技術って凄いね」
「ワタシとあんたは鬼に助けられた感じになってるわね」
「たしかに……。僕たち水苦手だもんね」
海上に鬼ヶ島への道が続いていました。それなら船が無くても進めて当然です。
しかも五分もせずに渡りきれました。案外近いものでした。
しかし、鬼ヶ島にたどり着いたは良いものの、目の前の大きな門が開きません。桃太郎の常人離れした力でも無理でしたが、二分ほど押し続けると、拍子抜けしたように軽くなった門が動いたのです。
これは好機と桃太郎は門を一気に押しました。
「アホー。アホー。放置していくなんてアホー」
カラス君です。門を開けた先にカラス君が飛んでいました。どうやら門の栓を抜いてくれたのは彼のようです。
「カラス君だよね!ありがとう!きびだんご挙げたいんだけど、このガラス玉とどっちが良い?」
「ガラス玉に決まってるやろアホー。名前が似てるからな」
鬼ヶ島に到着してようやく揃う家族だったが、感動するにはまだ早い。目の前にいる七匹の鬼を退治しなくてはいけません。
「ん?七匹?」
ネコは前方の七匹の鬼達を見て、ふと考えました。七ってどこかで聞いたこと……あ。
「モモ姐」
「何?」
「あのさ。"きびだんご"という名の危険物にかけてみない?残りの7つを全てアイツらに食べさせるの。強くはなったりしないだろうから大丈夫だと思わ」
ネコは最終兵器を使うことにした。自分が食べただんごにはマタタビが大量に使われていたことから、他のだんごも特化型だんごである可能性を考えたのだ。
「……いいけど、食べさせる方法は?何か良い案でもあるの?」
「んー?無いわよ?カラスと、あんたよ。ヘビ。考えなさい」
たしかに、きびだんごは何か出来そうな気がするが、それを食べさせる方法となると難しいのだ。
「ワシなら二つぐらい掴んで食わせられんぞ?ただ一気にとなると無理やな」
確かにカラスの足だと可能な作戦ではあるが、一度にとなると厳しい。
なので、なるべく奥にいる鬼の口に運んでもらって、何かした事を悟られないようにしようということになった。
「これで、何とか二つは埋まるとしても。あと残り五つ。ネコちゃんの尻尾で口に向けて飛ばせないかな?
」
「無理ではないわ。でも口が開いてなければ無理よ」
「だったらボクが、くすぐり攻撃してくるからその隙に!」
臆病なヘビが好戦的になる時。つまり、切羽詰まった時である。柔軟性と速さを持つ上に、相手は動きの遅い鬼だ。安全面は完璧だ。
「じゃぁ、作戦は決まったから決行よろしくね!私は宝物でも探してくるから!お爺さんとお婆さんへのお土産に!」
そう言って、桃太郎は鬼達を横目に鬼の館に一人入って行きました。
呆然と三匹は桃太郎を見送るだけでした。
幸いにも最終兵器"きびだんご"入り袋は置いて行ってくれたので、三匹は作戦を実行しようとしますが、ちょっと待ってください?
どうやってネコは尻尾で飛ばすんでしょうか?誰かが投げなくてはいけないのでは?という話です。もちろん三匹は桃太郎が投げてくれるものと思っていましたから。
「はぁ、モモ姐にも呆れたものね。しょうがないわ。速度は落ちるけど自分で投げて、自分で打つわ。カラスは往復出来そうなら頼むわよ。ヘビは援護よろしく頼むわ」
ネコが的確に指示を出して行く。こんな時にマイペースなんて言ってられないと言いながらなのが既にマイペースなのではないか?
「よっ。次ー。あいよー」
「こしょこしょー。次の鬼!ボクだってやれば出来るんだから!」
「い、く、わ、よ!飛べ!ヘビ次!早く!良いわよ!よし!」
なんだかんだで七匹の鬼へのだんご作戦は終えた三匹はネコの元で集合していた。
「この作戦で本当に良かったのかな?ボクにはわからないよ」
「ええんとちゃうか? だってアイツらの顔よ。だらしのぉヨダレやら涙やら流しとるわ!」
「ふふっ。私の作戦にかかれば楽勝よ。でも、"きびだんご"の中身って何だったのかしら?無事に帰れたら聞きましょ?」
と、いう戦いが繰り広げられていた中、鬼の館に入っていった桃太郎はと言うと?
「はっ、はっ、はっ。はぁっ、はあっ。すー、はー。よしっ!着いた。ここがきっと館の最上階だね!」
宝物を探しに行くと言っていた桃太郎ですが、流石はおばあさんの育て方といいますか、嘘で仲間たち……いや家族達を騙して、一人で親玉の鬼との決着をつけに来たようです。
きっとこの扉を開けると鬼の頭領がいるのだろうと。こういうのは大抵上の方だろうと考えて扉の前に立ちます。桃太郎は一人です。
こんな場面でもお腹は空くので、残っているオニギリを頬張って食べます。
ですが、美味しいはずのオニギリを食べても味がしません。流石の桃太郎も最終決戦を前に緊張しています。
「私が緊張しているのかな。お婆さんのオニギリの味が分かんないや。えーい!為せば成る!為さねばならぬ!何事もぉぉ!」
桃太郎はそのまま勢いで、眼前にあった大きな扉を蹴破り吹き飛ばしました。
「私の名前は桃太郎!お婆さんとお爺さんの為に、鬼の頭領を退治しに……?あ、あれ?どこだろ?」
纏めた髪を揺らし、膨らんだ胸を張り、内緒で背中に隠して持ってきた刀を天に掲げながら名も告げ、格好よく登場した桃太郎でしたが、なんとそこには誰もいません。
確かに何かがいた形跡はありますが、特にこれと言った姿は見当たりません。
「あ、あれ?目の前に明らかに偉い人が座りそうな椅子があるけど、他に何か怪しい所は……な、ないっ!かなー?!特にないね!」
桃太郎は帰ろうとします。どう見ても扉を破壊した残骸の瓦礫が目の前に残っているのですから。その下から腕のようなものが見えているのですから。
どうにも目を逸らしているようです。そんな終わり方有って良いんだろうかという考えでいっぱいです。
その時背を向けた瓦礫の中から声がします。
「き、貴様が……こんなことをしたのか……。ワレは鬼、鬼の頭領……。鬼太郎であ……る。不意打ちとは言え……、貴様の勝ちだ……。椅子の裏の窪みを押すが良い……。宝物庫がある。くれてやるから早急に去ってくれ……」
桃太郎はその声に驚きましたが、桃太郎も鬼ではありません。その瓦礫に近づき、鬼頭領を助けます。
桃太郎の力は絶大で、いとも簡単に瓦礫は退かされました。
「これで、ちゃんと戦えるよね。なんだったら私も怪我しよっか?こんな勝ち方でお爺さんになんて言われるか」
桃太郎は面子の事だけを考えて助けたようです。無事に帰ると約束したわけですから、それ自体は果たせるでしょう。
あの武闘派老夫婦です。出来る限り熱い展開にしないといけないのでは無いかと桃太郎は考えたようです。
「いや、そんな配慮は要らぬよ。助けてもらって戦うのは忍びないが、良かろう。当の本人からの頼みだ。断るまいて」
「そうこなくっちゃね!じゃぁ、いっくよー。せいっ!!」
両者、構えを見せて攻撃を開始しようとしますが、やはり桃太郎の速さは異常でした。
掛け声一つで頭領の懐に入ると、右手でアッパー気味に腹、その勢いのまま振り上げ中の拳を回転させて胸、最後に左腕からのアッパーで顎にクリーンヒットします。
「や、やりすぎちゃったかな?」
そうだと思います。鬼の頭領もそんな思考で飛んでいる事でしょう。天井に頭が刺さったままブラーンとなっているので確認は出来ませんが。
どうにかこうにか決着をつけることに成功した桃太郎。ただのワンマンショーだった気がするのは桃太郎も少し承知のことだが。
「っと、と。お宝お宝!あ、この窪みかな?おおー!椅子の下から階段が!」
鬼の頭領が言ったことは本当だったようです。椅子の下から階段が出てきました。下層ではなく上層への方向のようです。
桃太郎は思います。これ今何階?と。結構な数の階段を上り下りしました。
見つけた階段を手当たり次第上り下りしたので余計に混乱します。
「うーん。とりあえずお宝を見てから、どうするか決めよっと」
能天気でした。
階段を上ると、そこには金銀財宝が……なんてことは一切無く、目の前には一つの大きな大きなツボしか見当たりません。
蓋がしてあるとは言え、縁にはホコリが積もっているし、近くの壁からは蜘蛛の巣が張っているような状況です。
「こ、これがお宝……。と、とにかくこれだけでも持って帰ろう!うん!そうしよう……」
桃太郎は大きな大きなツボの周りを綺麗にして、持ち帰ることにしました。
「おい。桃太郎。お前みたいな女子に負けるなんて鬼失格だ。もう悪いことはしねぇから二度と来るなよ」
後ろから声がしました。そうです。鬼の頭領です。
天井に頭が刺さっているということは勿論上に顔があるわけです。桃太郎も上に登ってきたわけですから、当然居てもおかしくありません。
「あ、鬼の頭領さんじゃないですかー。どうしたんですかー?なんなら顔抜いて去りましょうかー?」
桃太郎は人格が変わったかのように頭領を煽ります。ザマーミローという顔をしています。
「……なんだか妙にムカつくが頼む」
「はい!了解です!」
ドーン!と鳴りました。それはもう激しくドーーーーンと鳴ったのです。最上階から地面まで真っ逆さまに穴があきました。
確かに顔は抜けましたが、天井も床も抜けてしまいました。
桃太郎が階下を覗くと、完全に鬼が目を回して倒れていました。
「あ。結構この館って高くなかったんだ」
穴から桃太郎が見ていたものは、既に鬼では無く絶好の帰り道となった通路を見ていたようです。
頭がいい割には、お気づきかと思いますが多少天然ボケが入っているようです。
とは言え、本当に高くない館です。たかだか三階建ての館ですから、桃太郎の運動能力では少し高いくらいなのですが、何せ今はツボを持っていますから穴から見える階層を一つずつ降りていきます。
モノの三十秒程です。上る時は十分はかかったものですが、楽なものですね。流石桃太郎です。
外に出ると家族達がお出迎えです。
「お宝あったのね?何それツボ?」
「ツボかぁ、ボクその中に入ってもいいかな?」
「なんやモモちん。そんなもん担いで?他にお宝無かったんけ?こう、キラキラした財宝とかよ」
三者三様なのは相変わらずです。
「なんだかそうらしいよ。ところでこの中の物が実は……」
桃太郎は、実は聞いていたツボの中身についてヒソヒソと三匹に伝えます。
驚きを隠せない三匹でしたが、それならおばあさんとおじいさんも大喜びだと宝として持ち帰ることにしました。
そして、鬼ヶ島からの帰り道なのですが……。
大きな大きな地響きと共に桃太郎一行は帰ることになりました。そうです。鬼の頭領を除く鬼全てが付いてきてしまったのです。
桃太郎がおばあさんから頂いた"きびだんご"の残り七個は、特になんの変哲も無いただのだんごだったのです。
何か入っていたのかと言われれば、恐らくおばあさんの愛だと思います。それを食べた鬼達が心を掴まれて、改心したというわけです。
「鬼さん達は、これからどうするつもり?村に行っても悪いことをしたのだから最悪殺されちゃうよ?」
鬼達は互いに目を合わせた後、先頭の鬼が桃太郎を担ぎ上げて、頭の上に乗せました。
人間の倍はあろう体格なのでお茶の子さいさいです。
桃太郎は察しました。私達と一緒に暮らすんだなと。
そのころ、おじいさんとおばあさんは桃太郎の帰りを待っていました。
朝に出て行って、もう夜です。長旅も覚悟の上で送り出しましたが、そう鬼ヶ島まで遠くないのも知っていますから、一応外でジーッと待っていたところに、大きな大きな地響きが鳴り響き、だんだんと近づいてくるではありませんか。
そして、見えてくるのは自分達の可愛い可愛い桃太郎の姿です。
それも木よりも高いたかーい所にです。理由がイマイチわかりません。
よーく見てみると桃太郎が鬼に乗っている姿が見えます。
おじいさん達に向かって手も振っています。
おじいさんとおばあさんは何事かと思いましたが、桃太郎から飛んでくる何かに気づきました。
それは一年も前に何処かへ行ってしまっていたカラスでした。
「どないしてた?ワシや。カラスや。爺さん婆さん元気しとっか?」
「よう帰ってきたぁもんだ。元気や元気。カラス君がいるつことは、ほかん子らもいるだか?」
おばあさんは、涙を流しながら再開を喜びます。
カラスはみんなが居ることも、鬼達がきびだんごで改心したことも話しました。
「おーーい!お爺さーん!お婆さーん!ただいまー!みんなみんな連れて帰ってきたよー!」
帰り道にはネコの家に寄って、ネコ家族も一緒に連れて帰ってきました。
それからというモノの、おじいさんとおばあさんの家は鬼達との共存生活もあって、大変賑やかに過ごしましたとさ。
ああ。最後に"きびだんご"の中身でしたね。ネコとヘビが食べたものにはそれぞれ好物が練りこまれていたのですが、やはり鬼の食べたものには愛以外のものは特別入ってなかったようでした。
めでたしめでたし?
ツボの中身は不老不死の水で、一口飲めば忽ちどんな病気も治り、健康になるようなものだったので、村のみんなにも多少は分け与えたという話です。