笑顔のち、○○
夕焼けこやけで日が暮れて
山のお寺の鐘が鳴る
続き忘れた。
へへ。
「ヘンタイさんよ、その歌なんて歌なんだ?」
「だから変態じゃないってば!」
その呼び方には不満しかない。
思わず声にも感情が籠る。
「名前なんてどうでも良いじゃねぇか、なぁ!なんて歌なんだ?」
どうでも良いというワードにはカチンときたが
質問に答える。
「夕焼けこやけ、だったかな?」
「へぇー、聞いたこともねぇな。もっと、他にはないのか?」
先ほど怒号を飛ばしてきた同一人物と思えないくらい
幼い少年のように彩に興味をしめしている。
「じゃあ、、ゾウさんは?」
「ゾウさん?!誰なんだそれは!」
「誰って、、生き物よ。動物!すっごく大きくて耳も大きくて鼻もながーくて」
「なんだその生き物!!!その生き物の歌があるのか!?」
その男の声と連れて他の囚人たちも盛り上がり出した。
彩は思わず笑いがこぼれた。
意味分かんない世界に来て
変態って言われて
牢屋に入れられて
でも、こんな童謡でこんなに盛り上がって
音楽って
凄いな、、。
笑うって、、凄いな、、。
囚人たちと童謡を歌いながら笑っていると
城に続く扉が開いた。
「主上!!!」
門番が叫ぶと
そこには先ほど彩が胸ぐらを掴んだ
銀髪のお偉いさんが立っていた。
「なにやら物珍しい歌が聞こえてな。」
彩はその言葉にニコッと笑って
「あなたも一緒に歌いますか?歌って人を笑顔に変えてくれるんですよ。」
すると
銀髪の男は
ふふ、と笑い
「う る さ い」
そう言って扉をピシャッと閉めた。
言葉って凄いな。
笑顔を殺意を込めた形相に変えれるんだから。