とろけるこころ
「何て言うか、シリアスな空気がぶち壊れたのじゃ」
「ですね……でもゴブリン討伐のクエストは終了しましたよ。ほら、こんな感じで」
カノンとルピアの窒息しそうになる事件。もといイチャイチャを見てイロハが顔を赤く染めながらも苦々しげに口を開くと、悠葵が笑顔で駆け寄り、一枚の羊皮紙を見せました。
そこにはゴブリン討伐数の欄にクエスト完遂と明記されています。
「お主が書いた……訳でもなさそうじゃな。そもそもこの世界の文字は書けないよな?」
「はい、書けないですよ。これはゴブリンの討伐がクエスト完遂の規定量を上回るとこうなるらしいです。シアさんが言ってました」
「……? なんじゃそれ。私は一言も聞いてはおらんぞ?」
「そりゃそうですよ。だって私がシアさんに個人的に訊いたんですもん。ゴブリンとか魔物を狩ったらどうすればいいのかって」
「え、それ私に言ってくれても良かったんじゃないか?」
イロハは戸惑いを隠せません。こちらもルピア同様戦闘時の、神様としての威厳は微塵も感じられませんでした。
悠葵は羊皮紙を畳んで改造してある巫女服の内ポケットにしまいます。
「ふぅ、まあそれは別として。あの二人、どうする。待つとするか?」
「そうですね……一応魔物に気付かなくて殺される、なんて身も蓋もないですし、待ってましょうか」
「それもそうじゃな」
二人の意見が合致したところで、カノンに動きがありました。
「ルピア。そこまで謝るなら、ボクと冒険者をやらない?」
「……え?」
「ボクが見てきた世界を、ルピアにも見てもらいたいんだ。ダメ、かな?」
本人は無自覚ですが、背の都合上ルピアに上目遣いとなり、ついさっきの出来事による感情の動きにより赤くなった頬は、ルピアの罪悪感や保護欲をピンポイントで刺激。効果抜群でした。
「わ、分かった。やる、冒険者やるから……!」
「ほんと!? ルピア、ボクと一緒に冒険者になってくれるの? やったー!」
「あ、いや、あくまでもお試しとしてだぞ?」
「それでもいいの。だって一年も仲違いしてたんだもん。これからはその分一緒に居たいから!」
上目遣いでお願いされたルピアは咄嗟に鼻を抑えると、瞳を真紅に輝かせます。それに対しカノンは、ルピアが冒険者をやると言ったことでぱあっと破顔させ、追い討ちを喰らわせていました。
カノンとルピアの甘いやり取りを聞いて、イロハと悠葵は思考を一致させました。
それは、さっき合致した意見を裏返すようなこと。
「(リア充爆発するのじゃ!)」
もうカノンとルピアは爆発してもいいよね?
これがやりたくてカノンとルピア編書いてた訳だけど←




