転移しました
一話辺り1000文字程度です。
暇な時にどうぞ。
とあるところに金毛の狐の耳、尻尾がある幼い女の子の姿をした神様が居ました。
水色のパジャマを着た夢うつつの神様は、ふと目を覚ましました。
「ん……朝、かの?」
寝ぼけ眼を両手でごしごし擦って伸びをし、ふぅと息を吐き出してぼーっとするのが日課です。
ですが、その日課を行う事が出来ません。
何故なら――
「え、なんで私、草原に居るのじゃ?」
見渡す限りの草原が、神様の周りに生い茂っていました。
その事に状況が理解しきれなかったのです。
「ど、どうしよう。起きたらすぐにテレビ小説見たいのに。それが草と土しかないこんな場所じゃなんて……」
神様の寝る場所は信仰を必死に集めに集めた神社の中。日当たりがよくお昼寝するにとっても適した畳と、それに合う寝具とエアコンのあるとっても贅沢な環境です。なんなら横になってテレビも見れます。機械オンチなので録画は出来ませんが。
ですが起きたら草原のど真ん中。これには流石の神様も狼狽える他ありません。
「えーと、もしもし。繋がるかのー?」
機械オンチだからでしょうか? 神様は神社の巫女さんにもしもの為にと渡された携帯電話を取りだし、あろうことか電話番号を打ち込みもせずに訊ねます。神様は説明書を読まないタイプなのです。
勿論誰にも繋がるわけはありません。
ちなみに携帯は巫女さんに無くさないようにと言われ、常に首から掛けています。どうやらそのおかげで携帯ごと移動したようです。
「な、なんでじゃ……?」
訳が分からずただただ困惑する神様。ふと、地球で巫女さんから言われた言葉を思い出します。
『もしここ変態が居たとしたら、白く透き通るようなもちもちした肌をふにふにされ、ちっぱいを優しく丁寧にこねくりまわされ、敏感なフサフサした耳と尻尾をモフモフされ、そうして最後には性的に美味しくいただかれる事でしょう』
背中にぞぞーっと鳥肌がたちます。
もっとも、この草原にはそんな卑賤な輩すら居ないのですが神様はそれを知りません。
どうするかと悩んでいた神様は少し気を落ち着けようとしたら、くぅぅっと可愛らしくお腹が鳴りました。
神様と言えど女の子。人っこ一人居ない草原の中でも誰かに聞かれていないかと辺りを見渡します。
そして居ないことを確認してほっとしたところでもう一度、くぅぅぅぅっとさっきより少し長めにお腹が鳴り、神様のほっぺたは赤く染まります。どうやら気を抜いた反動のようです。
「仕方ない。ここでずっと居ても餓死するだけじゃし、適当に進むかの」
神様は適当に方向を決めると、金毛の柔らかそうな毛並みの尻尾を左右に揺らしながら歩き始めます。
そう、朝ごはんを求めて。
そして何より――
「それで誰か居たらおいなりさんを恵んでもらうのじゃ」
神様の一番の好物である、おいなりさんを求めて。
全話こんな感じの雰囲気です