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ある日の中間テスト

窓から指す陽射し。

それはとても眩しく、視界を遮る。

黒板に張られたスクリーンに反射し、私たちの視界から文字を奪う。

それでも決して、それを私、否私たちは先生に言おうとはしない。

今現在、この先生が怒っていることが分かっているからだった。


カリカリ、カリカリ。


シャープペンシルの音が教室に響く。

静かなこの部屋ではその音や、身動ぎの音が酷く煩く響いてしまう。

まぁその身動ぎに分類されるであろう、椅子のギシギシと言う音は程私が出しているのだが。


「そこまで、試験終了。」


教官、基担任の声が聞こえる。

テスト用紙を回収していく音もそれに重なる。

そしてその声が聞こえた後に、ガヤガヤと言う普段の喧騒が帰ってくる。

うん、これの方がこのクラスっぽい。

それに静かなのはなんと言うか、性に合わない。


「ユイー。」

「何?」

「テストどうよ、今回もワンツーフィニッシュ出来そ?」

「分かんない、今回は難しかったから。」


声をかけられ、真後ろを振り替えるとそこには気だるげな一人の少女。

ミステリアスな雰囲気だ、多分。

眠そうに欠伸をするとポニーテールがゆらゆら揺れる。

私が質問に答えると、興味無さそうにふーんと呟きまた欠伸をする。

清楚な顔立ちにも関わらず目元の隈が印象を悪くする。

それに着崩した制服や、茶髪。

そして言動。

男受けが良さそうにも見えるがすっかりクラスの男の大半からは怯えられている。

男子で恐らくこの子と話せるのは幼馴染みと小学生の時からの同級生のみだろう。

それから誰でもいいと言う雑食。

まぁそんな雑食も彼女…有城瑠樹によってとことん殴られるのだが。

152センチと言う小柄な体型にも関わらず簡単に男一人投げ飛ばすその力がどこから出てくるのか聞きたいものだ。



「……ユイってば!!話聞いてる?」

「あっ、ゴメン。考え事しちゃってた。」

「んもう、最近多いよ?それ。」

「ゴメンゴメン。」



私がそんな事を考えている間に瑠樹は私に呼び掛けていたらしく少し怒ったような表情で私の頭に手を置く。

と言うか、んもうって可愛いな。

瑠樹が言うとだけど。

でもまぁ、確かに最近つまらない事で考え事をしてしまう時間が増えたような気がする。

最近寝不足だからか?

そんなことはないと思うけど。

それでも辺りを見渡すとすっかり教室内には私と瑠樹しか残っていなくて、皆帰ってしまったんだと言うことがわかった。

私を置いてくなんて大概な……そんな独り言も誰もいないため響く。

にしてもこの教室よく反響するな。

うん、いい音。



「さてはて、帰りますか。」

「平気なの?気分悪いなら保健室行きなよ。私一人でも帰れるし。」



心配そうな顔をする彼女を他所に私は帰り支度を進める。

外は木枯らしが吹いていてとても寒そうだ。

季節はすっかり秋。

もうすぐ冬休みだった。

相変わらずの制服のミニスカは足がスースーする。

中学生の憧れらしいがこれ、そんなに良いものなのか?

ジャージの方がいい気がするが。

でもまぁそれが憧れだと言うならば悪い気はしない。

来年もまた、ここに新入生がたくさん入ってくれればそれで十分なのだ。






『貴女はそんな新入生を見ることも出来ないのに、ね。』






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