帰国準備とコース料理
魔王様との謁見(?)を終えた俺たちは指定された宿屋に戻ると宿の周りのの塀は焼け焦げたり宿の窓が割れていて木が打ち付けあったりしている。ここでも激しい戦闘が行われたのが目に見える
そして、宿に入ると草原の狼とTALOSの面々が酒盛りをしていた
「なにしてんの?」
「なにー親交を深めてるんだよ~、だってこいつらの魔法道具とか凄いんだぜ!剣が伸びたり爆発するハンマーとか使うんだ!」
「いやいやTALOSの鎧もすごいんだぜ!敵の魔法使いの攻撃を正面から受けてもビクともしないし何より爆発の魔法がすごいんだぜ!」
いや、両方とも知ってるよ・・・・
ちなみに外交官のベリガさんはすでに酔いつぶれていた
「で?今後の予定は?」
「ベリガさんの外交としての仕事は終わったらしいからこちらの予定次第で帰国する予定らしい」
「ほう、じゃあ明後日ぐらいに帰国しようか?」
「それがいいかもな」
「じゃあ明日は自由行動といこうか?ただしベリガさんの護衛には最低三人、交代でつけ、」
「了解」
そして次の日
ベリガさんの護衛には草原の狼の連中と魔族の騎士団が護衛に就くことになり、我々とTALOSは15時からになったので魔王都の市場や商店を巡りお土産を買うことにした、ちなみに案内役と言うことでサンドラ将軍が付き添ってくれてる
そして色々回るのだがパエリア王国の町と遜色はないな、青空市場では角の生えた魔族の人たちや獣人族、たまに人族を見かけるが皆活気があって値切り交渉をしたり、商人が背中に荷物を背負って歩いたりしている
「ふむ・・・、あんまりパエリア王国の市場と遜色がないようだな・・・」
「どんなのを想像してたんだ?」
と、色々説明してくれてるサンドラ将軍が質問してくるが、正直ゲームのRPGの最終ボスに出てきそうな町を想像してたんだ、なんというか薄暗く湿気があって松明で明かりをともしてるイメージがあったのだが
「もしかして薄暗くて松明で明かりを灯してるかんじか?」
「心を読むな」
「いや、あそこにいる人族は戦争とかで流れてきた人族でな、話を聞くと魔族領のイメージは大体そんなもんなんだよ」
「そうなのか?」
「あぁ、まぁ正直そんな所住みにくくてしょうがない、魔族も湿気は嫌いだし感覚は人間に近いんだ、違いは角と体の中にある魔石だけだからな」
「認識を改めないといけないかもな」
「そうだ、我々も一部を除き基本的には平和主義者だし、進んで死を望むやつなどいない」
「我々と一緒だな」
「・・・・なぁ赤、少し飯でも食べないか?」
と神妙な顔つきで飯を誘ってくるのだが、正直こんな顔では断りづらいじゃないか
「おごりならいいですよ」
「もちろん」
そして入ったのは凄く立派な建物で初老のおじさん(?)が出迎えてくれて全員を個室に案内してくれた
「お前たちに個人的に相談と言うか忠告がある」
「なんでしょうか?」
と言いながら出てきた料理を食べながら聞くと
「まず一つ目、軍がグリファル伯爵領でグリファル家の家の者を捕縛しに行ったさい、息子がすでに逃げ出した後で息子のマルズストンが行方不明だ、もしかしたら貴国の際にどこかで襲撃があるかもしれん、もちろん魔族国内では最重要賞金首として手配済みだ」
げ・・・まだ戦闘があり得るのか
「次に外務官のベリガ外務官だが秘密裏に軍の研究所に忍び込んで研究サンプルを盗み出したらしい、ベリガ外務官にはアリバイがあるのだが、宿の襲撃時に護衛の騎士団数名のアリバイがなく、研究所で人族数名を見たと報告があった、まぁ研究所では手の器用な人族を雇っているから見間違いかもしれないが見た事のない顔らしいから多分間違えないだろう」
「今のところは憶測ですか?」
「まぁな、でも実際在庫が足りなくなってるのと魔王様直属の精鋭である密偵の追跡を振り切るのを偶然とするのは考えづらい、まぁ気に掛ける程度でいいと思うが備えはしとくのがいいと思う」
「ちなみに盗み出されたサンプルとは?」
「魔王様いわくペストとか言ってたな」
マジでか・・・・ペストて言ったら14世紀に1億人近い被害をだし現在でも衛生観念の弱い地域ではたまに見かける病気だよなぁ、ここは専門家の桃に任せるか
「桃、衛生課はペストに対する抗生物質は持っているのか?」
「持ってきてはいますけど突然変異とか起こしてたら対処が遅れますね、最悪防毒服を着るか隔離政策で沈静化させるとかになりますね」
「そうか・・・将軍、この事は魔王様は知っているのか?」
「知ってはいるが国内で発表はしない方針だ、パニックになるのが一番恐ろしい事だしな、パエリア王国の方々には「確信が持てるまで言うな」と言われたがここの食事代を出したことから「非公式の報告をしておけ」と言われてるようなものだ」
「ふむ・・・」
まぁ国のトップの判断だったら妥当なところだろうな
「で、最後に帰国したさいにパエリア王国の上に伝えてほしいのだが親書には書いてないが魔国ヴェルディルから駐留大使を置かせてほしいと」
「それは国としての方針ですか?」
「いや、まだ決定してないだけだがな・・・至上主義側の力がそがれた今魔国内の世論も含めて人族の国友再国交を結ぼうと言う意見に傾いてる。そこですぐに動けるように許可だけでも取っておきたくてな」
「まぁ国王はどうかと思いますが、筆頭文官の人には言って置きましょう」
「助かる、よろしくお願いするぞ」
そして食事が始まったのですが、なんとも美味しい、前菜はマンドラゴラの冷製グリルのサラダから始まり、揚げ物は川魚の一口フライ、メインはロックバッファローのステーキ、最後にデザートでなぜか羊羹が出てきた
なんと言うかマンドラゴラの冷製は人の顔が浮かんだニンジン(?)や川魚は顔が二つあったりグロかったのだが味は高級店だけあって美味しかった、羊羹については魔王城にも献上してる由緒正しいお菓子だそうで魔王様もお気に入りらしい
・・・まぁ日本人だしな・・・