訓練と甘いもの
午後
お昼を食べ第3演習場に第2分隊全員とウィンディが集まってます
「今からやるのはチームとの連携だな、とりあえずやって見せるからウィンディは見てろ」
「うむ」
「よしじゃぁ、「ライン!」」
そう叫ぶと横1列で標的に向かってなら並ぶ
「前進!」
銃声!銃声!銃声!カン!カン!カン!
銃を撃ちながら前進します
「ライン保て!」
そう叫ぶと膝で座りそのまま銃撃を加え、弾が切れスライドが後退しきるまで撃ちます
「リロード!」
そう叫びマガジンを交換、トリガー上についてるリリースボタンを押しスライドを元に戻しすぐに撃てる様にすると
「後退!」
そうすると1人ずつ後退していきます、お互いをカバーしつつ3mずつ順番に、そして最初の位置に戻ると
「コレが基本的な動きだ、コレを応用して道路の角を曲がったり、援護したりするんだ」
「なるほど、お互いを援護しつつ前に進んだり、後退したりするんだな」
「あぁ他にも縦1列で進んだり、護衛用に馬車の後ろと前で別れたりする隊列とかあるがな」
「ふむ」
「じゃあ取り合えずやって見よう、ウィンディは俺の右隣に入れ」
・・・
・・
・
ーーー
仮想会議室
そこには各艦の艦長とマルクスス基地の部門長が顔を出していた
「・・・と言うわけで王都に日本軍のレストランを出そうと思うのだがどうだろうか?」
「今後現地民との密接な関係を切り開いていくなら一つの手として有りだと思います」
「だがな、現地の食品価値を下げてしまわないか?」
「1店舗ぐらいなら問題なのでは?」
「密接な関係を築くのなら他にも奉仕事業を展開してみては?」
「たとえば?」
「孤児院経営とかスラムや下級庶民を対象とした仕事の斡旋?」
「それはいいかもしれないな」
「よし、取り合えずレストラン出店と孤児院経営に関して予算と事業計画書を組んでくれ」
「解りました」
「次の議題ですが軍団日本軍に入隊したい現地民の受け入れどうしましょうか?」
「そうだな・・・皆はどうおもう?」
「反対です、武器や訓練内容は機密扱いです」
どうやら反対意見は大体この二つが理由らしい
「賛成です、理由は武器は与えなければいい、訓練内容はどうしても将来的にばれてしまう可能性が高い、ならば先に訓練を施し錬度を上げ敵と成り得る勢力よりも抜きん出た兵力を造ったほうが得策だと思います、それにヤマト村の自治兵、普通科兵力拡大は急務だと思われます」
「うーむ、悩ましい所だな」
艦長たちの悩ましい夜は更けていく
ーーー
ヤマト村
赤井は基地の中央門からでてヤマト村の中央道路を歩いていた、基地の食堂でご飯を食べても良かったのだが偶には変わったもの、魔獣を使った料理や現地で取れた野菜などを食べたかったのだ
「しかし賑わってるなぁ」
村には幾つも食堂や宿が出来ていて商人やソレを護衛する冒険者や傭兵らしき集団、街を警備する日本軍兵士と冒険者らしき混成班、そして酔っ払いなどなどが入れ混じってる
そして、建設途中の建物は何棟かあるし、森を切り開いてる途中の場所もチラホラ見られる、急速に発展してるらしい、そんな事を思ってると
「赤井のだんなじゃないか!」
と声をかけられ声の方向を見ると恰幅のいい兎さ耳のおばさんが声を掛けていた
「そういえば自己紹介がまだだったね、私はマルクスス村唯一の酒場、「魅惑の兎さ耳亭」の女将でマリーだよ」
「どうも、赤井翔太です」
「よかったらご飯でも食べていかないかい?日本軍の人ならタダだよ!」
「いいのか?」
「何言ってるんだい、マルルクスス村の英雄にしてこの国を救った勇者ならそんなもの当たり前じゃないかい、それに日本軍の香辛料のおかげでガッポガッポさ!」
「・・・・じゃあ、お言葉に甘えようか」
そして中に入ると、中にいた30名ほどの客から一斉に視線を向けられ
「勇者の帰還だ!」
「英雄の凱旋だ!」
「頼む!1杯奢らせてくれ」
「今日のコイツの飯は俺に付けておいてくれ!」
「あんたら!自分の席に座りな!!!!!!」
とマリーが咆えます、フライパン返しを持って・・・ヤバイこの殺気は我々・・・いやそれ以上かもしれん
そして暫く待っていると
「お待たせ!どんどん食べな!」
そして持ってきたのは海老の塩焼き、ステーキ、サラダ、そしてカレーだった
「これはカレー?」
「そうだよ!避難した時に食べた奴を再現してみたんだ、だけど米という奴はまだ手に入らなくてね、悪いんだけどパンで食べておくれ」
「では、いただきましょう」
食べるとそこには数種類のスパイスの複雑な味わい、そして鼻の奥を刺激する匂い、
「女将さん・・・」
「な、なんだい」
「最高です!」
「本当かい!なにか足りない気もするんだけどね」
「いやいや、確かにおやっさん、船で食べたカレーとは違います、しかしカレーは各家庭、個人個人で味が違うものなのですよ、そう言う意味ではコレは完成され美味しいカレーです!」
「なるほどね、じゃあこのカレーをこの店の味にしようかね」
「それがいいと思います」
「ついでに相談なんだけどね、この店の顔になるような名物料理なんて考えてるんだけどなにかないかね?」
「急に言われてもな・・・なにか草案とかはないんですか?」
「草案じゃないんだけどね、考えてる事はあるよ」
「どんなのですか?」
「最近女性冒険者のお客さんが増えてきたからソレを狙いたいね、男性のお客さんは酒と大盛り料理と安ささえあれば十分だからね」
「うるせー!俺らだって質のいい飯も食べたいんだー!」
「男女差別はんたーい」
「だったらもっと安くしろ!」
そんな外野をギロリと睨むと野次ってた外野がシュンとします・・・へんな野次を飛ばさなければいいんですけどね
「女性か・・・だったら甘いものとかどうですか?」
「甘いものねぇ・・・いい案だけど、正直な話値段がべらぼうに高くなっちまうよ」
「だったら砂糖をあんまり使わないデザートを作ればいいんですよ」
「甘くないデザートなんてあるのかい?」
「有りますよ、詳しくは知らないんですけどこの世界にも果物はありますからねぇトッピングとかで何とかなるんじゃないですか?うちの緑や食堂で働く人に詳しい人がいるので寄越しますよ」
「ソレは凄く助かるよ!」
まぁ今野さんの部下の1人にパテェシエの人が居たはずだから頼んでみよう、こちらに来てお茶菓子しか作ってなくてフラストレーションが溜まっているって言ってたから大丈夫だろう
ーーー
マルクスス基地中央食堂
「西野さ~ん」
「は~い」
すると栗色の髪でセミロングの女性が泡だて器を置いて返事をする
「じつは・・・・」
経緯を説明すると
「砂糖を使わないデザートねぇ・・・2,3心当たりはあるけど」
「ソレか店で手作りできる甘味料を作るとか?」
「それならコーンシロップなら作れますよ、それに次期輸出品の一つに砂糖が候補に上がってるので問題は無いと思いますし、今野さんの許可が取れればその店に個人的に卸す事も可能かと・・・・」
「・・・砂糖を使わないデザートって言ってしまいましたよ」
「じゃあ私から説明しときますね」
「お願いしますね」
「ちなみに時間は?」
「手の開いた時ならいつでもいいと思いますよ」
「わかりました、ちなみに今野さんに許可はもらってます?」
「貰ってないです・・・・後で貰っておきますね」
「お願いしますね」
ーーー
生活維持部、事務所
「おやっさ~ん」
「なんだ、腕白坊主」
「そのあだ名やめてくださいよ、実は次期輸出品の砂糖の宣伝の一環でヤマト村の食事所で砂糖を使ったデザートを出そうと思うんですけどね」
「ほう」
腕を組んだまま聞いてくれます
「で、パテェシエの西野さんに村の食事所で村人にデザートを教えてあげてほしいのですけど、だめですかね?」
「・・・・本音は?」
「王都でも甘いものが食べたい!」
「ヤマト村じゃないのか?」
「始めは村ですけどね、行く行くは王都に出店を目指します」
「なるほどな」
「・・・」
なにやら考えてるようですけど
「だめっすかね?」
「あ~違う違う、教えるのは問題ない、実はな今度マルルクスス基地直営のレストランを王都に出店することになってな」
「はぁ」
「ソレの一環でパテェスリーを出そうかと考えてて、そう言う話なら現地民に教えて販売をしてもらおうかと考えてたのだ」
「ソレはいいですね、砂糖の販売の宣伝にも現地の雇用にもなりますね」
「だろう?・・・よし!正式に西野に職務として辞令をだそう!」