手旗信号とモールス信号
王都に近づくにつれ大勢の戦闘音と爆発音が断続的に聞こえてきて、メリーさんとウィンディの案内で王都周辺を一望できる小高い丘に輸送団全員で到着すると、高さ20m、長さ100mは有ろうかと言う芋虫が王都の城壁にのしかかっていた、そしてそれに攻撃を仕掛けている8000人ぐらいの兵士達、そして数々の攻城兵器
うわー、ウィンドーの谷のナウ○カの王蟲ッぽいのがいるよー、しかも兵士に向かってレーザらしきものをメッチャ放ってるし
するとウィンディが
「なぜべヒモスが王都にあらわれたんだ?」
「あれがべヒモス・・・はじめてみた・・・」
とメリーさん
べヒモスってあれか?旧約聖書に出てくる大海獣リヴィアタンの対を成してる陸上最強の魔物の事か?
「べヒモス?」
「あぁ、豊穣の神獣でな、普段は大人しくて魔力を吸収して排泄物をだすんだ、それが土の栄養になってると言い伝えられてる、しかし普段はレインハルド国の大穀倉地帯にいる、そして人や国を襲う事などないんだ、むしろ人や亜人を見ると転移して逃げてしまう大人しい性格なんだがしかしあれは王都を確実に落とそうとしている」
「・・・理由は兎に角、王都が襲われてるのは事実だしな、しかしべヒモスを攻撃している戦闘集団は何処の部隊だ?見た所パエリア王国の正規部隊では無いようだが」
「あれはパエリア王国の兵士ではないな、紋章がパエリア王国のものではない、赤地に白丸?それに白い彼岸花?」
赤地に白丸?
そう言いながら単眼式の望遠鏡を覗くと確実に人族や亜人族じゃない者達が移りこんでいた、具体的に言うと体が炎で出来ていて燃えていて槍を投げていたり、理科室の人体模型が動いていて大型の投石器を操作していたり、中世のフルプレートが動いて剣できり付けていたりする
「ウェンディ・・・あれは魔物がべヒモスに攻撃を加えているのか?」
「そうなんだが・・・魔物は普通あんな風に同族なら兎に角多種族同士で戦略的な行動を取る事はない、もしかしたら魔国の魔族が指揮を取ってるのかもしれん」
「パエリア王国に戦争しかけたとは思えないんだがな・・・情報が少なすぎる!」
「赤井さん、あれは魔国の国旗ですよ」
とマイヌスさんが教えてくれる
「魔国?魔国とこの国は国交がないんじゃ?」
「国同士はありません、だけど商人同士の繋がりはあるんですよ、表向きは繋がりはないのですが商人と言うのは儲けの匂いがする所には集まるものです」
「なるほど、でマイヌスさんは魔国の国旗を知っていると?」
「はい、あっちの薬草は効力がいいのでね」
そして少し観察してると
「赤井軍曹!左の丘を見て下さい、発光信号らしきものが確認できます」
と周囲を観察してた黒
「モールスか?」
「いえ、我々のモールス信号とは違いますが、規則性があるように見られます、それに発光後魔国軍と思われるところからも返事と思われる発光信号が確認できます」
ふむ・・・
「なんでもいい、此方からも丘の方に向かって発光信号を送ってみろ」
「了解」
そして黒と蒼が荷馬車の床下収納から高出力のLEDライトを持ってきて発光信号を送る
すると発光信号の返事があるが何と言ってるか解読できずに、アタフタしてると丘の上から6匹の羽のはえたライオン(?)らしき者が飛び立つのが見える
「おい、絶対に手を出すなよ」
「「「「「了解」」」」」
そして上空を2回ほど旋回したあと着陸(?)すると羽ライオンから青白い肌をして角を生やした50歳ぐらいの真っ黒い鎧を着た男性が降りてくる
「我は魔国軍魔王直轄軍のサンドラ将軍である!そなた達はパエリア国の者たちか?」
「まぁ住んでるからパエリア国の者だな」
「ほう、見た所商人のようだが・・・すまんが今は我々の私情であの都市には入れないのだ」
「解りました、一つ聞いてもいいですか?」
「私に答えられる事なら答えよう」
「貴方方は敵か?」
「いや違う!我々・・・いや魔王様と我等は他国共存派だ!今回は魔族至上主義派が起こした事件で魔王様の勅命で事件の終息のため派遣されてきた、勝手に国境を越えたことは誤る!だが我々は少なくとも君達、パエリア王国の者と敵対する気はない!」
「・・・至上主義派とは?」
「人族や亜人族を排除し魔族が世界を統治すると言う派閥だ、そいつらがあの神獣べヒモスを召喚して襲わせてるんだ」
「じゃあべヒモスは倒しても問題ないのか?」
「問題はないが・・・・倒せるのか?」
「魔法で倒せるだろ?」
「魔法では無理だ、アイツは魔力を吸収して食べてしまう・・・・べヒモスの半径15kmでの魔法は一切使えない、しかも認識阻害魔法が常に張られていて魔法が使えたとしても別の方向に向かってしまう」
「・・・なんとかなりそうだな」
「なるのか?」
「多分だがな」
「倒せるなら倒してくれ!」
「いいんだが倒したとしてあのべヒモスが死んでも問題はないのか?」
「魔王様曰く大丈夫そうだ、召喚された者は倒された瞬間に元に居た所に戻るそうだ」
「わかった、なら・・・黄!マルクスス基地にミサイル攻撃の要請をしろ!」
「了解!」
そして背中に背負った布袋の中から遠距離通信機を出して基地と通信を試みようとするが
「軍曹!ダメです!」
「多分、べヒモスの認識阻害魔法の影響だろうな」
とサンドラ将軍
「どうすればいい?」
「単純だ距離をとればいい」
「よし、蒼!緑!黄の護衛に付け!念のためにアナログ通信セット持ってけ!」
「「了解」」
そして蒼と緑、遠距離通信機を持った黄が走って行く
「桃!黒!馬車からレーザー誘導装置でミサイルを誘導しろ!」
「了解!」
そして荷馬車から誘導装置を持ち出しべヒモスに向かってレーザーを照射するが
「軍曹ダメです!画面に「オフライン」って出てます」
と誘導装置の画面を見てた桃が報告してくるが・・・やっぱりだな
「なら目視、ポイントでミサイルの攻撃要請だ」
「了解・・・無線は使えませんがどうします?」
「黄たちがいるだろ?」
「あ、なるほど」
そしてウェアブルPCを操作して王都周辺の地図を表示して
「復唱しろ、緊急 ポイントN18535 R85233 誘導装置使用不可にてポイント誘導にてミサイル攻撃の要請」
「復唱します、緊急 ポイントN18535 R85233 誘導装置使用不可にてポイント誘導にてミサイル攻撃の要請」
「良し、手旗信号で黄達に伝えろ」
「了解」
赤と緑の旗を黒が振ると1km先に居た黄達から返信が返って来る
『了解 確認 緊急 ポイントN18535 R85233 誘導装置使用不可にてポイント誘導にてミサイル攻撃の要請』
数分後返信が返って来る
『マルクスス基地より返信、ミサイル攻撃は試射を執行、10分後』
「サンドラ将軍、今から10分後に攻撃を開始します、誤射の可能性があるので兵士の退避をお願いできませんか?」
「わかった、すぐに退避させよう・・・おい!」
「ハッ!」
そして部下の魔族の男性がカンテラを操作して信号を送ると、本部らしき所から赤色の煙が規則的に上がるとべヒモス周りにいた兵士が攻城兵器を投げ出して撤退して行く
「これでいいかね?」
「はい、後1分ほど待っていてください」




