エクレアの過去その7と出会い
次の日
謁見は正直な話、あっという間に終わった、形式的な王の挨拶と大臣を介した礼、周りの貴族から珍獣を見るような目線
そして、白地に装飾のついた神官、王城担当の冒険者ギルドの幹部、謁見の間にいた大臣の一人、騎士団のお偉いさん、魔法使いギルドの妙齢の女性、ヒョロヒョロでモヤシとあだ名がつけられそうな研究職っぽいオッサン、こいつらの質問攻めの方が時間を取られたぐらいだ
私は、転生者の事、禿野郎を恨んでること、規格外能力を貰って魔術について造形が深いこと、など私の知ってる知識を開示していく
・・・
・・
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「さて皆さんもう夜更けになってきましたね、今日はお開きにしてまた明日にしませんか?」
と、発言したのは冒険者ギルドの幹部の人だ、そこで窓から外を見ると日は傾き、もう少しで夜に突入するところだ
集まったみんなは頷き、挨拶をしつつ退出していく、そして私もメイドさんに案内され王城に用意された客室に移動する
まぁ移動するために浮遊した所、メイドさんに「ギョッ」とされたのはご愛敬だ
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冒険者の幹部目線
(やばいぞ!これはすぐに特務事項に当たる!!すぐに本部ギルドに連絡を!!)
彼は普通に働いていれば上級クラス、何処かの王都の本部付きギルドマスターになれる器を持ち、大切な情報をピックアップする能力に長けていた
そしてスグに通信用魔道具に向かい、特務事項【転生者・転移者保護要項】にそって総本部に連絡を入れるのであった
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研究者・大臣の目線
(魔法の使い方、内政、有益なことが聞けた・・・このまま情報を絞るだけ絞ってあとは人体実験だな)
そして彼らは上司に報告をするため各所属部署に向かう・・・
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魔法使い目線
(ほっほっほ・・・この年になって新しい魔力の運営法・・・是非とも冒険者ギルドと手を組んでどちらかのギルドに所属してもらわなければ・・・)
彼女も自分のギルドに向かい、この幼き幼女を自分たちの派閥に入れるため動き始めるのだった
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騎士団の目線
(うむ・・・騎士団魔法部隊に組み入れば・・・いやまだ幼すぎる・・・それでも戦術、戦略方面でしばらく活躍してもらってだな・・・いやそれ以前に私か中位貴族当たりの養子になってもらうのが最善か?)
実は騎士団長総帥、この国では最強と言われる存在、だいぶ利用としているがエクレアをひどい扱いをするつもりはないみたいだ
そして組み入れるため、騎士団の団長が報告を聞くために集まってる自身の屋敷に向かうのであった
ーーー
えらい神官目線
(・・・・)
「すぐに暗部を集めよ、すぐにあのエクレアという幼女を確保せよ、絶対に殺すな、あと魔術封じの魔道具と拘束具を忘れるな
そう歩きながらつぶやくと、どこからか
「よろしいのですか?神の言葉を聞いた者ですよ?」
「構わぬ、神を殺そうとする者を捨てて置くことは出来ぬ、それにあの魔法、神聖魔法にも通じるものがある、わが信仰に優位になる、情報を取り出し捨ててしまえ、残しておくと脅威になりかねん」
「すべては神の御心のままに」
そして気配は消えてく
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次の日の朝
コンコンコン
「エクレア様、おはようございます、朝ですよ」
メイドが部屋を開けるがエクレアは居なかった、そして護衛についていた騎士団所属の暗部の者も屋根裏の秘密の部屋で刺殺されてるのが見つかり、拉致されたのがわかった
そしてその報告を受けた王は大激怒、そりゃそうだ王族、しいては国に対して泥を塗ったどころかプライドを踏みにじられたのだ
まず騎士団が疑ったのは暗殺ギルドや裏に精通するギルドの連中
だが、暗殺ギルドは国を動かす貴族と繋がっていて基本的に王族、国に対して拒否はする事はあっても基本的に敵対することはない、そこで除外
魔法使いギルドや冒険者ギルドの暗部も考えたが、人の動き的に王城内部に入り込める人員が王都に入り込んだ形跡はないのでこれも除外
そしてもちろん内部の犯行も考えたが騎士団や軍部、そのほかの部署についてる暗部の者の報告から怪しい動きはないと判断
残るは神官連中だがなんせ証拠は全くなく、証拠もなく仮に神殿に監禁されていたとして、神殿に強制捜査を行うにはハードルが高すぎてしまい
騎士団長総帥は困り果てるのであった
そのころ
(なにこれ?体はベットに固定され首には首輪がついてる、部屋は薄暗い・・・湿気から地下?)
記憶があるのは会議後ベットで寝た時までだ
「お目覚めかな?」
首だけ声の方に傾けると、細マッチョでオカッパ頭のオッサンがそこにいた
「ここは創造神教団の隠し施設の一つですよ、あなたは異端認定されたのです」
ふざけたこと言ってんなこいつら
「しかし!あなたは自分自身の知識を神殿に捧げることで貴方の罪は浄化され!創造神様の身元に行くことができるのです!」
要するに人体実験して、殺すってことね
まぁ禿野郎のとこ行って復讐かますのも悪くないんだけどねぇ
・・・ふざけんな!あいつに攻撃が届く手がないうちに死んでたまるか!
「まぁ今日は初日軽めから行きますか・・・」
と言うと頭に何かの透明の管の付いたヘルメットかぶされ、オカッパ野郎が部屋を出ていきしばらくすると
「ぎゃーーーー!」
頭に栗のイガイガをぶつけられたような痛みが走り、管からは気泡と一緒に紫色の液体が流れ、全身の力が抜けていく
(こ、これは魔力が吸い取られてる?)
別部屋
「これは素晴らしい!この娘の魔力の制御方法!魔力増幅方法!!画期的すぎる!」
そう歓喜するオカッパがいた
・・・
・・
・
七日後
毎日、拷問のような人体実験を受け、耳からは出血、涙はすでに枯れた
もう何度「もう殺して」とつぶやいただろうか・・・
休憩の時、魔力を練り脱出を試みたけど首輪が魔力の放出を阻害してるのか魔法が発動せず、身体を強化しても拘束具がすごく頑強でびくともしなかった
そしてしばらくすると今日は珍しく部屋の外で変化が起きていた
・・・シュウゲキシャダ!
ココハ創造神教団ノナカデモ秘匿中ノ秘ダゾ!
迎撃ハドウナッテイル!?
だめデス!上層階は制圧サレマシタ!!
豚骨ラーメンチャーシュー大盛の3人組デス!
(ラーメン?豚骨?日本人?)
すると上階層で爆発音やら怒号が聞こえてくる
そしてしばらくすると、ドアがスッパリと切られ二十歳ぐらいの1mほどの剣を持った男と如何にも盗賊と思われる男が入ってくる
「林!なんでお前はいつも破壊していくんだ!俺に任せとけばこんな鍵すぐに開くのに!」
「いいじゃねぇか、俺が叩き切るのも、鍵を開けるのも時間的にはかわんないだから」
そんなやり取りをしながら入ってくる
剣を持った林と呼ばれてる男が私に気づくと
「お、ギルドの報告の通り居たな、お前さんが日本から転生してきたエクレアだな?ちょっとまってろ、栄山、俺は扉を守る鍵を」
「わかってる!」
すると栄山と呼ばれた男が拘束具に近づくと鍵を外しながら
「俺は栄山日本からの転生者でランク9の冒険者だ、すぐに連れ出すからな」
と5つの拘束具を1分ほどで解き放ち荷物のように担ぎ上げると林に向かって
「脱出するぞ!」
そういいつつ扉から出ると剣で魔法を切り裂きつつ教団の連中に肉迫し腰部分を真っ二つにしてた
「殿はやる!先いけ!」
と声がかけられ私は気を失うのであった