ハルゲルとギョルテ
諸王国 ハルゲル
ここは辺境の地、大きな国では領地にしても何の旨味もないので、元々いた先住民が治めている土地
その中でもハルゲルは砂漠と岩と川しかない土地で、先住民は僅かに産出する鉱石を売り日々の糧にしていた、だが水は川があるので困ることは無く、砂漠の交通の要所になっているので、そこまで貧乏な国とまでは行かなかった
そして邪神教の本部はその国の中でも端っこ、めったに人が訪れない崖に囲まれた所に岩を掘り神殿を作っていた
もちろん、ハルゲルの数少ない町の中にも信者は浸透していた、彼らは名ばかりの商店の店主、気さくなおばさん、ナンみたいなパン屋の屋台のおっちゃんだったりしている
日本軍普通科師団の面々は地球でいうところの中東あたりの民族衣装を着て情報収集に当たっていた、その結果あの熊の玩具はこの土地に住む炭鉱族の手で作られたのだが数が多く正確な地域を絞り込むことは出来なかった
とりあえず日本軍は拠点を確保し、各種兵器や銃火器を運び入れていた
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総本山
「なに?黒目黒髪の人間が多数ハルゲルに入ってるだと?」
「はい、冒険者軍団日本軍は首都から南西10kmの地点に拠点を設置しております」
「なぜ侵入を許した!!」
「国境検問所には我らの信者がいるので通ったなら早馬があるはずなのですが・・・」
実は車両で通過したさいに日本軍に気付いた信者が早馬を出したのが、馬よりも車の方が足が速く、タイムラグがあったのだ
「で、アイツらは?」
「交通都市バンクルで情報収集を行っております」
「よりによってアノ都市か・・・」
「そうです、しかし総帥、既に手を打っております」
「仕事が早いな・・・」
「御身のままに・・・」
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数日後
日本軍の面々は現地の服を着て聞き込みを行っていた、あの木の熊の像の写真を持ってだ
そして、めんどくさい事が起きたのは国境を越えて7日目バンクルで活動を始めて3日目だった
その時、彼らはローラー作戦を開始し次の地域に移動中だった
「黒髪のおにーさん!これ買って!!」
車両に近づいて来たのは14歳ぐらいの女の子だった、彼女はザルにマンゴーみたいな果物を入れ、俺たちに買ってくれと懇願してきた
あぁちょうどノドが乾いて所なんだ、この地域は砂漠地帯ですごく乾燥してて水だけじゃなくて甘いものも食べたかったんだ
そして小隊長であった彼は助手席側の窓を開け
「7個くれ、いくらだ?」
爆発!
・・・
・・
・
「ここ数日で子供の自爆テロが増えています」
「「「「・・・」」」」
「恐らく邪神教の信者が指せているのだろうと思います、そこで対策として各ギルドに「日本軍車両に無許可で近づいたら攻撃をする」と通達を出しましたが、各小隊も気を付けてください」
この異世界で噂や情報を広めるには、やはり冒険者ギルド、魔法ギルド、商業ギルドなどを通すのが一番早く、対策としては車両に「近づいたら撃つ」と書いたりしていた
が、やはり子供を撃てる訳は無く被害は少しずつだが確実に増えていた
すると突然会議用の大型テントの入り口が開かれ
「作られた場所がわかりました!」
「どこだ?」
「砂漠のオアシス、ギョルテです」
数時間前
34小隊が商業ギルド木工科支部を訪れた処、そこの部長さんに写真を見せた所
「こんなことも解らんのか?これはトレントの木だ、この国は砂漠の国だ、木は貴重品でな、隣の国から輸入するかオアシスで調達するしかない、輸入した木は主に建築に使われるからオアシスの線だな」
そして、彼は生ぬるい水を飲むと立ち上がり国内の地図が書かれてる壁に近づく
「で、トレントだがな、こいつらは水と魔力が充実していれば爆発的に増える、そしてこの国で水が豊富でトレントが増える魔力のある場所は15箇所、そしてすべて国が管理しているが唯一商業ギルドが管理しているのが、ここギョルテだ」
と壁にかかってる地図の一点を示す
「ここは主にお土産や商業ギルドで使う木材の伐採場になっている、そしてここには木工細工職人もいるから多分探してるリバーベア―が見つかるかもしれん」
いや、熊を探してるわけじゃないんだがな・・・