降下と狙撃
0300時
「逃げ出す奴は?」
「「「「いません!」」」」
すると後部ハッチが開き赤色のランプが緑のランプに変わると、航空機の班長が手を振り下ろし
「降下開始!行け!行け!」
合図と共に真っ黒なスカイスーツを身に纏い、酸素マスクを装着した俺たちreaat1分隊~5分隊、総勢40名は上空9000m、ガスパチョ帝国領、帝都ココットから北に15kmから降下し、脇と足の間に付けたヒレを展開しグライダーのように飛行を開始する
そして、15分後ココット上空に到達すると、長方形の黒いパラシュートを展開、ブリーフィングで指示されていた原っぱのような公園(?)に向け旋回しつつ接近し無事着地、すぐに全方位を確認し安全を確認すると半分は銃を構え周りを警戒しの頃半分は素早く真っ黒なパラシュートを片付け、スカイスーツも脱ぎ、いつもの冒険者の格好になると、あきらかにスーツやパラシュートが入らない背嚢に入れていく、すると不思議と入ってしまい、次に背嚢から出したのは明らかに入るはずのない大きさの武器、刀や槍だった
そう、今回reaatが持ち込んだ新装備と言うのは銃火器ではなく魔法鞄であった、実は魔法鞄は商人であればそう珍しくなく、スキルのアイテムボックスを持っていない商人が魔道具職人から良く買っている物だった
本来帝都や各要所の検問所では荷物をすべて出して重さに応じた税金を払わなければならないのだが、空を移動する航空機にんは関係無いはなしだった
そして全員が冒険者の格好になると、
「よし、準備は完了したな、班ごとに予定通りの場所に拠点を置け、あとは定時報告を忘れないように」
「「「「「「了解」」」」」」
そして彼らは班ごとに分かれ、1分隊は帝都を囲む外壁の上に、2分隊は帝都ココットで一番高い宿屋の最上階へ、3分隊は帝都の冒険者ギルドの屋根の上に、4分隊は帝都にドーンと立っている人光教の教会の鐘の塔のへ、5分隊は町の時計塔の上へと、共通するのは何処も皇帝の住まう皇城のバルコニーが見えると言うことだった
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深夜に高級宿に着くが流石高級宿と言うところかまだ明かりはついていた(本当は衛星の画像分析で判っていたのだが)
「すまんが、飯を食っていたら遅くなってしまった、商業ギルド経由で宿泊予約した冒険者グループの「闇夜の遠吠え」だが?」
「はい、受けたまわっております、2週間最上階のフロアを貸し切りでお間違えありませんか?」
「間違っておらん、注文があるのだがいいか?」
「なんでしょうか?」
「我々はある国の大店商人の隠居した者の護衛を務めておる、ご隠居は静かにしたいと御所望だ、誰もフロアに近づけさせないでくれ」
「・・・お食事や湯あみ用のお湯とかはどうしましょうか?」
「いらぬ、コチラで全て用意する」
「かしこまりました、なにかご要望があれば誰かがカウンターに居ますので何なりと・・・では鍵です」
そう、赤達は人気時代劇の某ちりめん問屋のご隠居を利用したのだ!ちなみにご隠居役はじゃんけんの結果黄が務める事になった、
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「おー!部屋拾い!」
「ベットが天蓋付きのフリフリですよ!」
「ウェルカムフルーツがあるー!」
「ふむ、パエリア王国の高級宿と比べてもそん色はないな」
「夜景は・・・最悪ね」
「そりゃそうだろ?ここは異世界だ、高級宿や重要施設じゃない限り明かりはついてないさ」
「おい、そろそろ準備を」
すると、全員が頷き魔法鞄から各種武器を取り出す、個人装備の武器と予備弾薬、爆薬、対戦車ロケット(AT-4)、通信装置、監視カメラセット、携帯食料、そして緑がライフルケースを取り出しふたを開けるとバカデカい狙撃中、「M200 Intervention」通称チェイ・タックライフルが出てくる、緑が超長距離精密狙撃を行う時に必ず使うライフルである
そして、緑はすぐに頭に付けた四ツ目の暗視カメラを頼り雨どいを足場に屋上に登ると毛布を屋根に敷きライフルを構えつつ寝転ぶと風速計や湿度計を見つつウェアブルPCを操作する
「距離1980m、風速右から左へ4m、湿度23%、角度21度・・・」
「どうだ?」
「・・・難易度はトリプルAって所ですかね?」
「・・・夜のうちに試射をすましとけよ?」
「無理ですね、暗くて着弾点がわかりませんし、今できるのは情報を集めてライフルの整備ぐらいですよ」
「・・・そうだな、できる限りの事をしておいてくれ」
「了解」
まぁ山本総司令官からの手紙が到着するのは明後日からだから問題はないな・・・
そして、宿の部屋に戻ると各々爆薬をセットしたり、通路や1つ下の階に地雷や監視カメラなどをセットしていた、
「桃、緑の手伝いをしてくれ、他の者は交代で監視と休息を交代でとってくれ」
「「「「了解」」」」
・・・
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1日目、夕方、
彼らは1日をかけて皇帝様の朝食の様子を確認し、撃てるかどうか考察をしていたり、狙撃手は試射を行いゼロイン(着弾地点とスコープの十字を合わせる作業)を行っていたりしていた
そして空中の指揮官から無線を使った会議が行われ
『各班どうだ?』
『1分隊、射線は確保できたが朝食時逆光で見えずらいな』
『2分隊は良好、狙撃可能だな』
『3分隊撃った場合、カップを貫通して皇帝様に当たる可能性が高いな・・・』
『4分隊は狙撃可能、十分当てれる』
『5分隊・・・大丈夫だ』
『よし、直接狙うのは、2,4,5分隊が同時射撃を行え、1、3分隊はかく乱のために皇城の壁を適当に撃て、もちろん、射撃は同時にな』
『『『『『了解』』』』』』
『ちなみに正面から撃つのは2分隊だな?合図は2分隊が行え』
『りょうかーい』
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2日目 狙撃本番
皇城 バルコニー
「ふむ・・・、セバス今日の予定は?」
「午前中は御前会議で午後は謁見です、夕方からは執務室で書類にサインをお願いします」
「いつもと同じだな・・・」
と言いつつ優雅な朝食をとっていると衛兵がお盆に手紙を乗せ持ってくる
「失礼します!ガスパチョ帝国、冒険者ギルドマスター、セラチョウ様の署名でリ―デレ公国より手紙が届いております」
すると片方の眉毛をあげ、アゴヒゲを触りつつ、納得したような顔をし、朝食の紅茶を飲みつつ
「ほう、我が帝国の大きさに恐れ被害が大きくなる前に停戦のもうしこみか?」
と手紙を受け取り手元にあった食事用ナイフで手紙の封を切り紅茶を一口飲みながら中身を確認すると、手はプルプルと震え、眉間には皺をよせ、怒りをあらわにする
「拝啓、アルザール皇帝様
兵を引け、引かなければお前の命は手にあるティーカップと同じような目に合わせる、今降伏すれば自治領としての自治権を認める、
日本軍 総司令官 山本大将」
クシャ!
「今すぐ将軍や貴族を集めろ!総力戦だ!!!!」
パリーン!
手に持ってたティーカップが持ち手を残して木っ端微塵にくだけちってしまった
「・・・・・!」
すると、ガンガンガンガンと鐘が鳴り響き
「国宝敵意の鐘が鳴った!?」
「帝城に殺意を向けた者がいるぞ!衛兵隊出動!!」
「帝都防衛隊!上がれ!」
「場所は5か所だ!」
と声が鳴り響き、皇都の軍駐在所から馬や2足歩行のトカゲが出撃し始めたり飛行蛇が人を乗せ飛び始める・・・
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「皇帝がバルコニーで食事中・・・・手紙を確認・・・・皇帝が手紙を確認中・・・」
と緑が呟きながらライフルを覗いてるとちょうど桃と交代していた俺(赤)が状況を報告する
「風速右から左に6m、湿度30%、右に5ミル修正・・・」
そして無線に手をやり
『準備はいいか?射撃まで4、3、2、1・・・撃て!
銃声!
一般的な長距離狙撃用弾である338ラプアマグナム弾よりも高性能な408チェイ・タック弾、最大射程2,3kmを誇る弾がサプレッサー越しの抑えられた銃声を奏で空に放たれたのであった
そして発射され約3秒後、口径10,4mmの弾は見事に皇帝の持つティーカップに当たり、皇帝の自信と共に砕けていた
『・・・命中、よし任務完了、撤退するぞ』
見た目は一発しか当たらなかったようだが3発の弾が同時に着弾したのだ、なぜ同時に放ったかと言うと同時に当たることで後々着弾点から目標を計算することで狙撃ポイントを割り出させないためだったり、音からの情報を割り出させない為だったりするのだが、実際は魔道具によって割り出されてしまった・・・
このことをまだ赤達はしらないのだった・・・・
〇チェイ・タック M200
EDMアームズ社が開発した大型精密狙撃銃にチェイ・タック社が開発した408チェイ・タック弾を使用できるようにした銃である
338ラプアマグナム弾より威力があり、12,7mmNATO弾より低反動という弾である
狙撃大会でも上位入賞を何度もしている銃である、ただしかなり重い、本当に重かった・・・
全長1397mm(伸長時)
重さ14kg
弾数7発
〇魔法鞄
見た目は手提げ鞄や背負い鞄などなど色んな種類があり、内容量もいろいろ、最大級だと見た目5リットル程度で内容量800リットルの者が確認されている
となみに今回reaatが持ち込んだのはバックパックタイプで10リットルで180リットル程度入るそこそこ大型のタイプ