転移者と軍事帝国
フォルクス女王護衛担当 今村少尉視点
彼は表向き今回フォルクス女王の執事として潜入している部隊の指揮官である、本物の従者は4人彼らはパエリア王国から派遣された王族専門の執事と給仕でその道のプロである、そして日本軍のメンバーは緊急時要員と予防薬を食事に仕込ませるという任務を負っているのだが予防薬の方は既に給仕のスキルであるアイテムボックスに入ってる水や酒に混ぜ込まれ、パエリア王国のメンバーや同盟各国のメンバーには既に配布済みであった
そして王様たちは町を囲う外壁正面門からはいり大通りをパレード、大通りの周りにはドリー住民による声援を受けながら進み会議城に入り談話室に案内される
ただ駆け引きが今後行われるので、同盟関係にある国同士でしか会話がないのが現状だ
そして派閥は4つ、一つは大国になったパエリア王国を中心とした多民族国家連合、この国は亜人の国や獣人の国が集まった連合になっている
次に集まってるのは中立国「セントラル」を中心とした平和至上主義国家連合だ、ザットン国王に聞いた所、「絶対に自分らから攻撃を仕掛けない」と宣言をしてる、その代わりに連合軍を組んでおり攻撃を仕掛けた国にはありえない数の軍隊を差し向け得られる羽目になる地球で言うところのスイスみたいな所らしい
1番数の多い連中が集まってるのは諸国連盟と言うらしく、小国があつまって大国に対抗する組織らしい・・・ザットン国王曰くどうでもいいらしい、一応数は多いから無視はできないがマジで数しか取り柄のない連合らしい
そしてザットン国王曰く一番無視できないのがガスパチョ帝国を中心とした帝国連合、これは軍事国家連合らしく一番厄介らしい小国にイチャモン付けて攻め入って滅ぼし戦争奴隷や資源を集めてるらしく国家予算の2/3を軍事費に充てて戦争になればこちら側もただでは済まないとの事だ
ちなみに連合と言ってはいるがガスパチョ帝国の武力に恐れをなした周辺国家が奴隷や資源の差出を条件に不可侵条約を結んでいるだけの関係である
そして本来の任務である予防薬の配布のためにセントラル中立国の担当官に予防薬入りのカレーや酒などを渡し最優先任務を完了させる、ちなみにペストを実際に散布された場合日本軍による中和剤を空中散布させる予定でもある
・・・・ん?なにか視線を感じる、そしてその方向を見ると平和至上種連合の中にいる黒髪で斧を背負った大男と目があう、するとその男はこちらに来てフォルクス女王に形式的な挨拶と障りない雑談をするとこちらに話しかけてくる
「お前ら、日本人か?」
「・・・転生者ですか?」
「オウ、正確には転移だがな、俺はデジグラ冒険王国、国王の林正義だ、この世界ではジャスティス・ウッドと名乗ってる、よろしくな」
「ジャスティス・ウッド・・・?魔物大百科の著者の冒険王の?」
「あぁ読んだのか?ありがとうな!アレは冒険者時代に書いた物なんだ、今は解散しちまったがな・・・」
「なぜ解散したので?答えたくなかったらいいですが・・・」
「いやな・・・俺が前国王の娘を嫁にしちまったからな・・・」
と、後ろ頭を掻きながら顔を赤くするのだが・・・おっさんがやってもキモイだけだな・・・
「でも、他のメンバーの日本人はまだ冒険者やってダンジョンに挑んでるぞパーティ「豚骨ラーメンチャーシュー大盛」としてな」
「どんな名前ですか!」
「いいじゃなぇか、他の名前候補より・・・」
どんな名前か気になるところだが・・・
「それよりも・・・お前らの持ってる水だが・・・俺の「直感」がそれを飲んだ方がいいと告げてるんだが・・・」
「これですか?」
と予防薬入りの水を見ているのだが・・・
「なにが入ってるのかわかるのですか?」
「いや、なにかは分からんがあくまで「直感」だ、だが俺はこのスキルで幾つもの死線を潜り抜けて仲間の命を救ってきた」
ふむ・・・スキルねぇ・・・
「まぁ日本人なら隠す必要はないでしょう、今回独自の情報網でバイオテロが起こる危険性を危惧しております、そしてその予防薬、ワクチンが混ぜてあります」
「なるほどな・・・いいだろう、平和主義国家連合の連中には俺から飲むように言って置こう」
「それは助かります、まぁここだけの話食事にも混ぜてるので飲まなくても問題ないのですけどね」
「ちなみにバイオテロと言ったが原因は?」
「黒死病・・・ペストですよ」
「まじでか・・・」
ジャスティス国王は流石に詳しい事は判ってないのだがペストが地球で猛威を振るったことだけは知っていた
「しかし鈴木洋二魔王が規格外能力を利用して根絶したんじゃないのか?」
「チェロス魔王国の研究施設から盗まれたんですよ、犯人はわかりませんが」
本当は犯人を知っているのだが流石に「パエリア王国の内政の中心メンバーが犯人です」とは言えなかった言ったら会議本番で不利になるどころか敵対組織に重要なカードを与える事になってしまう、まぁ我々とは違う国だから関係ないのだが
「魔王さんの研究所からねぇ・・・あんな警備が厳重な所から盗み出せるとなると凄腕だな・・・」
「ところで親しい様ですか知り合いで?」
と尋ねると後ろから魔王様が手油で曇った眼鏡の位置を直しながら声をかけてくる
「知り合いだよ~、日本人会の会合でも会ってるし、魔王国内の迷宮に挑みに来た時もあってるしね」
「おうよ、こっちに来てる日本人は数年に1度集まって会合をしてるんだ」
と、二人は肩を叩きあってる
「ところで日本軍さんは何人こっちに来てるんだ?」
「戦闘員と非戦闘員含めて約13万人ですかね?」
人数を聞いた魔王様とウッド国王は人数を聞いたとたん驚いた顔をして
「じゅっ・・・そんなに・・・・?」
「禿野郎も都市ごと送り込むとは・・・」
と嘆いているが
「魔王様には言いましたが我々はその「神」と言う人には会ってませんよ?」
「え?どうやってこっちに来たんだ?普通は禿野郎の身勝手で殺されてこっちに来るんだが」
「核攻撃に巻き込まれてこっちに来る羽目になりました・・・」
「それは難儀だったな・・・同郷のよしみだ何かあったら相談してくれ、出来る限り力になろう」
「ありがとうございます」
「では、これで失礼するよ、鈴木魔王ちょっといいか?」
と、魔王様を呼んで部屋の隅っこに移動する、まぁこちらの事聞きたいのだろうな
ーーー
「で?鈴木君、彼らの戦力はどれくらいなのかな?」
「全体は判りませんね、だけど7000の正規軍と私兵の混成軍を難なく撃破してますし、都市戦でも問題は無く戦えてます、そしてランク7クラスの合成魔獣も倒してますし正直脅威にはなるかと」
「ふむ・・・詳しく調査する必要がありそうだな・・・」
「・・・・言いたくないのですが正直に言いましょうか?多分個人個人では貴方には勝てませんよ、しかし彼ら軍団日本軍としてなら貴方の組織では勝てませんよ?」
林国王はニヤリと笑いながら
「どっちのことを言ってるのかな?」
すると魔王様は眼鏡を直しながら
「両方、ですよ、デジグラ冒険王国、国王にして世界唯一のランク13冒険者にして冒険者ギルドマスター総帥様?」
「はっはっはっは!そうか!勝てないか!いいな!個人でも組織でも世界最強と思っていたがさらに上が出てきたか!」
ーーー
そして現在フォルクス女王の前に居るのは先ほどまでパエリア王国のザットン国王と静かな口喧嘩をしていた男だ
彼は身長150cmぐらいのフォルクス女王に比べて身長が180cmほどでかなり見下げている
そして年は50歳前後、容姿は20代の頃はイケメンだったであろう、今は尊厳のあるオッサンだ
「で?そなたが新興国の初代女王のフォルクスで間違いないか?」
「はい、改めましてリ―デレ公国、初代女国王のフォルクス・フォレストと申します、よしなに」
「余はガスパチョ帝国皇帝、アルザール・リ・クラークである、ふん、ザットンの野郎からどんな豪傑かと聞いていたがこんな小娘だとはな」
いきなりの喧嘩腰で初めは狼狽えていたものの「キッ」とにらめ付けつつ冷静に
「そうですね・・・そんな喧嘩腰では弱く見られますよ?皇帝様?」
「・・・粋がっておるのも今の内だ!」
そう言って諸国連盟の所へ行ってしまう、とザットン国王が説明してくれる
「あいつは昔から王族の変な教育を受けているからなのか自己中な正確になってしまっておる、しかもアレの周りに止める人間も居らんかったのか年々酷くなってここ数年で周りの国に戦争をふかっけては同属化させている」
「やっかいですねぇ、性格は兎に角それができる武力があるのが問題ですね・・・」
そう言うフォルクス女王の話を聞いてアルザール帝国の護衛を見ると剣の他に腰に筒が見える・・・
そんな感じで雑談会が終わって行き・・・晩餐会の準備が整ったと・・・