涙を浮かべながら
すごく久しぶりの更新になります。遅れて大変申し訳ありません
零は俯いたまま動かなかった。
正宗はそっと彼女の肩に手を置いた。
声をかける訳でもなく、視線は彼女に向けられたままだった。
彼女は声もなくただ震えていた。
涙が古びた木の床板の上に雫となってハラリと落ちる。
床に幾つかの水玉模様をつくる。
遠くから響く爆発音は、まだ研究所の火災が続いている事を知らせていた。
沈黙のあと正宗が口を開く。
「ここに居ては危険だ…兎に角、避難しなければ」
「駄目よ…」
「何故?」
「私たちは、他人には危険すぎるわ…」
「MAMAのことか…」
「そうよ…貴方はたまたま助けられたけど…全ての人を助ける、どころか滅亡の危険だってあるのよ」
「しかし、だからといってこのままでいいわけが…」
「もう、わたし見たくないの!人が死んでいくのを…わたしに触れれば…みんな…死んで…し・ま・う」
零は声を押し潰した。
「少なくとも君は私を助けた…いま目の前にいる、君が助けた命はまだ生きたいと強く思い動き続けている」
そういって正宗は零の手を取り自分の左胸に押し当てた。
心臓の鼓動が彼女に伝わっていった。
そしてまた、零は涙を浮かべた。




