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青い空が見たくて  作者: カンクン
17/21

MAMAを知る男

「声からして、女の子のようだが、なぜこんな所にいる?」

危機的状況あっても男は冷静だった。

「えっ!」

行きなりの問いかけに零は、困惑した。

「町から離れたこんな場所に、しかも事故現場のこんな近くに少女が一人で何をしていたんだい?」

更に、男の質問は続く、「研究所の関係者かい?それにしては、声が若いな…まさかMAMAの感染者か?」

男の言葉に零は沈黙するより他なかった。

『……』

長い沈黙の後、男はまた話始めた。

「どちらにしても、ここは危険だ、早く逃げなさい」

零は少し考えてから口を開いた。

「貴方はMAMAを知っているのですね。怖くないの」

その言葉に男は悟った。

「すると、やはり君は感染者なのか。まぁ、どちらにしても身動きの出来ない状態では、何も出来ない…MAMAが怖くないと言えば嘘になるが、すぐに感染する訳じゃないだろう?それに…」

「それに…?」

「どちらにしても出血も止まらない。そう長くはないだろう」

「怪我をしているの」

「あぁ、助かりそうもない」

彼は、落胆の声を漏らした。

「いくらなんでも、怪我人を前に何もせずに行くことなんかワタシは出来ません。」

彼女は金属の扉に手をかけた。

渾身の力で扉を引いた。

扉は微動だにしない。

「うぅ、動いて!」

祈るような気持ちで、呟きながら、何度も扉を引いた。

自分が恐ろしいウイルスの感染者であることは分かっていた。

もし、彼を助け出したとしても、ウイルスに感染し命を落とす危険性もあった。

でも、今は彼を助けたいと思った。

少しでも可能性があるなら、助かる望みがあるなら、……

「お願い開いて…」

目の前で人が死んで行くのを見たくはなかった。

脳裏に灰の様に崩れ去った壱の姿が浮かんだ。

彼女は心のなかで叫んだ。

彼女は心のなかで求めた。

『お願い開いて…壱、力を貸して』

すると、零の身体は微かに輝きだす。

身体の中の血液が熱をおび、勢いよく膨れ上がるような感覚が、彼女を襲った。

零は歯を食い縛り、両足で大地を掴み、体全体をしならせながら力強く扉を引いた。

金属の擦れる耳障りな音と共にゆっくりと扉が開く。

暗く閉ざされた機内に光が差し込む。

その中には二人の男が血まみれの状態で倒れていた。


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