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別れ
彼女は、身体を震わせながら、静かに立っていた。
喉の奥から魂の抜けたような、低い声で呟く。
「…ぅそ…うそ…」
瞳から涙が溢れだす。
目を瞑り、うつむいて…
目の前の現実を否定する様に、首を左右に振りながら…
「嘘よ!壱が死んじゃうなんて、嘘よ!」
大地に罵声を浴びせるように、泣き叫んだ。
両腕は力なく垂れ下がる
しかし、彼女の手は強く握られ、爪がめり込み血がにじんでいた。
認めたくない現実が彼女に襲いかかる。
瓦礫
炎
煙
臭
遠くに聞こえる悲鳴
目の前に黒い砂のような灰
僅かな沈黙の後に、彼女は両膝を地面につけて、その場に座ると、四つん這いのような姿勢になり、素手で地面を堀始めた。
熱く焼け爛れた地面を…
頬を土と煤で汚しながら…
涙を流しながら …
その白い小さな手は汚れ爪が捲れ血が流れる。
彼女は痛みに耐えながら、彼の為に、そして自分の為に、穴を堀続けた。
彼女は、灰を埋めその場所に近くに落ちていた金属片を突き立てた。
そして両手を合わせ静かに祈った。
「壱…」
その後に言葉はなく、彼女は踵を返して歩き始める。
イキル為に………




