警報
「何を言っている!」
「お前らの好きにはさせない!」
「焼却処分などしてどうする!」
「壱を他人に渡すつもりはない!」
スーツ男は困惑していた。
教授は、強い口調で言いきり、踵を返してその場を去ろうとした。
すると、突然、館内放送が入る。
「センターに緊急連絡、細菌研究科にて、異常発生!火災もしくは、爆発の恐れあり、速やかに総員退避!繰り返す。細菌研究科にて異常発生!…」
程無くして、警報音が響き渡る。
「何!!」
「どういう事だ!」
「お前が指示したのか?」
「わたしは焼却処分の指示しかしていない。零が居るのに、そんな指示はしない。」
「そんなことを言って、お前以外に誰がいると言うんだ!」
「争いは後だ!地下に避難するぞ!」
足早に地下に向かう。
「なぜ地下に逃げる!」
「もし、爆発が起きれば地下が一番近くて安全な所だからだ!しかも、緊急時のコントロールルームに非常用電源もある。」
「確かに、賢明な選択かも知れんな。」
「何らかの理由で爆発するようなら、近くにいる零も失いかねない。」
「もし、爆発するとどうなるんだ!」
「最悪、ウイルスが大気中に飛散し、地域一帯が感染する。」
「そうすると、ウイルスの感染能力はどうなんだ!」
「まず、メビウスは心配ない。感染者の分泌物を摂取するか、性行為でもしない限り、感染しないだろう。しかし、…」
「しかし、…?」
「MAMAは、未知数の部分がある。零の身柄の安全と、ウイルス感染防止の為に、彼女の実験室の遮蔽シールドを降ろす必要がある!」
「可能なのか?」
「コントロールルームから可能だ!」
「間に合うのか?」
「わからんが、急ぐぞ!」
教授のPHSが鳴った。
彼は、走りながら、PHSにでた。
「教授、日比野です。」
「今、どこにいる?」
「地下のコントロールルームです。」
「よし、零の実験室の遮蔽シールドを降ろせ!すぐそっちに向かう!」
教授は、地下に向かう階段を降り、目の前の防火扉に手を伸ばした。
次の瞬間、轟音と共に天井が崩れ、彼を襲った。




