第2話
家に帰り着く。まだ両親は、帰宅していない。
それならまず済ませておかなければならないことがある。
制服の上からエプロンを着けて台所に向かう。
朝使った食器を洗い、そして米をといで炊飯器にセットする。
これだけは済ませておかないと、両親が帰ってきてからすぐに夕ご飯を食べることが出来ない。
逸る心を抑えながら一通りの家事を済ませてから、自分の部屋に向かう。
部屋に入ると、制服から部屋着に着替える。
確かあれは……。着替えながら頭を巡らし、押し入れの中だと思い出す。そして押し入れを開けると下段に潜り込む。
目的のものは、一番奥に押し込めてある段ボールから見つかった。
それは一冊の古いアルバム。
あの風景を懐かしいと感じるのは、もしかしたら昔に見た風景かもしれない。
大きな期待と小さな不安を抱きながらゆっくりとページをめくった。
一通りアルバムを見終わると自然にため息が出る。
手掛かりは無し。
アルバムをその場に放り、立ち上がるとベッドの上に仰向けで寝転がる。
幼いときに見た風景じゃなければ、あの夢の風景は何処なのだろうか。
一見あの風景は、何処にでもある有り触れたものにも感じる。
でもそれを否定する何かがあの中にはある。そしてそれを思い出しそうになったとき……。あのときの目眩が思い出される。
もしそれが、思い出そうとすることを切っ掛けにして起こるのなら、無理に思い出さない方がいいかもしれない。もしかするとさっきは、あの程度で済んだだけかもしれない。そう考えると正直怖い。
それに思い出す必要があるのだろうか。いや、それは無いような気がする。
思い出さなくても別に普段の生活に支障が出るわけでもなく、逆に思い出そうとしたときの方が支障が出る。
気にならないと言えば嘘となるが、気にして何か起こるよりいいはず。
そう思うことで、このことにケリをつけるしかなかった。