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ヒイロ -緋-  作者: 蒼司
4/4

Episode One-2



痛みがどこから来ているのか、

この時の僕にはわからなかった。

全身の感覚が一か所にあるような感じだ。

意識が朦朧としてくる。


「ゆっくり呼吸をしてごらん」

自分が弱っているせいなのか、

何故だかはわからない。その瞬間に警戒心が弱くなった。

僕は言われた通りにしてしまったのだ。


___そこから記憶は途絶えた。





***




次に目覚めたときには怪我は少しだけ治っていた。

しかし、相変わらず体を起こすときには激痛が走った。

おかしいな。普段ならもっと治りが早いはずなのに。


「歩いて良いよ」

前に見た女性はそう言うが、

僕は前回のことを思い出してさらに警戒していた。


この人はあの時、僕に変なものを吸わせた。

それだけは覚えている。

もしかしたら今回もまた___なんて考えていた。


僕がしばらく動かないので

「今回は大丈夫だよ」

とその女性は、心を見透かしたように笑った。



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