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Episode One-2
痛みがどこから来ているのか、
この時の僕にはわからなかった。
全身の感覚が一か所にあるような感じだ。
意識が朦朧としてくる。
「ゆっくり呼吸をしてごらん」
自分が弱っているせいなのか、
何故だかはわからない。その瞬間に警戒心が弱くなった。
僕は言われた通りにしてしまったのだ。
___そこから記憶は途絶えた。
***
次に目覚めたときには怪我は少しだけ治っていた。
しかし、相変わらず体を起こすときには激痛が走った。
おかしいな。普段ならもっと治りが早いはずなのに。
「歩いて良いよ」
前に見た女性はそう言うが、
僕は前回のことを思い出してさらに警戒していた。
この人はあの時、僕に変なものを吸わせた。
それだけは覚えている。
もしかしたら今回もまた___なんて考えていた。
僕がしばらく動かないので
「今回は大丈夫だよ」
とその女性は、心を見透かしたように笑った。