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Prologue
とある旅人は海を目指していた。
海のほうへ近づくにつれ、妙な臭いと空気に気が付いた。
___人だ。
人が倒れている。しかし、一歩近づいてわかった。
惨い死体ばかりだ。生きる者の気配がしなかった。
旅人はゆっくりと足元に注意しながら進む。
進むにつれて死体が多くなってきた。
顔をあげると、
戦場に佇む一人の少年を見つけた。
真っ赤に染まったマントは美しくなびいていた。
当たりには、元の形がわからないほど
バラバラになった死体の山が転がっている。
少年は、近づいてくる旅人の存在に気付くとゆっくり振り返った。
旅人はその姿に息をのんだ。
返り血を浴びている少年の顔。
今にも零れ落ちそうなほど
涙を溜めていた。