勇者vs魔王
たくさんの仲間と出会い、何度も死線を越えて俺はここいる。必ず奴は倒せるさ。そう自分に言い聞かせると魔王がいるはずの玉間に続くドアを開けた。視線の先には黒一色の部屋の中に銀色の仮面をつけた魔王が金色の玉座に座っている。
「魔王お前だけは絶対に倒す」
俺は金色に輝くエクスカリバーを玉座に座る魔王に向けて構えた。魔王の表情は仮面をつけていて読み取ることができない。
「来たか勇者ルーアよ、この私が倒せるかな?この変態魔王様をな。はっはっはっ」
魔王が仮面を外すとそこには見慣れたキマの顔があった。それを見て俺は膝をついてしまう。
「そっそんな宿敵の魔王の正体が変態のキマだったなんて。こんな奴を倒すために俺は戦ってきたのか。なんてことだ時間を無駄にしてしまった」
「ふっ勇者は戦意喪失か。今こそ裸エプロン計画の始動の時だ。世界中の女性をこれより裸エプロンにする」
「バットエンドだぁ~~~」
男子寮の与えられた部屋で寝ていたルーアは叫びながら自分のベットから起き上がる。寝ぼけた頭を整理しながら雷魔法のライトを作動させた。明かりに照らされた自分の部屋を見渡すと寝る前に必死に書いた反省文がベットの周囲に散らばっている。時計を見ると午前二時を差していた。
「夢か~。いったい俺の真相心理はどうなっているんだ。そして真夜中じゃん」
外は暗いはずなのに何故か窓の方が明るくなっていた。窓に近付き男子寮の向かいの女子寮を見る。向かいといっても百メートルは離れているがはっきりと黒炎があがっているのが見えた。寮には水属性の魔法陣が火に反応して消火するなど災害や事故に対していろいろな対策がされているため普通の火事ではない。それに炎が黒いのは不自然だ。急いで制服の黒いローブに着替え部屋を出る。
「ジーク起きろ」
隣のジークの部屋を訪ねたが鍵は開いていて中には誰もいなかった。ジークの愛剣の魔法剣も見当たらない。
「これは何かあるな」
大抵ジークがいない時はなにかある。念のため自分の部屋から授業で使う剣を持ち出して女子寮に向かう。
女子寮の少し手前には大量の魔物とそれに対応する先生や生徒で溢れていた。女子寮だが男子の生徒がいるところを見ると異変に気づいて駆けつけてきたのだろう。状況を知るために周りの戦闘に巻き込まれないように顔見知りを探す。女子寮近づくうちにリフを発見した。リフは丁度剣を一振りして銀色の狼の魔物ロウウルフを切り裂いたところだった。
「今どういう状況?」
「ああなんだ落ちこぼれか、寝てたら急に寮に設置されてる警戒のアラームが鳴って部屋の外に出てみれば魔物が溢れてたわけわかった?」
「それを鎮圧するために先生たちも動いてるわけか。女子寮の自分の部屋にいた方が安全じゃないのか?」
「ドアは簡単に壊されると思うし寮内にもたくさん魔物がいて、狭い寮内にいた方がむしろ危険よ。それにかなり強い魔物もいて先生たちも手一杯みたい」
女子寮には不審者はもちろん魔物なども侵入できないように防衛策はとってあるのにどうやってこの魔物たちは侵入したのだろうか。
「じゃあ生徒は全員寮から出たのか?」
「生徒がたくさん出てきたからそう多くは残っていないと思う。そういえばフルラの姿を見てないわね。もしかしたらまだ中にいるかも」
さっきと同じ狼の魔物八体がリフに襲いかかったがリフは魔法で一体を仕留め残りの七体と対峙する。
「あんた中見てきなさい。ここはあたしが抑えとくから」
「わかった。死ぬなよそれと…」
「こんな雑魚に次期王国騎士団の団長がやられるわけないでしょ。それと何?」
父親が騎士団長だからって娘のお前が目指さなくてもいいと思うが。
「お前以外とかわいいパジャマ着てるんだな」
リフは急いで外に出たのかパジャマ姿だった。そのパジャマの柄はというと緑色の水玉の模様で正直予想外な感じの服装。
「うっうるさいわね。いいでしょ寝る時別に何を着てても。速く行きなさいよ」
「了解した」
俺は魔物の巣窟?の女子寮に突入した。運良く魔物には出会わずフルラの部屋を目指して俺は二階へと続く階段を駆け上がった。