順繰り

ギンガムチェックのシャツを

手縫いしてくれた祖母

鮭の混ぜごはんのおにぎりを

作って持たせてくれた祖母

おしゃべりが

大好きだった祖母

きついことばかり言って

みんなを困らせていた祖母

おぼつかない足取りで　

私に手を引かれ

久しぶりの地元の縁日を

楽しんでいた祖母

順繰りに死んで

動けなくなったベッドの中　

眠るように逝く

子どもを自転車の後ろに乗せ　

教材を配り歩いて家計を支えた母

勉強好きで　

いつも本を読んでいた母

旅行好きで　

頻繁にバスツアーに出かけていた母

絶対的に

頼れる存在だった母

順繰りに死んで

おそらくは　

あと20年のうちには逝く

図工が苦手で　

しぶしぶ絵画教室に通わされた私

売れる漫画家になりたくて　

絵ばかり描いていた私

自分にしかできないことがあると　

信じていた私

崩壊してゆく職場を　

心を病んだ友を

懸命に支えようとしていた私

順繰りに死んで

もしかしたら

もうしばらくは　生きる

次に私が死ぬまでは