任務完了!
期限あと3日となった、1月最後の日曜日。
わたしは最終判断を下した。
抵抗は試みた。エッセイで気分転換を図ったり、塗り絵企画に参加して目線を変えてみようともした。アイディアを捻り出そうと努力もしたし、実際にペンを動かしてリハビリもした。
だが、どうにも肝心の提出作品がまとまらないのだ。
どころか描けば描くほど、自分がなにを描きたいのかわからなくなってしまう。なにを描いても納得できない状態に陥った。
心理的には描きたくてたまらないのだが。
このアンビバレンツ、どうすればいいのだろう。現状の引き起こすストレスが、新たなストレスとなって襲ってくる。悪循環というヤツだ。心理状態の混乱が、作画と体調に不調を引き起こす。
絵が絵にならない。
どうにかストレスを除く方法を探さねば。このままストレスとにらめっこをしていても、解決はおろか進展がないだろうことは長年の経験でわかっている。
描けなくたって、確実に締め切りはやって来る。しかも、目の前。
もう、時間は無い!
今から構図を練って作画して……では、絶ッ対に間に合わないという結論は変わらないだろう。どれだけわたしが楽天家だとしても、そこは冷静に計算できる。
ならば、時間のかかる途中作業をスッ飛ばすとしよう。
実は、万が一の時を考えて、途中から予防策を考えていた。もちろんこの地点では危機回避の予備としてだが、ストック作品の中で企画へ回せそうなものに目星をつけておいたのだ。
目標は描き下ろしの新作を提出だが、どうにも無理だと悟った。でも締め切りは守らなければならない。企画はわたしひとりのものでは無いので、個人の都合で他の参加者様に多大なご迷惑は掛けられないのだ。
そこでやむなくストック作品を手直しして提出、ということにする。ここで手を打たなければ間に合わない。速攻で加筆を始め、作品は完成させた。
方針さえ決まれば後は早いのだ。
その旨主催者様にお断りを入れ、了承も得たし――。
これにて、もう一件も完了!
辛うじて締め切りに滑り込むことに成功だ。
なぜにこんな苦労をしてまで絵を描くのか?
苦痛にならないのか、とお思いになるかもしれない。確かに大変なのだが、不思議と嫌いにはならないのだ。だから、また描きたくなる。
企画に参加するのも、楽しい。企画はお祭りで、参加しなければ得られない楽しさや発見、出会いがあるからだ。だから止められないのだろう、と思っている。




