69_悪行
伯爵は興味深げに白く煙を落とす石を拾い上げるとなぜか不敵な笑みを浮かべた
「それで 石はいつもってくるのだ?」
「そうや そうですね 一週間後までには用意できます」
ミリはそういったが実際石さえあればすぐにでも用意はできる
「そうか なるべく早く持ってこい」
私達がこうして伯爵と面会している間ギブレは子どもたちの脱出経路を探しているはずだ この屋敷の警備を考えると一度屋敷を出てギブレの話を聞き子どもたち救出の計画を立て直したほうが良いだろう
私とミリは伯爵と契約を成立させると宿へ一度戻った
「どうや?タマ?第一の問題はたくさんの門番のいる入口や」
「そうだにゃ・・・・・・」
私は少し考え禁書の知識への扉を開く膨大な知識の扉が開かれ最適な解が導かれる
「全員で行くにゃ」
「え 全員ってほんまか? 流石に全員で行ったら怪しまれるやろ」
「みんな納品の箱の中に入って屋敷の中に侵入するにゃ」
「おいおい 小さな石が100個やでさすがに箱がでかすぎるんちゃうんか?」
「いや そのへんは大丈夫にゃ 温度管理の為とか破損防止とかいろいろなことを門番へ最初に言っておけばいいにゃ 門番はきっとそれがどういうものなのかは知らないにゃ 中に入ったら皆が入ってる箱を開けて私だけが石を持って伯爵に会いに行くにゃ 私が伯爵と話している間に皆が子どもたちを助けに行くにゃ」
・・・・・・
数日後 私は自分たちの竜車の客車を荷台に変えその上に大きな箱を載せて伯爵の家へと移動しているもちろん中身はモリ エレナル ランキである
私達の前に数人の門番が立ちはだかる
「タマ様 でしたな この箱は? 」
門番の中でも一番老齢の男が私に疑念を向ける
「石にゃ 伯爵に聞いているにゃ?」
「ええ 確かに 石だと聞いておりますが手のひらに乗るほどの石が100ほどだと聞いております このように大掛かりなものだとは聞いておりませぬが・・・・・・」
確かにこれを怪しむなと言う方が難しいだろう
「うにゃ そう言うだろうと思っていたにゃ 少しだけ説明させてもらうにゃ 冷凍石の箱にはたくさんの魔法や奇術が施されているにゃ 伯爵の目につくまではできるだけ外の環境に触れさせず持っていきたいにゃ どうしてもというのにゃあら 一つだけ箱を開けてみてもいいにゃ」
「そうでございますか それではお願いできますかな」
この説明で引かないのはさすがというべきか・・・・・・しかし私もそこは織り込み済みである
コンコン
私はワンドの柄の方で箱を叩くと魔法を使って箱の側を一つだけ壊す 中からは派手な光を放つ箱が出現しその光を失わせていった
光は私が禁書の知識から引き出した最も魔法の力が強く見える光を放つ魔法が付与されている
「おお」
門番達は驚愕の声をあげる
門番達もこれほど強烈な魔法の光を見るのは初めてなのであろう
「見て貰った通りに石は何重にもこの結界によって守られてるにゃ 一つは開けて見たにゃけどこれ以上は開けられないにゃ」
「なるほど これだけの結界だ 魔法を付与するのも大変であっただろう わかった 通ってもよかろう」
(うまくいったにゃ)
「それでは 出してくれ タマ」
「はいにゃ」
ミリが私の顔をみながら指示を出すうまいフォローだ
私達は箱を積んだまま屋敷の中へと入り込んだ 門番たちは自分たちの仕事が終わった為その後の私達の行動には無関心のようだ
2人だけ玄関に残し跡は詰め所へと帰っていった
「みんな ここなら良さそうにゃ」
私は魔法でさっと箱を開くと皆を外に出した 皆はその場所からすぐに隠れると私はすぐに箱を元の形へと戻した
私とミリはこのまま伯爵のところへと向かう
「ランキ様 皆様こちらです」
ギブレは顔だけ地面の中からぬっと出すとランキへと子どもたちが捕まっている方向へと動いていった
ランキ エレナル モリは隠れながらそれに続いた
コンコン
「伯爵様 魔石をお持ちいたしましたにゃ」
「うむ 待っておった入れ」
・・・・・・
「それでは見せてもらおうか」
私はモリやランキエレナルが出たあと2まわりほども小さくなった箱を廊下から抱えて持ってくるとそれを机の上へと置いた
「これですにゃ 伯爵」
「うむ 開けてみてもらえるかな」
私は箱の中からさらに石の入った箱を取り出すとそれを開いてみせる
中にはびっしりと詰まった形の揃った小さな石が並べられている
「よし よかろう おい」
伯爵の大きな声が部屋に響くとドアからかばんを下げ侍女がやってきてそれを私達の目の前へとおいた
伯爵はそのかばんを自ら開いた
「ここにお金を入れておいた 持ち帰るがいい」
私がそのかばんに手をかけようとした瞬間ドアが開き数人の門番たちがなだれ込んできた
「な なんだ お前らなにごとだ」
「は 伯爵 地下部屋で 何者かが伯爵様のコレクションを開放しようとしてお おります」
「お おい コイツラを捕まえろ」
伯爵はとっさに私達を捕まえるよう門番たちへと指示をだした 地下のモリたちが私達の仲間であろうことを咄嗟に判断したのだろう
「簡単には捕まったりせんのやでぇ」
ミリは燕尾服のままその場から飛び上がり門番へと魔弾を打つ
「っく 魔法か エ エムデはいるか エムデ」
「はい ご主人様 すぐ 排除いたします 戦いは久しぶり エヘッ」
私達を案内した侍女がモリの魔弾を食らってうずくまっている門番の後ろからニヤリとしながら腿のガーターから取り出したナイフを舐めた
「まずは お前からだよ キエー」
エムデと呼ばれた侍女はスカートをミリへと向かう
私は咄嗟にエムデへと魔弾を放つ
エムデは空中でひらりとそれを交わすと凍るような目で私を睨みながらそのままミリへと切りかかった
カン
ミリはそれをうまくワンドで防ぐとひとまずエムデから距離をとった




