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68_侵入

「警備は厳しいにゃ」


「はいれそう?タマ?」


 伯爵家の近くまで来た私とミリは伯爵家を遠巻きに見ながら様子を伺っている

 私達の格好はミリは男装で正装 私はメイド服といった身なりである 身なりに関してはギルドのほうが用意してくれた

 ひとまず伯爵との接点を作るため投資家として伯爵家を訪れるつもりだ

 しかしミリの男装はなかなか凛々しくてよい 引き締まった体に少々褐色の肌はすがすがしい少年に見えるだろう


「大丈夫にゃ タマはギルドから賢者の証ってのを貰ってるにゃ これは権力者に見せると顔を通してくれると言ってたにゃ うまく屋敷に入れたにゃら 子どもたちを助けるにゃ」


 ・・・・・・


 私とミリは打ち合わせをして伯爵家へと向かった これでも私はカスタード王女ソフィの侍女であった為貴族への立ち振舞はほぼ網羅しているつもりだ ミリにはしっかりと口上と動作を覚えていただいた 奇しくもサドラに刻まれたものがここで生きるとはおもわなかったがサドラには嫌悪の念さえあれ感謝の念は一欠片も湧いてこなかった


 伯爵家の門にはしっかりといかつい門番が2人おり最初の関門がこの門番であろう

 門へ竜車を横付けしたほうが威厳も出せそうであったがあいにく美しい客車は持っていない 私はミリと徒歩で門まで近づいた もちろんミリには事前に竜車は宿の竜車場へと置いてきたという話にした 宿はこの村一番の豪華な宿に止まっていることにしておいた


「いらっしゃいませ お客様 当館へどのようなご要件でございましょうか?」


 驚いたことに一人の門番は私達の思っていた対応とは全く異なる対応を見せた 私達はてっきり威圧的な態度で尋問されるのではないかとおもっていたが流石にそのようなことはなかった しっかりと伯爵家に教育なされているのだろう


「うちの主人が伯爵様に取引の相談をしてみたいといいだしましてよろしければ伯爵様にお目通り願いたいと思っていますにゃ」


「そうですか かしこまりました それでは少々お待ちください」


 門番の一人はそう言うともう一人の門番に目配せを送って詰め所の方へと向かっていった

 しばらくして紙とペンを持って私達のところへやってきた


「こちらへご署名と取引内容をお書きください あと身分を証明できるものをお見せください」


 ミリは私に目配せを送って何かを訴えているようだ私はそれをウインクで返す

 私は門番から紙を取るとサラサラと適当なかつ高尚そうな名前を記入する

 そして賢者の証を懐から取り出しそれを門番へ見せた


「お おい ちょっと こっちに来てくれ・・・・・・」


 門番はもう一人の男を呼ぶと証を2人してまじまじと眺め始めた


「ほ 本物か?」


「あ ああ おそらくこの光・・・・・・本物だ か かしこまりました メレンゲ様・・・・・・大変申し訳ございませんが後日お越しください 伯爵様には取引のこと お伝えしておきます」


 メレンゲとは私が取引内容の紙に書いた名前だ 門番達はミリを賢者の証の主だと思い込みミリに丁寧に挨拶をすると一人を屋敷へと返しもう一人はもとの位置へと戻っていった


 ・・・・・・


「ミリ 行くにゃ」


「ほい」


 翌日私達は伯爵家へと向かった

 ランキ エレナル モリは伯爵家の見える位置で待機ということになっている私達との交信はギブレが行う手はずになっている もし私達になにかがあったときは加勢に加わるように言っておいた


 ・・・・・・


「どうぞ こちらでございます」


 私達を館の中へと案内したのは私達とあまり年がかわらないであろうほどの侍女であった

 侍女はあまり表情の変わらない顔を前にむけながら私達の案内をした


「中で伯爵がお待ちです」


 ガチャ


「おお 待っておったぞ さあ 座れ座れ」


 伯爵は待ってましたかのように私達の顔も見ずにソファーへと座るよう促した


「それでは失礼して・・・・・・」


 ミリは声を低くしてそれに答えソファーへと座った

 私はたったままミリへと目線を送る そして伯爵はその太った体で自分の机から立ち上がるとゆっくりとソファーへと近づいた


「それで・・・・・・私になんのようだね つまらない話ではないだろうな 賢者殿」


 伯爵は最初からかなり威圧的な態度な物言いをする

 伯爵の言う話とはもちろん金になるかならないかということであろう 私はその匂いを嗅ぎ取るとさっそく商談の話をもちだした


「伯爵様 実はこちらの賢者様が新しい商材を作りましてそれを見ていただきたく持ってまいりました にゃ ました」


「ほう・・・・・・なるほど そうか それでは早速見せてもらうとしよう」


「ミリ様」


「あ ああ これやで あ いや これでございます」


 ミリの方言に伯爵はすこしだけ眉を動かしたがそれ以上はなにも動じることはなかった

 ミリは懐から手の平に乗るほどの小さな石を取り出しそれを机の上へと置いた


「なんだ これは? 石か?」


「はい 伯爵この石の上で三角を描いて見ていただけます?」


 ミリは独特のイントネーションであったがうまく話をしている

 伯爵は言われたとおり恐る恐る石の上に指を出すと三角を描いた

 石は青く光だし白い煙のようなものを机の上へと這わし始めた


「この石は魔力のない方でも使える簡易的な凍結石でございます 止めるときはまた石の上で三角を描いていただけば効果は止まります」


「う うむ」


「どうでしょう この石を箱の中に入れておけば腐りやすいものや冷たい物を運ぶときなど便利に使うことができます」


「ほう 腐りやすいものが保存できるのか これはいい どれぐらいもつのだ?」


「そうやね・・・・・・そうですね 3ヶ月ほどでございます」


 この石は実はただの石であるが私の賢者の書による知識によりモリの凍結魔法が込めてある 実際に使えるものでこの知識を得たあとからは私達の旅でも非常に活躍している代物である


「いくらぐらい用意できるのだ?」


「そうですね 100個ほど用意させていただけます」


「価格は?」


「はい 一つ200ゴールドでございます」


 伯爵はしばらく首をかしげながら石を眺めていたがなにかを決めたかのように声を出した


「よし 買おう・・・」


















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