65_台所
ゲストハウスの台所は共用となっていたため自分たちが持ってきたものを個々で料理して自分たちで食べるというふうな感じであった
私達はいつも野営しているときの順番で料理を作ろうというふうになった為今日の料理当番は私であった
「さて やるにゃ かにゃー」
私はうでをまくりあげ竜車からとってきた大きな触鬼の肉の塊を取り出した
「うにゃ どうしたものかにゃ」
「美味しそうな肉っすね 触鬼サーロリンのドロップっす?」
私が肉を四方八方から眺め考えていると横からランキが話しかけてきた
さすがはテイマーだけあって肉を見ただけでどんな触鬼がドロップしたのかわかるらしい
「にゃはは ランキよくわかってるにゃ ランキならこの肉どう使うにゃ?」
「そうっすね・・・・・・まあ一番美味しいのはシンプルに塩焼きっすね タマはロールオセガノってしってるっす?」
「ああそれなら 少し前にミナリアの国で調達した調味料の中にはいってるはずにゃ ・・・・・・にゃるほど あの調味料をつかうにゃかぁ」
「そうっす あれは味付けとして使うことが多いんっすけど 肉の臭み消しに使えば最高にうまい焼肉ができるっす」
「にゃはは それじゃ 今日はそれ作るにゃ まぁ ほぼ焼くだけなんにゃけど・・・・・・」
触鬼サーロリンの肉はそのまま焼くと少し筋が残るので包丁の刃の反対側でよく叩いてから調理するというのを聞いたことがある私もやったことはないがなにより皆の美味しい笑顔がみたい 私は包丁を握りガンガンと肉に叩きつけた
ガン ガンッ
「おいおい なにをしているんだ?」
結構な大きな音がキッチンに響いてしまっているため心配した男の冒険者の一人が私に声をかけてきた
「うにゃあ ごめんなさいにゃ うるさかったにゃ 今肉の下ごしらえをしてるところにゃ」
「あはは なんだ 魔獣でも現れたかとおもったぜ どうだ?手伝ってやろうか?」
男は私のなれない手つきをみていてもいられなくなったのか手伝おうかといってきた 本当はこの包丁を渡したくはないが今後のゲストハウスでの人付き合いを考えると無下に断ることはできないだろう
私はそっと包丁を手渡そうとした
「おっと そいつはいらねえぜ こうやるんだ」
男は両手に黒い魔力を付加させるとその間に肉を浮かべバチバチとなにか魔法をかけた
ぼたっとまな板に落ちたサーロリンの肉はとても柔らかくなっているように見える
「なにしたにゃ?」
「はは 珍しいだろ重力魔法だぜ」
「うにゃ? 重力魔法? なんにゃ?」
「はっは 古代魔法の一つで闇属性の魔法だ まぁあまり扱えるものはいないと聞いている・・・・・・俺が出せるのはこの小さな肉をほぐす程度だが遠い国の魔王ラミスはこの魔法を使いこなし一つの国をまるごと消滅させるほどの魔力を持ってるって聞いてるぜ その見た目はまるで龍か蛇の化身なんて言われてる ああ恐ろしい」
「うにゃ ラミスってそんにゃ奴にゃ?」
「ん なんだ? お前魔王ラミスの知り合いか?」
「うにゃにゃ いや知らないにゃ・・・・・・ そんにゃすごい人がいるにゃんてびっくりしただけにゃ・・・・・・」
「あはは そうだろうそうだろう 俺達なんざぁ ちっぽけな冒険者だからよ そんなのにあったら目を合わせずに逃げるのが得策だぜぇ あははは」
「ははは・・・・・・ 」
私はラミスを知っているが見た目は少女であるしいきなり襲ってくることもないだろう しかし見た目が龍の化身などと言われてはラミスも落ち込むだろう 気の毒だ
私はその後その冒険者にお礼を言いそのまま調理をおこなった
・・・・・・
「できたにゃあ」
料理を終えた頃には皆ロビー兼ダイニングのテーブルに降りてきていた
「タマ うまい料理 できたんか?」
「にゃはは 肉を焼いただけにゃ 途中 あそこにいる冒険者が手伝ってくれたにゃ きっと美味しくできてるにゃ」
「くはあ サーロリンの塩焼きかぁ なぁ モリ」
「う うん」
ミリは嬉しそうに舌なめずりをしてモリにそれをふるとモリもそれに応じて小さく頷いた
「冒険の神様 今日も私達にこの糧をおあたえくだされたことに感謝します いただきますっす」
ランキが丁寧に食事前の祈りを捧げたため私達もそれにみならって手を合わせた
「・・・・・・っくぅ うめぇええ なんや この柔らかい肉はぁ タマぁ どこにこんな上等な肉もってたんや?」
「うにゃあ 普通のサーロリンの肉にゃ さっきいったあそこの冒険者が重力魔法を使って柔らかくしてくれたにゃ」
「へぇ すごいありょ 私もその料理のやりかた聞いてみたいありょ まぁ重力魔法は使えないりょけど・・・・・・」
「うにゃあ エレナル あとで聞いてみるといいにゃ 丁寧に教えてくれるにゃ」
私はこのときこの男性が後のエレナルの伴侶となることを想像もしていなかった
・・・・・・
食事を終えた私達はロビーで他の冒険者と少しだけ談笑したあと自分の部屋へ帰って就寝した
・・・・・・
「こんにちは 皆様ランクアップの申請ですね かしこまりました 5番窓口の方で受付をお願いいたします」
私達は総合の受付嬢から聞いた番号の受付へぞろぞろと移動する
「番号札を取られましたら2階の審査室前の待合でお待ちください 番号が呼ばれましたら指示にしたがって入室お願いいたします」
「ほーい」
ミリが嬉しそうに返事をして皆またぞろぞろと二階へと移動した
待合では数人が待っていたが皆緊張の面持ちだ
「番号札28番の方どうぞ」
先に入っていた人が深刻な面持ちで出てくるとそのまま深いため息をついて下へと降りていった どうやら結果がおもわしくなかったようだ
「番号札35番の方どうぞ」
順番が進み次は私達パーティーの番で最初はミリが呼ばれた
「おっしゃあ ほな いってくるわ」
ミリは皆にウインクを送ると片手を上げて部屋へと入っていった




